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スタートアップはどうやって増資する? シード期にも使われる資金調達「J-KISS」の特徴

弁護士法人堂島法律事務所 弁護士 柳 勝久
最終更新日:
2024年10月08日
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今回と次回の2回にわたり、スタートアップにおける増資(資金調達)の方法や留意点等について解説します。今回は、主に「J-KISS」(J-KISS型新株予約権)という資金調達方法について紹介します。

スタートアップにおける基本的な資本戦略

スタートアップは、通常、不動産等の有形資産を有しておらず、少なくとも現状、担保提供が求められる借り入れによる資金調達は一般的な方法とはいえない状況です。そのため、革新的な成長を志向するスタートアップは、基本的に、成長フェーズに応じて、段階的に、株式を用いた資金調達を行います。もっとも、たとえばスタートアップが、企業価値の低い創業初期の段階で多額の出資を得ようとして、投資家に対して多くの株式を発行し、経営株主の持株比率が大きく低下してしまうと、そのあとの経営株主の経営自由度が制約されてしまいかねません。したがって、スタートアップにおいては、持株比率の低下を極力抑え、可能な限り、効率的に、資金調達を行っていくことが必要となります。

スタートアップにおける投資手法

では、スタートアップは、どのような投資手法を用いて資金調達を行っていくのがよいでしょうか。一般的な増資の場合、普通株式を発行する方法によることが多いですが、スタートアップの場合、(1)経営株主の持株比率を抑える一方でできるだけ多くの出資を集めようとする場合、条件面で優先的な取り扱いをする優先株式の方が、1株当たりの価値が高く、より大きな資金を調達できること、(2)投資家にとっても、スタートアップへの投資はリスクが大きいため、普通株式による投資はハードルが高いこと、などから優先株式を用いることが一般的です。詳細は次回に解説します。

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著者プロフィール

k-yanagi

弁護士法人堂島法律事務所 弁護士
柳 勝久

2008年弁護士登録。2012年から、財務省関東財務局において、地域金融機関や金融商品取引業者等の検査、監督業務や局内コンプライアンス業務等に従事。2015年以降、堂島法律事務所において、金融機関のコンプライアンスや投融資案件等に係る各種助言や体制構築支援、ファンドビジネスに係る各種サポート、いわゆるフィンテック事業者をはじめとするスタートアップ支援等を中心に、企業法務案件を幅広く取り扱っている。中小企業診断士、公認不正検査士。

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