月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

【総務の現場から】自ら学び、実践し、教えるループで「働きがいのある会社」を実現

2018-06-12 10:04

存続の危機に直面し、全員で作った会社の方針

 ファシリテーション型のコンサルティングで、企業変革のための新たなビジネスモデルの検討から業務改善、ITソリューションの導入まで、一貫したサービスを提供している同社。社員の8割はコンサルタント。通常はお客さまのところに常駐している。「働きがいのある会社」アンケートでは、三年連続ベストカンパニーに選出。とはいえ、ずっと順調にきたわけではない。「会社としては、100人規模まで急成長したあと、30人くらいまで急激に減ったときがありました。そのとき、このままでは会社がなくなる。もう一度、会社を一から作り直そうと、全員で合宿をして議論し、会社の方針を固めました」と話すのは人事マネージャー アソシエイトディレクターの影山明さん。それが、【1、自分たちの会社をつくる 2、学びあい、ともに成長する 3、いい仕事をしてファンを増やす 4、オープンな会社、公平な評価】。2006年のことだった。

ノウハウは言語化し、共有し合うことで成長

 以来、さまざまな取り組みを行ってきた。たとえば、【1、自分たちの会社をつくる】の施策では、年1回オフサイトミーティング(合宿)を実施。全員で会社の将来について考え、議論をする。その企画や運営を、立候補した社員がすべて行うというのが特徴的だ。
 【2、学びあい、ともに成長する】では、月2回の帰社日を設定。この日は、コンサルタントが会社に戻ってきて、トレーニングをしたり、社員同士で相談をしたりする。一日中、多彩なトレーニングメニューが設定されているのだが、その99パーセントが内製だ。基本的な考え方としては、各自が仕事で経験したことや、身に付けたノウハウを、言語化、文書化して、みんなに伝える。講師も社員。自ら手を挙げる人もいれば、1年目の社員にやらせることもある。「新人でも自分が携わったプロジェクトについては語れます。経験を、失敗も含めて言語化してアウトプットすると、講師をした人がいちばん勉強になる。それがいいところです。また、トレーニングで学び、仕事で実践し、学びが役立つ、と実感すると、共有するのはいいことだと、次は、自分が教える側に回る。そのループが回って、会社の品質も上がっていく。そういったところも、弊社の良さだと思っています」。
 現在、トレーニングメニューの数は240にも及ぶ。受講は各自の自由。「トレーニングの星取表」があり、「受けた」「講師ができる」「講師をした」のマークをつけることで、ナレッジの分布がわかるようになっている。社外講師の勉強会もあるが、こうしたトレーニングの企画、運営も社内の有志によるチームが行っている。

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フィードバックと評価には惜しみなく時間をかける

 【4、オープンな会社、公平な評価】でいうオープンは、同社にとってコアの価値観だ。週1回のマネジメントミーティングの議事録も全員で共有している。「大切にしているのは、なるべく早く全社員に伝えること。そして、やるといったことはやること。言行不一致では信頼関係が崩れます。かつての反省を踏まえて、良いことも、悪いことも、経営の情報はすべてオープンにしています」。結果、「働きがいのある会社」のサーベイでは、経営層への信頼のスコアが高くなっている。
 評価は、完全な実力主義、絶対評価だ。力があれば昇格し、なければ降格する。公平性を保つには下げることも必要になる。不信感が生まれないよう、日々のフィードバック、さらにプロジェクトの節目でのフィードバックに力を注ぐ。約3か月ごとに、マネージャーがメンバーへのフィードバック(評価)シートを作成。このシートが1人、年間に4、5枚集まる。これを見ながら、経営陣全員で、2、3週間缶詰めになって、全社員分の年間の評価を議論する。「この評価に時間をかけるというところが、一番のポイントではないかと思っています」。

