「人材」を「人財」に変えるためのリーダー養成講座 京セラコミュニケーションシステム株式会社 人財育成支援事業部 事業部長 竹松 健治さん

【最終回】Vol.11 企業経営の要諦とは何か

2017年3月14日 10:37更新

お客さまから給与をいただくという意識

 早いもので、今回が最終回となりました。今までご愛読をいただき、ありがとうございました。最終回にあたり、「企業経営の要諦とは何か」というテーマを考えたいと思います。

 

 ピーター・ドラッカー博士は、「企業経営とは顧客の創造により成り立っている」と述べています。つまり、どの企業の経営もお客さまあってこそということです。にもかかわらず、「誰のために仕事をしていますか」と聞かれると、「自分のためです」と即答する方が多くいらっしゃいます。それは、「あなたのために勉強という仕事をしなさい」と両親や学校の先生から教えられてきたからではないでしょうか。

 

 だからこそ、企業においては、「お客さまあっての自分たち」という考え方を植え付けることから始めることが重要です。そもそも入社と同時に、たとえ研修を受けていても給与支給の対象となります。学生時代は、授業料を支払って学んできましたが、企業人になった直後から、給与をもらって学び始めるわけです。私たち講師は、新入社員に「みなさんは今コストです。早く戦力になってプロフィットを生み出してほしい」というメッセージを送ります。そして、「先輩たちが一所懸命稼ぎ、もうけてくださったお金で研修を受講できることに感謝し、学習ではなく、学修して生かしてほしい」と伝えています。

 

 とはいえ、「誰から給与をもらうことになりますか」と尋ねれば、「会社」や「社長」と答えてしまう人も少なくありません。それだけ「お客さまから給与をいただく」という意識は、よほど教育しないと定着しないものです。

 

組織力を発揮して経営を伸ばすために

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 「成長なくして幸せなし」という考え方については、誰もが共感できるものですが、成長とは「できないことができるようになること」としか考えていない人が多いものです。企業人としての成長とは、貢献してこそ成し遂げていけるのです。しかし、貢献度合いを定量的に捉えるためには仕組みが必要であり、上司が部下に、自部門の貢献度合いを日ごろから伝えていないと、忙しいから貢献していると勘違いしてしまいがちです。

 

 大手企業のコンサルティングを行って、部門別・品種別採算を算出してみると、実は一番売れていた商品が赤字であったということが判明し、大きな問題になったケースもありました。また、品質が悪いという問題を解決するために、品質管理コストをかけすぎた結果、品質は抜群に良くなったものの、採算は悪化してしまったということもありました。ゆえに、努力が成果に結びついているかどうかを、正しく、リアルタイムで捉えることが重要です。そうしないと、報われない努力をすることになります。

 

 また、どの企業においても組織を作りますが、役割と責任が明確かどうかも見直す必要があります。それを全員が自覚してこそ、役割と責任を果たしていくことができます。そして、何よりも「自分がやらねば誰がやる」という当事者意識をもって、いわれてからではなく、自ら積極的に役割と責任を果たそうとする集団、これぞ目指す姿ではないかと思います。

 

 つまり、全員参加ができてこそ、組織力を発揮して経営を伸ばすことが可能となるわけです。しかし、そのとき、責任感の強い人ほど自分で抱え込んでしまう傾向になりがちです。いかに渦の中心となって周りを巻き込み、他力を自力にしていけるか、それが重要になります。そこで、周りに支援してもらえる人格が必要となります。いくら立派なことをいっても、利己的な考え方を持つ人には、誰も協力しようとは思いません。だからこそ、企業では考え方をしっかりと教育していくことが必要になります。

 

 心は、なぜ心というのでしょうか。それは、「コロコロ揺れ動く」からだといわれています。揺れ動く心の奥底にある不動の本性、それは愛と誠と調和に満ちた「真・善・美」という美しい心です。しかし、人はつい本能や感情でものごとを考えてしまいます。その本能や感情を、いかに理性でコントロールできるか。それが大切な企業経営を伸ばす上での要諦ではないでしょうか。まだまだ未熟だと思い、日々反省して明日を決意して実践する。そのような日々にしてこそ、経営を伸ばし続けていけるのではないかと思います。



「人材」を「人財」に変えるポイント

  • 「お客さまあっての自分たち」という考え方を植え付ける
  • 努力が成果に結びついているかどうかを、正しく、リアルタイムで捉える
  • 周りを巻き込み、他力を自力に変える
  • 本能や感情を理性でコントロールする