スタートアップバックオフィス(法務)の始め方

「話し合いで解決できる」なんて甘い考えは禁物! 海外取引において必ず定めておきたい2つの条項

弁護士法人堂島法律事務所  日本国弁護士・米国ニューヨーク州弁護士・公認内部監査人・公認不正検査士 博士(法学) 弁護士 安田 健一
最終更新日:
2025年05月13日
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ブランド認知度の向上や新しい市場への参入のために、海外進出を見据えているスタートアップ企業も珍しくないでしょう。今回は、海外取引をテーマに、まず押さえておくべきポイントをご紹介します。海外との契約において、いくら契約書締結に至るまでの商談がスムーズに進んでいたとしても、契約上の注意点や責任という観点からは、日本国内の取引と同じようにはいきません。国内取引よりも一層慎重に、リスクを排除し、自社を守ることに気を配る必要があります。

文化・習慣の違い:契約書の重要性

まず、海外取引では、日本の契約以上に「契約書に記載されていないことは通用しない」と考えておきましょう。お互い文化・慣習のバックボーンが異なることから、「契約書に書かれていないが、当然の常識である」といった主張は通用しないと考えておくべきです。また、「契約書には書かれていないが、相手はあのときこういっていた。相手も口頭で認めていた」といったこちらのいい分についても、紛争になった海外の相手方が受け入れることはまずないと思っておくべきです。

そもそも海外取引では、契約書の中に、いわゆる完全合意条項、すなわち契約書に書かれていないことは法的効力を有しないという条項を入れることが多く、契約書自体の中で、契約書の記載以外は無視すると定められています。

もう1点、文化の観点からは、海外の相手方は日本企業と比べて紛争をためらわないということも意識しておきましょう。「何かあっても、話し合いで解決できるだろう」といった期待や、「契約書の内容は当社に厳しいものになっているが、実際にトラブルが生じたときには、相手も譲ってくれるだろう」といった甘い考えは禁物です。

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プロフィール

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弁護士法人堂島法律事務所  日本国弁護士・米国ニューヨーク州弁護士・公認内部監査人・公認不正検査士 博士(法学) 弁護士
安田 健一

京都大学法学部卒業、法学研究科法曹養成専攻修了。ニューヨーク大学ロースクール修了。神戸大学法学研究科博士課程後期課程修了。法務省法務総合研究所アジア・太平洋会社法実務(ジョイント・ベンチャー契約)研究会委員。北京天達共和律師事務所での勤務経験、タイ国三井物産株式会社への出向経験あり。人事労務を専門とするほか、日本企業の国内外のビジネス法務案件や、外国政府機関、外資系企業の日本法人の顧問弁護士を務めている。

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