スタートアップバックオフィス(法務)の始め方

スタートアップ企業が使いやすい仕組みが登場! 改正が急ピッチで進むストックオプション最新動向

弁護士法人堂島法律事務所 弁護士 柳 勝久
最終更新日:
2025年01月10日
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スタートアップ企業の成長には、優秀な人材の確保が不可欠ですが、他方、スタートアップ企業は、十分な資金を有していない場合が多く、高額な給与を支給して人材を獲得することはなかなか困難です。こうした状況の中、多くのスタートアップ企業では、ストックオプション(新株予約権)を発行して役員、従業員等に対するインセンティブを付与することで、人材を確保しようとする方策が採られています。そこで本稿では、ストックオプションについて、最近の動向(2024年12月現在)なども踏まえながら解説します。

スタートアップ企業で用いられるストックオプションの基本設計(税制適格ストックオプション)

多くのスタートアップ企業では、いわゆる「税制適格ストックオプション」と呼ばれる設計のストックオプションが導入されています。税制適格ストックオプションは、権利行使時に発生する、取得株式の時価と権利行使価額との差額に対する課税(給与所得課税)を、株式売却時まで繰り延べる制度です。税制適格ストックオプションに該当しない場合、権利行使時に課税が発生するため、売却によって実際にキャッシュが入ってくる前に課税が発生する可能性があるほか、給与所得として課税された場合には、累進課税により高い税率で課税される可能性があるなど、従業員等にとって負担も大きくなり得ることから、税制適格ストックオプションの活用が広がっています。

税制適格ストックオプションの要件は、おおむね図表の通りです。なお、【202◯年度改正】の通り、最近の制度改正により、税制適格ストックオプションを使いやすくするための制度の導入等が進められています。

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著者プロフィール

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弁護士法人堂島法律事務所 弁護士
柳 勝久

2008年弁護士登録。2012年から、財務省関東財務局において、地域金融機関や金融商品取引業者等の検査、監督業務や局内コンプライアンス業務等に従事。2015年以降、堂島法律事務所において、金融機関のコンプライアンスや投融資案件等に係る各種助言や体制構築支援、ファンドビジネスに係る各種サポート、いわゆるフィンテック事業者をはじめとするスタートアップ支援等を中心に、企業法務案件を幅広く取り扱っている。中小企業診断士、公認不正検査士。

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