月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

【総務の現場から】月曜午前中に"営業休"を導入。従業員のやる気も生産性も向上!

2019-02-15 10:35

待遇上の不利益は出ない"営業休"という形

 「互い助け合いの場の創造を通して、物心両面の幸福を実現し、世界の発展に寄与する」をミッションに、Q&Aサイトや、500サイト以上に導入されているFAQシステム「OKBIZ.for FAQ/Help desk Support」などのソリューションを提供している同社。また、感謝を価値化し、「イイコトしたらイイコトある」社会を実現する新経済圏「感謝経済」プラットフォームを推進。さらにAI、サイバーセキュリティなどの技術を組み合わせた独自サービスの提供など、事業を拡大している。そんな同社では、2018年10月より月曜日の午前中を休みとする"営業休"を導入。「お客さまへの対応など、シフト制を取っている部署もありますが、原則、全職種、月曜の9時から12時は営業休としています」と、経営管理本部 経営企画部 コーポレートカルチャーグループ マネージャー 兼 人事労務室の山本卓也さん。"営業休"という形にしたのは、従業員に待遇上の不利益が出ないようにするため。「導入に当たっては、その点と、お客さまへの対応にもっとも気を遣いました」と、経営管理本部 経営企画部部長の廣川佳嗣さんは話す。

きっかけは、従業員の健康も考えての経営判断

 okwave02.jpgそもそも、この制度はトップの発案によるもの。トップは従業員のことを健康面も含めていつも気に掛けており、より生産性高く、効率良く働けるようにするにはどうすればいいか、を常に考えていた。そうした中、いわゆる「ブルーマンデー症候群」に注目。休み明けの月曜の午前中は気分が沈み、生産性が低い。であれば、いっそのことしっかりリフレッシュしてもらい、午後から出社すればいいのではないか、と考えた。ただ、同社が調べた限り日本初の試み。事例も教科書もない。3か月かけて検討を重ね、制度作りに取り組んだ。
 大変だったのは、現場に理解してもらうこと。当初、この話を聞いた従業員たちは喜びよりも不安が勝っているようすだった。そこに対して趣旨を説明し、丁寧なコミュニケーションを重ねて行った。他方、お客さまには、営業からの説明はもちろんのこと、請求書に案内の文書を同封し、理解と協力をお願いした。
 導入から2か月が経った12月現在、とても好評だ。従業員からは、「これまででいちばんいい制度」との声も上がり、お客さまからは苦情は一切なく、逆に「話を聞かせてほしい」といわれることもあるという。

従業員満足度と労働時間的に効果あり

 では、どのような効果が上がっているのだろう。「まず、気持ち的にかなり違います。日曜の夜から変わりますから。テンションが下がったまま1週間を始めるのか、リフレッシュしてスタートするのか。時間の使い方は人によって違いますが、私は、なかなか行けない行政機関の手続きなどを済ませています。それと、以前は、数字的な確認をする定例ミーティングが月曜の朝にあったのですが、金曜に移動しました。そのリズムに変えてよかったです」(廣川さん)。
 また、介護で週末は実家に帰っている人などにとっては、日曜の夜をゆっくり過ごせるのはうれしいだろう。ほか、月曜の午前中を、社内のサークル活動に充てている人もいる。このように、月曜の午前を営業休としたことで、時間の使い方、働き方が変わってきている。この制度を導入した背景には、「働き方はこうだ」というのではなく、「変わるということにみんなが慣れよう」とのメッセージもあった。働き方改革を推進する上で、これはあらゆる企業で参考になりそうだ。
 もちろん、生産性の向上につながらなくては意味がない。月曜の午前中の3時間分、1か月(4週)で12時間分が減ったわけだが、その分、効率的に仕事をするようになった。
 IT化も同時に進めているが、導入1か月後の労働時間を見ると、多い人で3時間増えている程度。総労働時間では9時間減った計算になる。「締め切りのある仕事もずれ込んではいない。つまり12時間分の生産性を上げられているということ。現段階では、従業員満足度と労働時間的には効果が出ています」(山本さん)。