新オフィスに移転 より働きがいのある会社に

 「働きがいのある会社」へのエントリーを始めたのは、新卒採用における知名度アップが一つの目的だ。実際、応募のきっかけとして、このランキングを挙げる人が増えている。「それだけでなく、やってみると、アンケートの結果がもらえることで、より会社の問題が把握でき、それを解決していこうとの動きにつながった。今では会社を良くするためのツールの一つとして捉えています」。
 課題として上がっていたことの一つが、オフィス環境だ。「学生やお客さまを呼びやすいオフィスにしたい」「カルチャーが伝わるオフィスにしたい」との声があり、2018年1月、新オフィスに移転。このオフィスも【1、自分たちの会社をつくる】の趣旨にのっとって、社員の有志がプロジェクトを立ち上げ、物件探しから始めた。コンセプトに「ファシリテーターの殿堂」「社内と社外が交わるオフィス」などを掲げ、フランクに話せるバーなど至るところに議論できるスペースが作られた。「チームを超えたコミュニケーションを促し、そこから新たなものが生まれることを促進できる、戻ってきたくなるオフィスを目指しました」。狙い通り、新オフィスになってから、帰ってくる社員の数と回数が増えた。また、オフィスを活用し、週に1回、外部の講師を招いての講演会や、自社が主催の勉強会なども開催した結果、来客も増えている。

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 「いろいろな取り組みをしていますが、働きがいというのは、自分の仕事に対する周りの反応がすごく大事だと思っています。お客さまから、経営から、同僚から、しっかり反応がもらえるような施策を考えています」。新しいオフィスには、お客さまが「いちばんグッときた」仕事ぶりへのコメントが張り出されたコーナーもある。このオフィスが、さらに働きがいを高めてくれそうだ。

※Great Place to Work(R) Instituteが主催する「働きがいのある会社」ランキング

【会社DATA】
本社:東京都港区赤坂2-14-32 赤坂2・14プラザビル4階
設立:1997年6月
代表者:代表取締役社長 鈴木 努
資本金:1,000万円
従業員数:107人(2018年4月現在)
https://www.ctp.co.jp/


 

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい6月のトピックス

2018-05-29 15:59

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●コーポレートガバナンス・コードの改訂

 コーポレートガバナンス・コード(以下、「CGコード」)の改訂案が、金融庁に設置されているスチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議から2018年3月13日に公表され、東京証券取引所によってパブリックコメントに付されました。加えて「投資家と企業の対話ガイドライン(案)」も公表されています。
 CGコード改訂案の主な内容は、(1)政策保有株式に関する原則の説明強化、(2)企業年金のアセットオーナーとしての機能の強化、(3)「CEOの後継者計画」につき、取締役会の具体的な関与方法等の明記、(4)取締役の報酬について取締役会の役割の具体的な明示、(5)最高経営責任者の選任と解任につき、取締役会の役割を明示、(6)取締役会の構成について「ジェンダーや国際性の面を含む」という、より具体的な記載が追加されています。
 特に(3)(5)(6)は、上場企業のガバナンスにとって重要であると思われます。(3)のCEOの後継者計画については、従来の日本企業では現役のCEOの独壇場でしたが、ガバナンスを高めるために、「取締役会が後継者計画の策定・運用に主体的に関与する」とされました。また、(5)のCEOの選解任は、取締役会による手続きが重視されています。さらに、(6)では前記の通り、女性および外国人の登用によって役員構成の多様性をはかることが望ましいとされています。

■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●労働時間改善指導・援助チーム発足

 2018年4月1日、全国すべての労働基準監督署に「労働時間改善指導・援助チーム」が編成されました。このチームは2班で構成されます。まず、「労働時間相談・支援班」は、労働基準監督署内に「労働時間相談・支援コーナー」を設置し、主に中小企業を対象として36協定をはじめとする労働時間制度全般に関する相談業務を担当します。次に、「調査・指導班」では、「労働時間改善特別対策監督官」として任命された労働基準監督官が監督指導を担当します。これらは今年度の「地方労働行政運営方針」にも明記されており、厚生労働省の重点ポイントになっていることがうかがわれます。


●パワーハラスメントの定義

 2018年3月30日、厚生労働省は「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」が取りまとめた報告書を公表しました。定義の難しさから注目されていたパワハラの概念は、次の3つを満たすものとされています。
 (1)優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること、(2)業務の適正な範囲を超えて行われること、(3)身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること。併せて、この要素を満たすもの・満たさないものが例示されています。
 今後、労働政策審議会で議論が進むことが予想されます。

