スタートアップバックオフィス(法務)の始め方

特許権は誰のものか。会社に帰属させたい場合は? スタートアップにおける知的財産権の取り扱い方

弁護士法人堂島法律事務所 弁護士 赤羽 寿海
最終更新日:
2025年04月09日
202503p_00

AI関連技術に限らず、近時の科学技術の発展がこれまでに比してより一層著しく、その成果が産業界に大きな変革をもたらしている昨今。あらゆる企業にとっての知的財産権の重要性はいうに及びませんが、スタートアップ企業においても、知的財産権を常に念頭に置いて企業活動を行う必要があります。そこで本稿では、スタートアップ企業が知的財産権(特に特許権)を取り扱う際のポイントを解説します。

知的財産の定義と特徴

知的財産(知的財産権)とはそもそも何なのかを把握するためには、知的財産基本法の規定が参考になります。知的財産とは、「発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報」(知的財産基本法第2条1項)と定義されています。要するに、知的財産は、(1)人間の創造的活動により生み出され発見されるもの、(2)事業活動上の商品等表示、(3)事業活動に有用な情報という3カテゴリーでもって特徴付けられています。

そして、知的財産基本法上、知的財産権は大要、上記の知的財産に関する権利一般を指すものとして定義されています 。本稿では、これらのうち、企業活動上特に問題になりやすく、取り扱いを誤った場合の悪影響が大きいものとして、上記(1)のカテゴリーの知的財産に関する権利の一つである特許権を取り上げますが、これ以外にも知的財産権はさまざまなものが存在します。およそ知的財産には何らかの知的財産権が問題になり得るものと心得ていただき(海外での企業活動であれば、知的財産に関する現地法上の権利も問題となり得ます)、上記3カテゴリーのいずれかのものを取り扱う際には、専門家への相談を含め慎重な検討を行うことをお勧めします。

特許権を取り扱う際の3つのポイント

続きは無料の会員登録後にお読みいただけます。

  • ・組織の強化・支援を推進する記事が読める
  • ・総務部門の実務に役立つ最新情報をメールでキャッチ
  • ・すぐに使える資料・書式をダウンロードして効率的に業務推進
  • ・ノウハウ習得・スキルアップが可能なeラーニングコンテンツの利用が可能に

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

プロフィール

t-akabane

弁護士法人堂島法律事務所 弁護士
赤羽 寿海

東京大学法学部卒業、東京大学法科大学院修了。2017年弁護士登録。堂島法律事務所東京事務所所属。大手法律事務所での執務経験を生かし、証券化を含む不動産取引法務、ファイナンス取引法務、M&A法務、再エネ法務を柱としつつ、トランザクション案件から紛争解決まで、スタートアップ企業を含むさまざまな規模・ステージの企業に多様な法的サービスを提供している。

関連記事

  • レンタカーの安全運転管理も可能! コストを抑え、車両管理にかかわる日常業務の負担を減らす方法 PR
  • 食で社員を応援! 総務が値段を決められる自由さがポイント。豊富なアイテムがそろうミニコンビニ PR
  • 何となくで選んでない? 実は重要なオフィスの「照明」。空間に合った明るさや色味が与える効果 PR

特別企画、サービス