社内の「感謝」を可視化する施策も好評。事業にも展開

okwave01.jpg ほかにも同社にはユニークな施策が多い。たとえば、海外のビールが置かれた無料飲み放題のBarスペース。業務終了後、従業員同士が部署の垣根を越えて、また、お客さまとも気軽にコミュニケーションを深め合える場となっている。ポイントは、グローバル展開を進めていく同社らしく海外ビールを置いていること。こうした仕掛けでも、企業文化の醸成、浸透をはかっている。
 従業員同士が「ありがとうカードオンライン」を使って「感謝」を伝え合う仕組みもある。業務には数字に表しにくいものもあるが、「感謝」を可視化することで、本人のモチベーションになったり、あるいは、新たな評価軸にすることもできる。ちなみに、この文化の浸透のため、一定期間、毎週のマネージャー会議で、部下に「ありがとう」カードを書いてもらう時間を設けたという。上司からすればカードを書くために一層一人ひとりの活躍を見るようになる。それをあらためて「ありがとう」と言葉にして伝えるのがいい。さらにこの仕組みを発展させ、2018年12月より、無料ピアボーナス・感謝メッセージングサービス「OKWAVE GRATICA」として対外的にも提供を開始。これは同社が推進する「感謝経済」プラットフォームの新サービスの一つ。感謝とともに「OK?チップ」という仮想チップを贈ることもできる。このチップは、感謝経済圏の参画企業からの優待品と交換ができたり、寄付などにも使えるという。
 今後は、こうしたさまざまな施策をグループ会社にも導入していきたいと考えている。そして、みんなで一緒に文化を作り、これからも同社ならではのサービスを生み出し続けることを目指していく。


【会社DATA】
株式会社オウケイウェイヴ
本社:東京都渋谷区恵比寿1-19-15ウノサワ東急ビル5階
設立:1999年7月
代表者:代表取締役会長 兼元謙任 代表取締役社長 松田 元
資本金:9億9,600万円(2018年6月30日現在)
従業員数:125人(単体)
https://www.okwave.co.jp/


 

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい2月のトピックス

2019-01-29 10:10

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●職場におけるパワーハラスメントの法制化

 厚生労働省が設置している労働政策審議会は、2018年11月19日に開催された会合において、職場のパワーハラスメント(以下、「パワハラ」)を法制化する方針を明示しました。分科会では、経営者側の委員からパワハラと正当な指導の区別が困難であることなどの理由により反対意見が相当程度出されていたようですが、職場のパワハラに基づくうつ病等の精神障害による労災認定の増加が社会問題化しつつあることなどを考慮して、法制化が決定されました。
 具体的には、(1)職場におけるパワハラの定義の明確化、(2)事業主に対してパワハラ防止のための雇用管理上の措置を講じることを法律で義務化、(3)厚生労働省によるパワハラの定義や防止策等に関する指針の策定、(4)紛争解決のための調停制度や助言・指導を履行確保するための措置を法律で規定することとされています。
 (1)の定義は、「優越的関係に基づく」「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により」「就業環境を害すること(身体的もしくは精神的な苦痛を与えること)」とされるようです。また、厚生労働省が策定する指針には、第一に定義の前記三要素の具体的内容等、第二に事業主が講ずべき措置等の具体的内容(事業主における方針の策定や相談等の体制の整備等)、第三に事業主が講ずることが望ましい取り組み(パワハラの発生要因を解消するための取り組み等)が明示されています。


■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●同一労働同一賃金の指針案

 2018年11月27日、同一労働同一賃金に関する指針案が労働政策審議会に諮問されました。これは、2016年12月に策定された「同一労働同一賃金ガイドライン案」を踏襲したものです。大きな変更はありませんが、最高裁判決(長澤運輸事件)を踏まえ、定年後再雇用者の取り扱い等が加えられています。
 指針案では、定年後再雇用の場合は、待遇の相違があったとしても「その他の事情」として考慮されることでおおむね許容されることが書かれています。ただし、定年後再雇用者であることのみをもって、直ちに待遇の相違が許容されるわけではないことも書かれています。順調に進めば指針として公布され、今年の春闘で重要な議題となることが想定されます。

●高年齢者の雇用状況

 厚生労働省は、2018年「高年齢者の雇用状況」に関する集計結果を公表しました。これによると、60歳定年後「継続雇用を希望したが継続雇用されなかった者」は0.2%であり、定年後も継続雇用されることが当たり前の社会となっていることがわかります。また、定年を65歳とする企業は16.1%、70歳以上働ける制度のある企業は25.8%となっており、 高年齢者が年齢にかかわりなく働き続けることができる生涯現役社会の実現が進んでいることがわかります。

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●「不動産の使用料等の支払調書」における前払家賃の記載方法

