月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

【総務の現場から】作る過程から会社の思いを共有。従業員巻き込み型のオフィス移転

2019-03-15 18:05

会社の課題や思いをオフィスコンセプトに反映

 money01.jpg2012年創業、「お金と前向きに向き合い、可能性を広げることができる」サービスを通して、より良い社会作りに貢献している同社。2018年7月、本社オフィスを移転。移転プロジェクトは、社長室 デザイナーの金井恵子さん、管理本部 総務グループの植村梨絵さんをはじめとする、インフラ、人事など各部門の担当者10人弱のチームによって進められた。物件が決まったのが2017年の11月。翌年2月にはオフィスのコンセプト、設計が決定し、7月には移転と、かなりスピードが求められるプロジェクトだった。
 そもそもなぜ移転したのか。「オフィスが手狭になり、これからますます従業員数が増えていくこともあって、2か所に分かれていたオフィスをワンフロアにまとめたいとのねらいがありました」と金井さん。植村さんは「移転後のオフィスは3倍ほどに拡張。ここに今、400人ほどが勤務しています」と話す。
 プロジェクトを進めるに当たっては、コンセプト作りに時間をかけた。同社の姿勢やマインドを、働く人にも、訪れる人にも感じてもらえるオフィスにしたいと、まずは社内アンケートを取った。「会社として大事にしていきたいことは何か」「目指していきたい姿は」といった問いへの答えは、今の会社の課題でもあった。元々トップは、「ずっとベンチャーであり続けたい。挑戦し続けたい」との思いを強く持っていた。アンケート結果からも、「ベンチャーマインドを忘れたくない」との声が多かった。そういった思いをくんで作り上げたコンセプトが、「Let's make it !(共に創り、実現しよう!)」だった。「このコンセプトには、弊社がサービスを作っていく上での姿勢、社内だけでなく、ユーザー、パートナーなども含めて、みんなで一緒に世の中に新しい価値を提供していこうとの思いも込められています」(金井さん)。

作る過程から従業員を巻き込むことを重視

money02.jpg コンセプトを反映した空間は、あえて作りかけの内装を残し、工事中のようなデザインにした。また、コンセプトが実感できるよう、作る過程から従業員を巻き込むことを意識した。たとえば、会議室の名前は、社内公募で決定。"マネーフォワード"らしく日本の紙幣に描かれた人物名にした。竣工(しゅんこう)前のオフィス見学や、希望者を募っての柱のペイントイベントも実施した。そのDIY感あふれるカラフルな柱は、トップの要望でもあった「明るく、ポジティブで、温かなオフィス」を象徴する存在になっている。
 新オフィスの特徴としては、執務エリアは壁で区切らずに開放的な雰囲気に。ちょっとした打ち合わせができるスペースや、集中ブース、1on1を行う会議室を増やした。また、高層階ならではの眺望を生かし、執務エリアの窓際はすべてフリーエリアにした。それぞれが好きな場所で仕事をしたり、打ち合わせをしたりと、自由に使いこなしている。このほか、ランチなどに使える開放的なリフレッシュエリアも設置。以前よりもコミュニケーションが生まれやすく、気持ちよく仕事ができる環境となっている。「景色の良さもプラスとなって、従業員の満足度はかなり上がっていると思います」(金井さん)

移転成功のポイントは"ワクワク感"の共有

money03.jpg 移転後は、総務が従業員にアンケートを実施。改善点を吸い上げて、日々、細かな改善を重ねながら運用している。すぐに対応できないものもあるが、アンケート結果は、できない理由も含めてすべて公開している。今後も、「従業員サーベイ」などを通じて、みんなの声を吸い上げていく予定だ。
 移転で苦労したことは、タイトなスケジュールの中で、従業員の納得感を得ながら進めていくこと。だからこそ、みんながワクワク感を持って移転に臨めるよう意識した。社内の掲示板ツールを使って、移転先周辺の飲食店情報を発信したり、工事の進捗状況を公開したりと、Let's make it !感を演出していった。「総務としては、2つのオフィスから1つに集約するということは、物も多いし、人の動きも複雑。何百人に指示を出していくことは大変でした。それでも大きなトラブルなくできたのは、作っていく過程でワクワク感を共有できたことが大きかったと思います」(植村さん)。
 移転は週末に一気に行った。金曜の夜にみんなに荷物をまとめてもらい、土曜日に搬出、搬入をし、日曜日に片付けをし、月曜日には仕事を開始した。オープンの日には、みんなが何事もなかったように普通に働ける、というのが総務の目標だった。見事なチームワークでやり遂げたプロジェクトメンバーには称賛の声も上がっている。一方で、後日ほかの従業員から、「もっと手伝いたかった」といわれ、もう少し巻き込めればよかったとの反省も。とはいえ、今、オフィスはきれいに、大切に使われている。「みんなで作ったことで、愛着を持ってくれているからだと思います」(金井さん)。

目指す総務はお母さん。オフィスはみんなの実家に

 今後の課題は、ビル全体の制約もある中で、従業員の要望をいかに実現していくか。「そこは管理会社との交渉が重要になる。普段から密にコミュニケーションを取って、お願いしやすい関係性を築いています」(植村さん)。その努力のかいもあって、最近、共用スペースに同社の宣伝ポスターを張らせてもらえたそうだ。
 「今回の移転は大変でしたが、楽しかった。みんなが快適に働ける環境を考えることは、総務にとってワクワクすること。私にとって、総務は家庭でいうお母さんだと思っています。困ったときにはオフィスに来て、何でも話せる存在でありたい。オフィスは実家のように、みんながいつでも帰ってこられる場所でありたいと思っています」(植村さん)。


株式会社マネーフォワード
本社:東京都港区芝浦3-1-21 msb Tamachi 田町ステーションタワーS 21F
設立:2012年5月
代表者:代表取締役社長CEO 辻 庸介
従業員数:386人(2018年11月末現在)
https://corp.moneyforward.com/