月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

【総務の現場から】サテライトオフィスや分身ロボットで、働き方の選択肢がさらに充実

2018-11-15 14:46

テレワーク・デイズなど国主導の施策もうまく活用

 「Value Working」との呼び名で、国の動きに先駆けて働き方改革を開始していた同社。「当社の社員は、介護の事情を抱えた年齢層が厚く、育児に直面している女性社員も多かった。そうした多様な事情を抱える人が働ける会社でなければ生産性も向上しないし、人材確保もできない。国が抱える課題感を先取りするような形で取り組みを始めました」と、総務人事部 企画部門 制度担当 担当課長の齋藤晃さん。
 取り組みは、1、時間外労働の朝型シフト 2、モバイルワークの推進 3、休暇の積極的取得の3つを柱に推進した。まずは、ポスター掲示などを通じて、上長を含めた社員の意識改革を促進。併せて会議の効率化等を中心に働き掛けた。それらの運動の効果が見えてきたところで制度の見直しに着手。フレックスタイム制を全社導入するなど、働き方の選択肢を増やしていった。
 順調に時間外労働の短縮が進む一方、難しかったのがモバイルワークの推進だ。東日本全域をカバーする同社の事業は、移動も広範囲にわたる。出張も多い。また、介護や育児、そのほかの制約を抱える人たちの働き方の選択肢としてもモバイルワークは外せなかった。
 「しかし、仕事はみんなで集まってやることが大事、との文化が根付いていましたし、モバイルワークは、特別な事情がなければ使えないとの印象も払拭できずにいました」と、総務人事部 ダイバーシティ推進室室長の吉宗歩さんは話す。
 そうした中、昨年、東京都や国主導の施策である「時差Biz」、「テレワーク・デイズ(テレワーク・デイ)」に参加。これが、良いきっかけとなった。1回でも使うと意識が変わる。「こういう働き方もあり」という実感が少しずつ広まっていった。

社宅内や拠点ビルなどにサテライトオフィスを設置

ntteast02.jpg テレワークが普及するにつれ、「家だと集中できない」「外出先から職場に戻らずに近くの拠点ビルで仕事がしたい」などの声が上がってきた。そこで各地域で個別に設置していたサテライトオフィスの利用ルールを整備。都内の社宅内も含め、新たに11拠点を開設し、全社で利用できるようにした。その多くは、通勤途中でも使えるよう、あえて23区外に設置。現状としては、出張先から近くのサテライトオフィスに寄る。台風が来るので自宅近くのサテライトオフィスで仕事をする。また、集中して仕事をしたいときや、子供の送り迎えに合わせて利用する、といった使われ方が多い。使った人から「いいよ」との評判が広まり、今では管理職にも利用されている。

 「とはいえこれも選択肢の一つ。環境は整えたので状況に合わせて使ってみてくださいと、働き掛けている段階です。テレワークは1回やると、『資料は共有フォルダーに入れよう』『PDF化しよう』など、テレワークがしやすいよう、仕事を工夫するようになる。また、そもそもこの業務はいるのか、などと見直すきっかけにもなる。そうした仕事の効率化や質の向上につながる機会にもなれば、と考えています」(吉宗さん)

職場に置ける分身ロボット「OriHime」も導入

 ntteast01.jpgさらなるテレワークの推進に向けて導入したのが、スマホやタブレット上のアプリで操作ができる分身ロボット「OriHime」だ。カメラ、マイク、スピーカーが搭載されており、自分の代わりに会社に置いておけば、インターネットを通して、周囲を見回したり、職場の人とリアルタイムで会話をすることができる。
 一方、自分のようすが会社のモニターに映ることはないのでプライバシーは守られる。在宅勤務者が感じる疎外感や孤独感の解消に有効だという。また、マネジャー層ともなれば、在宅勤務中に職場がどうなっているかは気になるところ。会議であれば電話で参加できるが、1対1の気軽なコミュニケーションは難しい。その点、OriHimeはメンバーに存在感を伝えることができ、メンバーが「あの」と声を掛ければ、「はい」と返事ができる。カメラを通して、印刷物などの確認もできる。休暇取得中や、出張先から利用する人もいる。ただ、これも選択肢の一つ。雑多な声が入らないところで仕事をしたい人は、使わなければいい。使いたい人には貸し出す。利用者からは好評を得ている。

自社実践を事業にもつなげさらなる働き方改革を

 通信事業を担う同社にとって、モバイルワークは自ら実践し、その肌感覚でもってお客さまに提案をする、東日本全体に展開していくといった役割もある。こういったツールを実際に使うことで、利用者としての気付きを得たり、新たな事業の発想につなげていけたら、とも考えている。「働き方改革というと効率化に目がいきがちですが、新たな発想の中で質のいい仕事をしていくことが大事。立ち止まってはいけないとの思いで取り組んでいます」(吉宗さん)。
 何か制度を作ったり、施策を行ったあとにはアンケートを取り、社員の声を次のステップにつなげている。「たとえば在宅勤務制度。業務計画書の提出など、申請手続きが煩わしいとの声が多かったため、それをなくし、回数制限も撤廃しました」(齋藤さん)。結果、2017年度は、(NTT東日本グループ社員含む)九九七人の社員が延べ8389回在宅勤務制度を利用。ただ、経験していない人もまだまだいる。もちろん、セキュリティ面から、専用の端末が使える空間でないとできない業務もあるが、それだけではない。
 「これからは一層、どこでも働けるし、いつでも仕事はできるという環境を、マインドの部分も含めて作っていきたい。手を替え、品を替え、地道にやり続けていきます」(齋藤さん)
 「今後はもう少し、テレワークにマッチする業務、しない業務の見極めや、仕組みを変えたらできることはないか。そういったことにも踏み込んでいきたいと思っています」(吉宗さん)


【会社DATA】
東日本電信電話株式会社
本社:東京都新宿区西新宿3-19-2
設立:1999年7月1日
代表者:代表取締役社長 井上福造
資本金:3,350億円
https://www.ntt-east.co.jp/