特許権は誰のものか。会社に帰属させたい場合は? スタートアップにおける知的財産権の取り扱い方

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AI関連技術に限らず、近時の科学技術の発展がこれまでに比してより一層著しく、その成果が産業界に大きな変革をもたらしている昨今。あらゆる企業にとっての知的財産権の重要性はいうに及びませんが、スタートアップ企業においても、知的財産権を常に念頭に置いて企業活動を行う必要があります。そこで本稿では、スタートアップ企業が知的財産権(特に特許権)を取り扱う際のポイントを解説します。
知的財産の定義と特徴
知的財産(知的財産権)とはそもそも何なのかを把握するためには、知的財産基本法の規定が参考になります。知的財産とは、「発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報」(知的財産基本法第2条1項)と定義されています。要するに、知的財産は、(1)人間の創造的活動により生み出され発見されるもの、(2)事業活動上の商品等表示、(3)事業活動に有用な情報という3カテゴリーでもって特徴付けられています。
そして、知的財産基本法上、知的財産権は大要、上記の知的財産に関する権利一般を指すものとして定義されています 。本稿では、これらのうち、企業活動上特に問題になりやすく、取り扱いを誤った場合の悪影響が大きいものとして、上記(1)のカテゴリーの知的財産に関する権利の一つである特許権を取り上げますが、これ以外にも知的財産権はさまざまなものが存在します。およそ知的財産には何らかの知的財産権が問題になり得るものと心得ていただき(海外での企業活動であれば、知的財産に関する現地法上の権利も問題となり得ます)、上記3カテゴリーのいずれかのものを取り扱う際には、専門家への相談を含め慎重な検討を行うことをお勧めします。
特許権を取り扱う際の3つのポイント
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