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●中小企業者における所得拡大促進税制の改正

 2018年度税制改正により、所得拡大促進税制に係る適用要件の簡素化と控除率の拡大が
行われました。2018年4月1日から2021年3月31日までの間に開始する事業年度においては、基準雇用者給与等支給額・比較雇用者給与等支給額の増加要件が廃止され、平均給与等支給額に関する増加要件のみ適用されます。
 さらに、改正前の税額控除額は雇用者給与等支給増加額(基準雇用者給与等支給額からの増加額)×10%(法人税額の20%を上限)でしたが、改正後は給与等支給増加額(前期からの雇用者給与等支給額の増加額)×15%(法人税額の20%を上限)になります。また、教育訓練費が一定割合増加した場合、税額控除割合が上乗せされる措置も講じられました。

●相続税の小規模宅地等の特例見直し

 2018年度税制改正により、持ち家に居住していない者に係る特定居住用宅地等の特例(家なき子特例)の対象者の範囲が見直しになります。改正後は、(1)相続開始前3年以内に「その者の三親等内の親族」又は「その者と特別の関係のある法人」が所有する国内にある家屋に居住したことがある者、?相続開始時に居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者が対象から除外され、2018年4月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。

『月刊総務』2018年6月号P7より転載

 

『月刊総務』本誌記事:

【総務部門】6月の業務ポイントと行事

2018-05-28 18:48

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◆6月の業務ポイント

▼株主総会の準備
▼新役員就任のあいさつ状の発送
▼社員持株会総会の開催
▼新任管理者合宿訓練の実施
▼自己申告書の提出と整理
▼全部課の文書類の整理
▼暑中見舞い用はがきの手配
▼中元贈答品の決定と発送準備
▼賞与の決定と手続き
▼夏季厚生施設の利用受け付け
▼夏の健康管理キャンペーンの実施
▼冷房器具の点検と試運転
▼夏祭りなどへの企業参加の決定と準備
▼社内報の編集と発行

◆6月の月間&週間行事

▼6月1日-30日
・まちづくり月間(国土交通省)
・男女雇用機会均等月間(厚生労働省)
・二輪車交通事故防止強化月間(国土交通省)
▼6月1日-10日
・電波利用環境保護周知
・啓発強化期間(総務省)
▼6月10日-16日
・火薬類危害予防週間(経済産業省)

◆世界旅行気分!

▼オーストラリア連邦(Australia )aus.jpg
 オーストラリア大陸本土、タスマニア島および多数の小島から成りオセアニアに属する国。世界六位の面積を持つが、人口は日本の約五分の一。そして羊の数が人口の約八倍というから桁外れだ。広大な土地に熱帯雨林や砂漠などの大自然が広がる。世界最大の珊瑚礁であるグレートバリアリーフや世界遺産のウルル(エアーズロック)は特に有名だ。
 カンガルーやコアラ、タスマニアデビルなど、野生動物も数多く生息。また、オーストラリア最大都市シドニーの、近代的な高層建築と十九世紀の歴史ある建物が混在する町並みはとても美しく、観光地としても人気が高い。南半球なので、季節が日本と真逆、そろそろ冬を迎える頃。真逆の季節を体感しに、夏休みはオーストラリアへ行ってみる?


【DATA】(外務省HPより)
●人口:約2,460万人(2017年6月)
●面積:769万2,024km2(日本の約20倍)
●首都:キャンベラ
●言語:英語


『月刊総務』2018年6月号P6より転載

 

『月刊総務』本誌記事:

【総務の現場から】より健康的で働きやすい環境を整備
ダイバーシティで自走組織を目指す

2018-05-17 10:35

トップ、人事、社員が足並みをそろえて変革へ

 130年の歴史を誇り、カナダに本社を置くマニュライフ。日本でも全国各地に営業所を展開し、法人および個人のお客さまに質の高いサービスを提供している。同社の働き方変革は、カナダ国籍の前社長(4月1日付けで現社長に交代)が日本に赴任した当初から動き始めていた。「海外から見ればダイバーシティが進んでおらず、これは推し進めなくてはいけない、とのトップの強い意向がありました。しかし、女性にリーダーシップを発揮してもらうにも、それを可能にする働きやすい環境や制度面を整えなければ進みません。また、人事でも、成長過程にある弊社のこれからを考えると、今、働き方の変革をしなければとの思いがあり、この3年、本格的に取り組みを加速させてきました」と、執行役員人事部長の前田広子さんは話す。
 業務効率を追求するだけでなく、社員が余暇を楽しんだり、ストレッチした違う仕事ができるようにしたいとの思いもあった。他方、社員の意識調査でも、「もっと働きやすい職場になってほしい」「成長したい」「残業が多い」など、いろいろな声が上がっていた。「取り組みを本格的に開始したのは2015年からですが、トップ、人事、社員の足並みがそろっています。それが、短期間でいろいろなものを導入できた要因だと思います」。
 取り組み自体は、ボトムアップで進めた。部署ごとにプロジェクトチームを作り、それぞれの課題に合わせた目標を設定して活動。途中経過と年度末の最終発表は、リーダーが集まって経営陣の前で行う。先行して一年、パイロットの部署で行ってから全社展開した。「弊社ではダイバーシティ、オーナーシップ(当事者意識を持つ)、マネージャーの有効性をテーマに掲げ、この3つによって高い業績のチームが作れると考えています。各部署でプロジェクトを進めることは、自ら考えて動く機会に、リーダーシップを発揮するいい機会にもなっています」。