 「不動産の使用料等の支払調書」の支払金額は、「その年中に支払の確定した対価の金額」と規定されており、原則として、相手方にその支払を請求し得ることとなった金額であると解されています。
 したがって、各月分の家賃を前月の末日までに支払う契約、いわゆる前払家賃については、本年2月分から翌年1月分の家賃に相当する金額を当該支払調書の「支払金額」欄に記載することとなります。


●家電リサイクル料金等の消費税経過措置

 2019年10月1日より消費税率の10%引き上げが予定されていますが、8%への引き上げ時同様、一定の取引については施行日以降も8%を適用することができる経過措置が設けられています。具体的には、「旅客運賃等」「電気料金等」「請負工事等」「資産の貸付け」「指定役務の提供」「予約販売に係る書籍等」「特定新聞」「通信売」「有料老人ホームの介護に係る入居一時金」「家電リサイクル法に規定する再商品化等(リサイクル料金等)」です。
 「家電リサイクル法に規定する再商品化等」については、今回新たに設けられた措置であり、施行日前にリサイクル料金を領収し、施行日以後にリサイクルされる場合には、旧税率の8%が適用されることとなりました。


『月刊総務』2019年2月号P7より転載

 

『月刊総務』本誌記事:

【総務部門】2月の業務ポイントと行事

2019-01-28 11:38

koyomi1902.jpgクリックで拡大

◆2月の業務ポイント

▼新入社員入社前教育の実施
▼新入社員教育担当者の決定と研修
▼新入社員教育カリキュラムの決定
▼新入社員の配属検討
▼新年度経営計画作成
▼新年度部課内業務計画の作成
▼昇給のための人事考課開始
▼各種業務規程類の見直し
▼保存文書類の整理
▼社員寮・社宅等の点検と修理
▼職場における健康診断推進運動および全国生活習慣病予防月間への取り組み
▼省エネルギー月間への取り組み
▼社内報の編集と発行

◆2月の月間&週間行事

▼2月1日-2月28日
・職場における健康診断推進運動(全国労働衛生団体連合会・中央労働災害防止協会)
・全国生活習慣病予防月間(日本生活習慣病予防協会)
・省エネルギー月間(経済産業省・資源エネルギー庁)
▼2月1日-3月18日
・サイバーセキュリティ月間(内閣サイバーセキュリティセンター)
▼2月18日-3月15日
・所得税の確定申告

◆世界旅気分

▼パプアニューギニア独立国(Independent State of Papua New Guinea)
papua.png 南太平洋にあるニューギニア島の東半分および周辺の島々からなる立憲君主制国家。「パプア」とはマレー語で「縮れ毛」を意味する。第二次世界大戦中、日本軍と米・豪軍の交戦が行われたブーゲンビル島には、今でも多くの日本兵の遺骨が残されているという。国民は高地族を中心に多くの部族で構成されており、話されている言語はなんと800以上にもなる。地形が急峻なため、古くから各地域間の交流がほとんどなく、地域ごとの独自性はかなり強い。その地形のため、現代でも道路はすべてつながってはおらず「陸路では行けない」という地域も多い。産業は基本的に農業。コーヒーはおいしくて、お土産にも大人気だ。


【DATA】(外務省HPより)
●人口:825万人(2017年)
●面積:46万km2(日本の約1.25倍)
●首都:ポートモレスビー
●言語:英語(公用語)、ピジン英語、モツ語など


『月刊総務』2019年2月号P6より転載

 

『月刊総務』本誌記事:

【総務の現場から】客先勤務者も含めた全社員で臨む。成長をキーワードにした働き方改革

2019-01-17 11:40

トップの思いを受けて働き方改革推進室を新設

 1986年に受託型のシステム開発からスタートし、情報セキュリティ分野におけるリーディングカンパニーとして成長してきた同社。株式上場や企業統合などを経て、現在、連結で従業員数2,000人を超える総合SI企業として事業を展開している。そうした中、2017年4月、新社長に就任した西本逸郎さんの「会社が成長し続けていくように、社員が働きがいを感じながら、共に成長していける風土にしていきたい」との思いから、働き方改革がスタート。働き方改革推進室が新設された。「企業統合によって生じていた実務的な不便さや、企業文化の違いも再度見直して乗り越えていこう、との思いも背景にはあったと思います」と、人事部副部長 兼 働き方改革推進室長の山中聡さんは話す。
 みんなが働きがいを持って、ともに成長していける会社になるには、まず相互理解を深めていく必要があると、全社員へのアンケートや、ヒアリングを重ねた。難しかったのは、技術者の約4割が客先勤務者であったこと。客先で本社と同様の取り組みをやっていくのは物理的に難しいとの意見もあった。しかし、トップの「難しい状況の人たちもみんなで一緒に進んでいこう」との考えの下、全社員で、働き方改革にチャレンジしていくことを決めた。

