スタートアップバックオフィス(法務)の始め方

スタートアップの資金調達で一般的な「優先株式」 通常の契約にはあまりない特徴的な条件は?

弁護士法人堂島法律事務所 弁護士 柳 勝久
最終更新日:
2024年11月12日
202410n_00

前回は、パッケージ化された新株予約権のひな型を用いた資金調達方法「J-KISS」(J-KISS型新株予約権)について紹介しました。今回は、スタートアップ投資において一般的に用いられる「優先株式」について、簡単に解説します。

優先株式を用いた投資をする際に必要なドキュメントとは

優先株式とは会社法上の用語ではなく、会社法において定められている種類株式(会社法第108条第1項)のうち、普通株式に比べて優先的な条件を付与された株式を、一般的に優先株式と呼んでいます。優先株式を用いた投資の場合、基本的に以下のドキュメントを準備することになります。

  • 投資契約書
    投資契約書は、投資家が優先株式を取得する際の条件等を定めた契約書です。
  • 定款(定款変更案)
    残余財産の分配方法といった優先株式の内容や種類株主総会の設計等に関しては、定款において定められるため、定款変更案を準備することになります。
  • 株主間契約書
    また、発行会社、経営株主および投資家株主との間で、株主間契約書を締結することが一般的です。投資契約書は、主に投資の実行までの条件を取り決めるものであるのに対し、株主間契約書は、投資後の発行会社、経営株主と投資家株主との間の権利義務を中心に定めるものです。

以上のほか、特にM&Aが生じた場合の財産分配等に関して、別途、財産分配契約書を締結することもあります。

優先株式の具体的な契約内容、条件

続きは無料の会員登録後にお読みいただけます。

  • ・組織の強化・支援を推進する記事が読める
  • ・総務部門の実務に役立つ最新情報をメールでキャッチ
  • ・すぐに使える資料・書式をダウンロードして効率的に業務推進
  • ・ノウハウ習得・スキルアップが可能なeラーニングコンテンツの利用が可能に

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

著者プロフィール

k-yanagi

弁護士法人堂島法律事務所 弁護士
柳 勝久

2008年弁護士登録。2012年から、財務省関東財務局において、地域金融機関や金融商品取引業者等の検査、監督業務や局内コンプライアンス業務等に従事。2015年以降、堂島法律事務所において、金融機関のコンプライアンスや投融資案件等に係る各種助言や体制構築支援、ファンドビジネスに係る各種サポート、いわゆるフィンテック事業者をはじめとするスタートアップ支援等を中心に、企業法務案件を幅広く取り扱っている。中小企業診断士、公認不正検査士。

関連記事

  • 【AI×交通安全運動】111社が共同で事故リスク削減に取り組んだ2か月間……その結果は? PR
  • オフィスの課題解決はデータ収集から 社員の位置情報を自動で管理しフリーアドレスを効率化 PR
  • 大切なのは「自社ならでは」のオフィスづくり 社員の「心」を解析すると幸せな働き方が見えてくる PR

特別企画、サービス