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総務の社内PR大作戦
第6回:経営層や他部門とのコミュニケーションの機会を増やす秘策

2017年05月19日

 今回は、Step2です。Step1を手厚くしていましたので、あらためて、5ステップの全体像を再確認しておきましょう。

Step1 部門の業務の「意義」を再確認する(仕事の重要性を説明できるようにする)
Step2 コミュニケーションの機会を作る(情報提供型総務)
Step3 御用聞きと社内営業の実践(エコヒイキ型総務)
Step4 問題解決事例の社内・社外共有(問題解決型総務)
Step5 社内コンサル・社内カウンセリングへ(問題創造型総務)

 Step2は「情報提供型総務」です。ここでは、以下の2点を目指し、「勝手に月報大作戦」を実行します。
(1)経営層とのコミュニケーションの機会を意図的に作り出していくこと
(2)情報が集まるようになること(情報は発信するところに集まる)

■ 勝手に月報大作戦

 広報部門の地位向上をお手伝いするときに、必ずお勧めしています。実践いただいた広報部門の方は、ちょっと大変ですが、半年程度すると明らかに周囲の見方も評価も変わったといいます。たとえば、「役員や社員から『広報は情報を外に発信する部署だと思っていたけど、社外の情報を社内に提供してくれる部署、情報屋として使えばよいんだね』と認識してもらえるようになった」という声が多いです。この方法論は、総務でも活用できるはずですので、ご紹介します。

 具体的には、役員や他部門向けに、勝手に「月報」をお届けします。まずは広報部門を例にしてご案内しましょう。
 広報の仕事では、新聞・雑誌・Web媒体・TVなど多くの情報に接します。こうした中から事例を毎月、一つ、二つをピックアップして、A4・1枚程度の月報にまとめて、それを月報として情報提供します。始めやすいのは、危機管理広報にかかる外部の事例や、業界内の競合他社のプロモーション活動の事例調査です。

 新聞や雑誌の記事をそのまま見てほしいときは、著作権侵害がないように、媒体社から許諾を得てコピーを添付したり、現物を回覧したりします。役員や他部門の方も忙しいですから、コピーや現物は本当に重要なときに限定した方がよいでしょう。著作権を侵害しないように、本当に重要な部分を引用するぐらいの情報量で収まるようにして月報を作ることができると、受け取る側にとっても凝縮された情報を短時間で得ることができ、喜ばれやすくなります。

図表1:月報のイメージ

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■ 総務部門での「月報」展開案

 総務部門でもこの方法を実践できるはずです。
 たとえば、今は「働き方改革」がブームのようになっています。働き方改革に関する事例は、日々、新聞・雑誌・テレビで取り上げられています。こうした事例を、総務部門が毎月、A4・1枚のごく簡単な内容にまとめて、経営トップ、人事担当役員、人事部などに情報提供するわけです。情報を受け取る側からすると、世の中にあふれる膨大な情報の中から、良質な事例や自社の状況に近しい事例を総務部門が選別してくれるわけですから、非常にありがたい。経営トップ、人事担当役員、人事部などを対象にした場合は、社内コミュニケーション活性化の事例もよいでしょう。

 また、コスト削減に関連して改善活動や省エネにかかる実践事例を生産部門に情報提供したり、知財の動向を研究開発部門に情報提供したりすることもよいのではないでしょうか。株主関係管理に関連させて他社のガバナンス改革の動向やコーポレート・ガバナンス報告書を調べて、経営層に情報提供することも喜ばれるでしょう。あるいは、リスクマネジメントも総務の管轄でしょうから、上記の広報部門での実践例でご紹介した、外部の危機管理の事例共有は総務部門が中心となって実施してもよいはずです。

■ 人材育成の手段としても有効

 そこまでの労力をかけるのは大変だ、という声が聞こえてきそうですが、「役員や社員から『広報は情報を外に発信する部署だと思っていたけど、社外の情報を社内に提供してくれる部署、情報屋として使えばよいんだね』と認識してもらえるようになった」という声を思い出してください。こうした事例調査は、総務部門の活動を強化・拡充していく上でも、ヒントがたくさんありとても有効です。マンパワーが足りなくて毎月の「月報」は無理、ということであれば、隔月でも四半期に一度でも良いですが、総務部門の専門性も知識もスキルも確実に上がっていきます。人材育成の手段としてもオススメです。

■情報提供を繰り返すと、次第に情報が集まるようになる

 何よりも、情報は発信するところに集まります。
 たとえば、危機管理広報に関する事例の月報を経営陣にすると、リスク管理にかかる検討を他部門が始めようとしたときに、経営層が他部門に対して「広報とも連携しておいて」といってくれるようになります。インプットを続けていないと、経営層が短時間でどの部門を巻き込んでおくべきか「想起」できないのです。

 あるいは、しばらく続けていると、必ず、経営層や他部門から「次回はこの事例をまとめてくれる?」といった"注文"や、「普段の危機管理とテーマが違うけど、ちょっとこのあたりの事例を調べてみて」という"依頼"が生じるようになります。こうした注文や依頼は、経営層や他部門が何か新しい施策や打ち手を考えているものの、まだ具体的な形になっていない状態で発生しやすいです。つまり、経営層や他部門の動きや関心事を、まだ彼らの頭の中にあるような段階で掴むことができるようになります。

 情報を提供し続けていると、逆に情報が集まるようになるのです。経営の方向性の流れが見えてきますし、さらに良いのは、事例報告の際に総務としての観点や要請、留意点をお伝えすることで、早くから「ピン止め」「釘打ち」できるようになることです。総務が「こっそりと」リードできるようになっていきます。

図表2:情報提供活動の実践イメージ図
情報提供型総務になり、まずは信頼関係を構築する

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 勝手に月報大作戦、いかがでしたか?
 確かに最初は少したいへんです。まずは『月刊総務』に付箋をつけて回覧することからスタートしてもよいかもしれません。こうして積み上げた信頼関係が、社内アピールを本格化するときに大きな武器になります。
 急がば回れ。半年程度で確実に良い方向になっていきますので、ぜひ、チャレンジしてみてください!
 
 次回はStep3に進めていきます。

秋山 和久
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