ジーンズ勤務可や昇降式のデスク導入で健康増進

 人事は、そうした活動のサポートを行いつつ、全社的なインフラ面を整備。たとえば、2015年度から、カジュアルウエアでの勤務を可能とするドレスコードを導入。「社内でずっと仕事をしている人にとっては必ずしもスーツが働きやすいものではありません。また曜日を限定する意味もないので、2017年度からは、毎日ジーンズでの勤務も可能にしました」。カジュアルな服装は、コミュニケーションをしやすくする。また、肩が凝らないなどの健康面での効果も期待できる。
 健康関連でいうと、もっとも特徴的な取り組みは、2015年の本社オフィス移転を機に、ボタン一つで上下に昇降するデスクを導入したことだ。「座りっ放しは健康に良くない、立つことが健康に良い、腰痛防止にもなるといわれていますよね。高価なものではありますが、本社の執務デスクにいっせいに導入しました。それだけ社員の健康に対する思いが経営も強かったのだと思います」。2017年8月から大阪オフィスにも導入。座るにしても、デスクの天板の高さを自分にちょうどいい高さに調節できる。これも肩凝り防止になる。実際の使われ方としては、昼食後に立っている人が多いそう。「眠気覚ましかもしれません(笑)。あとはフランクに立ち会議を席でしているようすも見られます。私は、席にいるときには100パーセント立っています。集中力が高まりますし、また、立っていることに疲れたら帰ろうと決めているので、立っていられる間に仕事を終わらせようと、メールを返信するにも簡潔に、という気持ちになります」。

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ウオーキング促進のアプリも開発

 また、2016年から、心身ともに健康であることをサポートする社会貢献活動の取り組みをスタート。最初のプログラムとして、健康増進のためのウオーキングを促すスマートフォンアプリ「マニュライフ ウォーク」を開発した。これは、社員はもちろん、誰もが利用できる歩数計機能を持ったアプリ。特徴的なのは、目標歩数を達成すると、カンボジアの子供にシューズのドネーション(寄付)ができる社会貢献活動のツールにもなっていること。さらに社内ではアプリを活用したウオーキングを推進するための取り組みも定期的に開催。歩数の多い人には東北や熊本の特産品をプレゼントしたり、社員が歩いた歩数を1歩1円として被災地に会社が寄付をするイベントも。こうした取り組みによって、平成29年度東京都スポーツ推進企業、スポーツ庁のスポーツエールカンパニーに認定されている。

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空いた時間で、研修への参加希望が増加傾向に

 ほかにも、コアタイムを撤廃したフルフレックス制度や、在宅勤務(社外勤務)制度も導入。「目的や業務にかかわらず全社員が利用できる制度です。上長の承認をもらって、人事部に用紙を提出すれば、原則、受け付けないということはありません」。利用者は増えているという。
 外部講師を招いての健康関連の社内研修も行っている。テーマは、正しい姿勢について、ストレスマネジメントなど。基本的に人事が企画する研修は就業時間内。参加は任意だが、体験型で90分と時間もコンパクトなため、集まりもいい。「健康関連にかかわらず、研修は多く用意しています。早く帰れるようになって、健康的になってよかったね、だけではなく、今後は、できた時間で、今まで出られなかった研修にも参加して成長してもらえたら、と。本年度の研修の参加申し込みの出だしは好調です。効果が出てきているのではないかと感じています」。
 この先は変革が一過性で終わってしまわないよう、わざわざ取り組みにしなくても、ワーク・ライフ・バランスよく働き、成長する自走組織を目指していく。


