スタートアップバックオフィス(法務)の始め方

【スタートアップ法務】起業時に必須の実務は? 煩雑になりがちな手続きを5つのステップで確認

弁護士法人堂島法律事務所 弁護士 赤羽 寿海
最終更新日:
2024年08月09日
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本連載「スタートアップバックオフィス(法務)の始め方」では、スタートアップ企業の成長ステージの過程で発生する法務業務のポイントを設立時から順に紹介していきます。初回となる今回は、スタートアップ企業を設立する場合の手続きおよび、実務上の留意点を概説します。なお、わが国のスタートアップ企業は、有限責任などの観点から、実務上、株式会社または合同会社として設立するケースが多く見受けられます。合同会社形態は、定款による会社設計の自由度が高く、決算公告が不要であるなどの手続き的な負担の軽さといった観点から選択されることがありますが、株式会社形態における、将来の上場に対応しやすく、新株予約権や優先株式などの多様な形態の出資を受け入れることができるというメリットに着目し、以下、株式会社としてスタートアップ企業を設立する場合を念頭に置いて説明します。

設立手続きにおける5つのステップ

株式会社の設立手続きには、株式会社の設立の企画者兼事務執行者である発起人のみが当初出資を行って設立時株主となる発起設立(会社法[以下、法]第25条1項1号)と、発起人以外の設立時株主を広く募る募集設立(法第25条第1項2号)とがありますが、スタートアップ企業の場合には、株主を広く募ることは実際上容易ではなく、設立手続き上も募集設立の方が煩雑であるため、発起設立によることが一般的です。発起設立は大要、株式会社の根本規則である定款の作成およびその公証人による認証、設立時の出資の内容の決定(株式発行事項の決定)、設立時株主による出資の履行、設立時役員の選任、設立の登記という流れで行われます。

そして、スケジュールとしては、実務上(年度末や総会集中日の直後等の法務局・公証人の繁忙期を除き)準備開始~登記申請まで2週間程度、登記申請後~登記完了まで1週間程度と考えておくといいでしょう。以下、発起設立の各ステップを確認します。

ステップ1:定款の作成・認証等

株式会社の設立手続きは、発起人が、株式会社の組織と活動に関する根本規則である定款を、書面または電磁的記録の形式で作成することから始まります(法第26条)。

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著者プロフィール

t-akabane

弁護士法人堂島法律事務所 弁護士
赤羽 寿海

東京大学法学部卒業、東京大学法科大学院修了。2017年弁護士登録。堂島法律事務所東京事務所所属。大手法律事務所での執務経験を生かし、証券化を含む不動産取引法務、ファイナンス取引法務、M&A法務、再エネ法務を柱としつつ、トランザクション案件から紛争解決まで、スタートアップ企業を含むさまざまな規模・ステージの企業に多様な法的サービスを提供している。

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