月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

【総務の現場から】客先勤務者も含めた全社員で臨む。成長をキーワードにした働き方改革

2019-01-17 11:40

トップの思いを受けて働き方改革推進室を新設

 1986年に受託型のシステム開発からスタートし、情報セキュリティ分野におけるリーディングカンパニーとして成長してきた同社。株式上場や企業統合などを経て、現在、連結で従業員数2,000人を超える総合SI企業として事業を展開している。そうした中、2017年4月、新社長に就任した西本逸郎さんの「会社が成長し続けていくように、社員が働きがいを感じながら、共に成長していける風土にしていきたい」との思いから、働き方改革がスタート。働き方改革推進室が新設された。「企業統合によって生じていた実務的な不便さや、企業文化の違いも再度見直して乗り越えていこう、との思いも背景にはあったと思います」と、人事部副部長 兼 働き方改革推進室長の山中聡さんは話す。
 みんなが働きがいを持って、ともに成長していける会社になるには、まず相互理解を深めていく必要があると、全社員へのアンケートや、ヒアリングを重ねた。難しかったのは、技術者の約4割が客先勤務者であったこと。客先で本社と同様の取り組みをやっていくのは物理的に難しいとの意見もあった。しかし、トップの「難しい状況の人たちもみんなで一緒に進んでいこう」との考えの下、全社員で、働き方改革にチャレンジしていくことを決めた。

客先勤務者も参加しやすい一週間帯のイベントを実施

lac01.jpg 働き方改革推進室メンバー2人のほか、各部門からプロジェクトメンバーを選出。月2回のミーティングを中心に、具体的な施策に取り組んでいった。プロジェクトメンバーは2018年現在、31人。その中には客先勤務者もいる。現場の声を吸い上げることは、働き方改革を推進する上で欠かせないことだった。
 客先勤務者からは、「研修が受けづらい」「帰社する動機付けとなるようなイベントを作ってほしい」といった声も多かった。そこで月に1回、「LAC週間」というイベントを始めた。これは、業務効率アップにつながる講座など、さまざまなコンテンツによって働き方改革を意識する1週間。「1週間あれば、どこかで戻ってこられるのではないか。戻ってこられなくても、働きがいを考えるきっかけになれば、と。1年間は、そういった啓発活動をやり続けました」。
 イベント後にはアンケートを実施。人によって働き方で重視するポイントがかなり違うことも見えてきた。それぞれの働きがいを高めていきながら、結果的に会社の成長につながる風土作りを進めていけばいいとの感触もつかめてきた。
 また、取り組みをしていく中で、これを実践していくと働きがいにつながり、効率的に仕事も進められる、というものを、プロジェクトメンバーから意見を募って「働き方改革心がけ10か条」にまとめた(図表参照)。たとえば、元々会議は1時間が基本だったが、それを半分の30分に。また、目標とキャリアプランを、四半期ごとに上長と確認し合うことも、あらためて10か条の中に盛り込んだ。
 この10か条は、毎朝、PCを立ち上げ、会社のポータルサイトにアクセスすると初期画面に表示される。常駐先でも自分のPCで、また、会社貸与のスマホでも見られるようになっている。アンケートでも、「今月は10か条の何番を意識してみます」というような発言が増え、かなり浸透してきている。

会長や社長が現場を訪れる「訪問ランチ」も好評

 ほか、継続している施策の一つに、主に客先勤務者を対象とした、会長、社長との「訪問ランチ」がある。これは、トップと、プロジェクトメンバーの有志が、客先勤務者のいる拠点に赴き、一緒にランチを取りながら話を聞く場。参加は任意だが、参加率は96.7パーセントと高い。「ランチ代は会社持ちですから(笑)。何よりトップ自ら現場に来てくれる。『問題ないですか?』と、現場の目線にまで降りてきて話をしてくれる。そのことに対する社員の満足度は高い。この前のアンケート結果では、満足度100パーセントでした」。
 さらに今年からは、客先勤務者と管理職のコミュニケーション活性化のためのイベント活動予算を設定。これは、管理職がメンバーと1人につき年に2回はコミュニケーションを取ることがルール。食事をするなどでいいのだが、やる人と、そうでない人がいるため制度化した。「これが、管理職からの評判がいい。いろいろな声が聞ける、やってよかった、との声が上がっています」。

社員が「受けたい」研修を1か月集中して開催も

lac02.jpg 2018年10月には、1か月間、「トレフェス」(トレーニングフェスティバルの略)を実施した。これは、日中から業務後まで、幅広い時間帯に、技術のスキルアップや、ヒューマンスキルアップ、フィットネス、メンタルケアなどの研修を散りばめて設定したもの。これなら客先勤務者も、時短勤務の人も、都合に合わせて受講できる。ちなみに研修メニューは、社員の要望に合わせて作った。「社員の声を聞いたままにするのがいちばん良くない。少しずつでも対応するようにしています」。
 取り組みを始めた当初、具体的な働き方改革関連の諸活動に対する満足度について、社員にアンケートで聞いたところ、37ポイントだった。1年後、49に上昇した。客先勤務者からも、「自分はできないけれど、会社でそういう取り組みをしてくれているのは、すごく良い」との声も上がっている。一方で、客先勤務という制約を不遇だと思っている人ばかりではないこともわかってきた。「会社としては、働きがいを何パターンも用意できるようにしていかなければと思っています」。
 今後の課題は、客先勤務者も含めた全社員が、会社からの情報を同じ鮮度で受け取れるようにすること。ちなみに、客先は同社よりも大きな企業がほとんど。当然、働き方改革も進んでいる。同社の取り組みにも理解を示してくれている。「今後は、お客さまの方でうまくいっている制度を取り入れさせてもらう、といったことも考えていきます」


【会社DATA】
株式会社ラック
本社:東京都千代田区平河町2-16-1平河町森タワー
設立:2007年10月1日
代表者:代表取締役社長 西本逸郎
資本金:10億円
従業員数:連結2,137人(2018年4月2日現在)
https://www.lac.co.jp/