【会社DATA】
マニュライフ生命保険株式会社
本社:東京都新宿区西新宿3-20-2
東京オペラシティタワー30階
設立:1999年3月
代表者:取締役代表執行役社長兼CEO 吉住公一郎
資本金:564億円(2018年3月31日現在)
従業員数3,891人(2018年3月31日現在)
https://www.manulife.co.jp/


 

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい5月のトピックス

2018-04-27 11:45

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●会社法改正の行方―株主提案権の制限

 2018年2月6日に法制審議会の会社法制部会から「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する中間試案」が報告されました。
 最近の株主総会では、一人の株主が膨大な数の議案を提案する等の株主提案権の行使が株主総会の機能を阻害しており、中間試案は株主提案権を数的に制限する案を明記しました。すなわちA案は取締役会設置会社における議案の提案につき、5を超えることができないとする考え方です。これは、役員および会計監査人の選任議案が制限に含まれ、選任される役員等の人数にかかわらず一つの議案と数えるA1案と、選任議案を含まないA2案に分かれています。他方、B案は提案数について10を超えることができないとする考え方であり、上記と同様にB1案とB2案に分かれています。
 また、「株主がもっぱら人の名誉を侵害し、または人を侮辱する目的で株主提案を行う」「株主がもっぱら人を困惑させる目的で株主提案を行う」「株主がもっぱら当該株主または第三者の不正な利益をはかる目的で株主提案を行う」「株主提案により株主総会の適切な運営が妨げられ、株主の共同の利益が著しく害される恐れがある」ときには、株主提案権が認められないこととしています。
 加えて、株主提案権の行使要件のうち、300個以上の議決権という持株要件および行使期限の見直しは、なお検討するとしています。

■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●テレワークのガイドライン

 厚生労働省は、テレワークに関するガイドラインを公表しました。おおむね従来からの基本的事項が確認されていますが、次の3点には注意が必要でしょう。
(1)テレワークは、移動時間中であっても情報通信機器を用いて業務を行うことが可能であるため、通勤時間であっても会社の指揮命令下で行われる場合は労働時間となる。
(2)長時間労働対策として、時間外・休日・深夜における上司からのメールの制限およびシステムへのアクセス制限、加えて、時間外・休日・深夜労働を原則禁止し、許可制として就業規則に明記することが有効である。
(3)費用の負担として、テレワークに要する通信費や、もっぱら会社への出勤を要しない従業員が出勤する場合の交通費について、従業員が負担するか否かを事前に労使で十分に話し合い、就業規則に定めておくことが望ましい。

●2019年の国民の祝日

 2018年2月1日付の官報で2019年の国民の祝日が公表されました。「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」により、天皇誕生日は現在の12月23日から2月23日に改められます。法律の施行日は、2019年4月30日となっていますが、施行日の時点で2月23日を過ぎているため、2019年は「天皇誕生日が祝日ではない」という異例の年になります。

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●労働保険料の損金算入時期

 法人が納付する労働保険料の損金算入時期は、次の通りです。
(1)法人が負担すべき概算保険料:労働保険料申告書を提出した日、またはこれを納付した日の属する事業年度の損金の額に算入します。
(2)法人が負担すべき確定保険料に係る不足額:労働保険料申告書を提出した日、または納付した日の属する事業年度の損金の額に算入します。ただし、当該事業年度終了の日以前に終了した保険年度の不足額については、労働保険料申告書の提出前であっても、未払金に計上することができます。
(3)確定保険料に係る超過額:法人が負担すべき概算保険料の額に係る部分の超過額については、労働保険料申告書を提出した日の属する事業年度の益金の額に算入します。

●契約社員等への慰労金について

 無期労働契約への転換等に伴い、非正規社員に対して慰労金を支給した場合、その慰労金が税務上の「給与所得」と「退職所得」のいずれに該当するかは支給実態により判断することになります。「退職所得」の判断基準は、次の通りです。
(1)退職(勤務関係の終了)という事実によって初めて給付される。
(2)従来の継続的な勤務に対する報償ないしその間の労務の対価の一部の後払いの性質を有する。
(3)一時金として支払われる。

『月刊総務』2018年5月号P7より転載

 

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