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総務の社内PR大作戦
第5回:役員・社員の現状評価を数字で把握

2017年04月24日

 さあ、Step1「部門の業務の『意義』を再確認する(仕事の重要性を説明できるようにする)」は今回まで。これまでに、経営にどうかかわっているのか、総務として経営にどう貢献していくのか、だいぶスッキリ見えてきたのではないかと思います。

■ ぶれない軸ができるブランド・コンセプト

 広報部門の地位向上をお手伝いする際、私はここで、広報部門のミッション、ビジョン、行動指針を策定したり、広報部門の仕事がどのようなものなのか、どうありたいのかを一言で表現する「ブランド・コンセプト」を作成したりします。あらゆる業務の「軸」が明確になり、優先順位をつけやすくなるからです。
 たとえば、ある企業の広報部門では「社内外広報を通じて経営理念を実践する」(経営理念を広報するのではなく、広報を通じて経営理念を実践するという意味です)、別の企業では「『この会社で良かった』を増やす」、あるいは、直球で「営業支援」というケースもありました。
 総務部門では、どのようなブランド・コンセプトが考えられるでしょうか? ぜひ、考えてみてください。
 こうしたブランド・コンセプトは、スタッフのモチベーションアップにもつながります。第2回で見たように、業務の明確化・効率化ができていない現状では、他部門の総務業務の理解が進まず、スタッフのモチベーションも下がりがちです。ブランド・コンセプトは、強いコミットメントを生み出しやすくなります。

■ 自己評価を他者評価に置き換える

 さて、今回の本題です。前回までに、業務の棚卸し、業務の重要性・緊急性を自己評価する方法をご案内してきました。部門の地位向上に向けて、これを他者評価に置き換えることをおすすめしています。
 具体的には、私が広報部門の地位向上をご支援する場合は、よく「広報部門の360度評価」の実施をご提案しています。これは、広報部門の活動・業務の評価を、社員(または経営層&マネジャー層のみ)にアンケートするものです。
 たとえば、広報部門の活動・業務として、パブリシティ活動、社内報の発行、危機管理広報の研修等があるとしましょう。これらについて、社員が、広報部門の活動・業務として認知しているか、認知している場合は、その業務の重要度についてはどう評価しているか、業務の遂行状況をどう評価しているかを測定していくわけです。パブリシティ活動について知っている場合は、その重要性を4から6段階評価で尋ねたり、自由記述で尋ねたりします。業務の遂行状況に関しては、報道される頻度や報道内容の貢献度についてどのような印象を持っているかを4から6段階評価で尋ねたり、自由記述で尋ねたりします。
 総務部門で実施する場合、アウトプットのイメージは図表1・2のようになるでしょう。


図表1:業務の認知度を360度評価で把握した結果のイメージ図

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図表2:業務の認知度と、重要度、遂行状況の360度評価結果を一覧にしたイメージ図

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■ 認知ギャップの測定が相互理解の出発点になる

 この360度評価をすると、以下のことがはっきりわかります。
・思っていた以上に知られていない業務がある
・知られていても、思っていた以上に重要性が伝わっていない業務がある
 目を背けたくなるような厳しい評価がでてくることもあります。ただ、前回までに、総務業務が経営にどう貢献しているのか・し得るのかを分析していますので、特にどの業務の認知・評価向上を目指すべきか、どの部門へのアプローチを強化していく必要があるのか、数字で明確に把握できるようになります。
 たとえば、業務分析で売上増につながり得ると明確にできた業務も、営業部門には単に事務的作業負荷が増すばかり、と受け止められている可能性があります。こうした認知ギャップを測定できれば、部署毎にアプローチの仕方を変えることができ、相互理解(というよりも総務に対する理解獲得)の出発点になるのです。
 また、360度評価の結果を、「部門としての目標設定」に活用することもできます。「業務Cの社員の認知度を75%から3年間で95%まで上げる。加えて、業務Cの重要性評価の平均値を、現在の2.5から3年間で3.0まで引き上げる」というように、総務部門に対する社員の認知・評価を目標にすることができるのです。こうした社員の認知・評価を部門目標に組み込んでいくと、取り組むべきこと、各部門との関係強化の方向性がはっきりとし、総務スタッフの行動様式も変わっていきます。モチベーションアップにもつながります。


■ 360度評価の結果を社内公開すると覚悟が伝わる

 さらに、この360度評価の結果をイントラ等で公開することが肝心です。回答してくれた社員に対するフィードバックになります。加えて、全社的に公開することで、自分たちの課題をどう認識しているのか、どう解決しようとしているのかを「宣言」できます。率先垂範の部署が一番、信頼されます。
 想像してみてください。
 本コラムを読んでいる多くの方は、総務部門の方だと思います。
 たとえば、こうした360度評価を人事部門が実践し、社内イントラ等で結果を公開していたら、どう感じますか? 人事部のうち、人材開発関連の業務として、社員のために階層別研修を企画したり、柔軟性を持たせるために選択型の通信研修を用意していたり、キャリア・カウンセリングの受け皿を設けていたり、異動希望の申告制度を作っていたりしたとしましょう。それらの最終的な「活用状況」ではなく、社員がどう評価しているのかを測定。その中には、厳しい評価も含まれていることもあるでしょう。その360度評価の結果を社内でちゃんと公開し、活動を改善していこうとしている人事部の姿があったら、どう感じるでしょうか?
 経験則でいえば、360度評価の結果を社内公開すると「社員の声をちゃんと聞こうとしてくれているんだね」「良い意味で管理部門らしくないね」といった前向きな反応が社員から寄せられます。こうした取り組み自体が、社内の理解獲得や地位向上につながっていくのです。

 第2回から第5回まで、部門の地位向上のStep1を手厚くご紹介してきました。このStep1は、本当に重要です。これらの取り組みを抜きに、一足飛びで社内理解を得ようとすると、単なる「かまってちゃん」状態になってしまいます。Step1の過程で総務部門の第一優先課題の上位5つを解決する筋道もできますし、成熟度モデルに則して組織を発展させていくことができます。ぜひ、何度か読み直し、実践していただきたいと思います。
 
 次回から、Step2からStep5までを、それぞれ1回ずつでご紹介していきます。

秋山 和久
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