客先勤務者も参加しやすい一週間帯のイベントを実施

lac01.jpg 働き方改革推進室メンバー2人のほか、各部門からプロジェクトメンバーを選出。月2回のミーティングを中心に、具体的な施策に取り組んでいった。プロジェクトメンバーは2018年現在、31人。その中には客先勤務者もいる。現場の声を吸い上げることは、働き方改革を推進する上で欠かせないことだった。
 客先勤務者からは、「研修が受けづらい」「帰社する動機付けとなるようなイベントを作ってほしい」といった声も多かった。そこで月に1回、「LAC週間」というイベントを始めた。これは、業務効率アップにつながる講座など、さまざまなコンテンツによって働き方改革を意識する1週間。「1週間あれば、どこかで戻ってこられるのではないか。戻ってこられなくても、働きがいを考えるきっかけになれば、と。1年間は、そういった啓発活動をやり続けました」。
 イベント後にはアンケートを実施。人によって働き方で重視するポイントがかなり違うことも見えてきた。それぞれの働きがいを高めていきながら、結果的に会社の成長につながる風土作りを進めていけばいいとの感触もつかめてきた。
 また、取り組みをしていく中で、これを実践していくと働きがいにつながり、効率的に仕事も進められる、というものを、プロジェクトメンバーから意見を募って「働き方改革心がけ10か条」にまとめた(図表参照)。たとえば、元々会議は1時間が基本だったが、それを半分の30分に。また、目標とキャリアプランを、四半期ごとに上長と確認し合うことも、あらためて10か条の中に盛り込んだ。
 この10か条は、毎朝、PCを立ち上げ、会社のポータルサイトにアクセスすると初期画面に表示される。常駐先でも自分のPCで、また、会社貸与のスマホでも見られるようになっている。アンケートでも、「今月は10か条の何番を意識してみます」というような発言が増え、かなり浸透してきている。

会長や社長が現場を訪れる「訪問ランチ」も好評

 ほか、継続している施策の一つに、主に客先勤務者を対象とした、会長、社長との「訪問ランチ」がある。これは、トップと、プロジェクトメンバーの有志が、客先勤務者のいる拠点に赴き、一緒にランチを取りながら話を聞く場。参加は任意だが、参加率は96.7パーセントと高い。「ランチ代は会社持ちですから(笑)。何よりトップ自ら現場に来てくれる。『問題ないですか?』と、現場の目線にまで降りてきて話をしてくれる。そのことに対する社員の満足度は高い。この前のアンケート結果では、満足度100パーセントでした」。
 さらに今年からは、客先勤務者と管理職のコミュニケーション活性化のためのイベント活動予算を設定。これは、管理職がメンバーと1人につき年に2回はコミュニケーションを取ることがルール。食事をするなどでいいのだが、やる人と、そうでない人がいるため制度化した。「これが、管理職からの評判がいい。いろいろな声が聞ける、やってよかった、との声が上がっています」。

社員が「受けたい」研修を1か月集中して開催も

lac02.jpg 2018年10月には、1か月間、「トレフェス」(トレーニングフェスティバルの略)を実施した。これは、日中から業務後まで、幅広い時間帯に、技術のスキルアップや、ヒューマンスキルアップ、フィットネス、メンタルケアなどの研修を散りばめて設定したもの。これなら客先勤務者も、時短勤務の人も、都合に合わせて受講できる。ちなみに研修メニューは、社員の要望に合わせて作った。「社員の声を聞いたままにするのがいちばん良くない。少しずつでも対応するようにしています」。
 取り組みを始めた当初、具体的な働き方改革関連の諸活動に対する満足度について、社員にアンケートで聞いたところ、37ポイントだった。1年後、49に上昇した。客先勤務者からも、「自分はできないけれど、会社でそういう取り組みをしてくれているのは、すごく良い」との声も上がっている。一方で、客先勤務という制約を不遇だと思っている人ばかりではないこともわかってきた。「会社としては、働きがいを何パターンも用意できるようにしていかなければと思っています」。
 今後の課題は、客先勤務者も含めた全社員が、会社からの情報を同じ鮮度で受け取れるようにすること。ちなみに、客先は同社よりも大きな企業がほとんど。当然、働き方改革も進んでいる。同社の取り組みにも理解を示してくれている。「今後は、お客さまの方でうまくいっている制度を取り入れさせてもらう、といったことも考えていきます」


【会社DATA】
株式会社ラック
本社:東京都千代田区平河町2-16-1平河町森タワー
設立:2007年10月1日
代表者:代表取締役社長 西本逸郎
資本金:10億円
従業員数:連結2,137人(2018年4月2日現在)
https://www.lac.co.jp/


 

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい1月のトピックス

2018-12-26 10:53

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●マリオカートの知的財産権侵害に関する判決

 2018年9月27日に東京地裁はマリオカートの知的財産権侵害に関する判決をいい渡しました。原告は、同社が知的財産権を保有するゲームキャラクター「マリオ」の衣装を貸与して公道でカートを走行させる被告の行為が同社の権利利益を侵害する不正競争行為に該当するとし、当該行為の差し止めと損害賠償を求めた事案です。裁判所も衣装の貸与が不正競争行為に該当するとし、被告に当該行為の差し止めと1,000万円の損害金の支払いを命じました。本件では、被告が原告の著作物である「マリオ」の衣装をカートの使用者に貸与することが、当該カート営業等をマリオや原告の営業と混同させる事象を惹起したと判断されたのでしょう。
 他方、原告は当該行為の著作権侵害を主張したようですが、裁判所は著作権に関する判断をしていません。キャラクターは著作権法上、「美術の著作物」として保護対象となると考える裁判例もありますが、通説判例は保護対象とはならないとしています。最高裁では「キャラクターといわれるものは、漫画の具体的表現から昇華した登場人物の人格ともいうべき抽象的概念であって、具体的表現そのものではなく、それ自体思想または感情を創作的に表現したものということができないからである」と判断しています。本件において、裁判所が被告の行為を不正競争防止法違反にとどめたのは、著作権侵害の認定が困難だったからだと解されます。


■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●高度プロフェッショナル制度の導入フロー

 労働政策審議会労働条件分科会では、高度プロフェッショナル制度について審議が継続されています。10月31日、導入フローについて次の五つのステップが審議されました。まず、(1)「労使委員会」を設置し、(2)決議の上、(3)労働基準監督署へ届け出、(4)対象従業員の同意を得た上で、(5)実施することになります。
 また、その後6か月以内ごとに労働基準監督署へ報告すること、および一定時間を超える時間外労働をする従業員に対しては、医師による面接指導が予定されており、導入には厳しい要件が求められています。

●派遣社員の要望

 厚生労働省は、前回調査から5年を経て「平成二九年派遣労働者実態調査」の結果を公表しました。まず、派遣社員を年齢階級別に見ると「40-44歳」が16.5%ともっとも高くなっていることがわかります。
 この調査では、派遣社員が企業へ要望することも聞いています。派遣先企業への要望として「派遣契約期間を長くしてほしい」が29.9%ともっとも高くなっています。次いで「指揮命令系統を明確にしてほしい」が22.9%、「年次有給休暇を取りやすくしてほしい」が21.9%の順となっています。派遣社員を受け入れる企業は、適切な労務管理を実施できているかについて確認をする必要があるでしょう。

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●年末調整の再調整

 2018年の年末調整より、給与所得者が配偶者控除または配偶者特別控除の適用を受ける場合には、本年最後の給与等の支払いを受ける日の前日までに「配偶者控除等の申告書」を提出する手続きが必要となります。
 給与支払者は同申告書に基づき年末調整を行いますが、年末調整後に給与所得者またはその配偶者の所得に差額が生じた場合、従来の配偶者特別控除の適用を受けた配偶者の所得が変動した場合等と同様に、年末調整の再調整が可能です。この年末調整のやり直しは、「給与所得の源泉徴収票」を受給者に交付する翌年1月末までとなります。

●法定調書のe-Tax等による提出基準の変更

 2018年度税制改正により、法定調書の種類ごとに、前々年に提出すべき法定調書の枚数が100枚以上である法定調書は、2021年1月以後の提出は、e-Taxまたは光ディスク等による提出とされました。たとえば、2019年1月に提出した「給与所得の源泉徴収票」が100枚以上であった場合、2021年1月に提出する「給与所得の源泉徴収票」は、e-Tax等により提出する必要があります。
 また、e-Tax等による提出を義務付けられた支払者は、市区町村に提出する給与支払報告書についても、e-Taxまたは光ディスク等による提出が義務化されます。


『月刊総務』2019年1月号P7より転載

 

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