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日本のDXが進まない。多くの企業が「着手している」といいながら、なぜ変革に至らないのか。企業のデジタル変革をコンサルティング・教育で支援する鈴木康弘さんに、DXの本質や成功に導くアプローチ、必要な人材の資質や育て方などについて、幅広くうかがった。まずは日本のDX推進の現状と本質について見ていこう。
取材・文◎武田 洋子
DXの本質と進め方 変革の中心は技術よりも戦略立案と人材育成(2)はこちら
DXの本質と進め方 変革の中心は技術よりも戦略立案と人材育成(3)はこちら
2025年を目前に迷走する日本のDX推進
経済産業省は2018年、DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性を訴えるリポートの中で、「2025年の崖」に言及している。2025年には既存の基幹システムやソフトウエアが時代遅れの「レガシーシステム」になってしまうが、そうした、いわば負債を抱える企業は約80%に上るという。また、現在システムを最前線で機能させているエンジニアの多くが定年を迎えるため、約43万人のIT人材が不足し、結果として同年の経済損失は12兆円と推測される。
日本企業が市場競争力を維持するためにはDXの推進が必要不可欠であるとの警鐘を受け、企業は新たなテーマと向き合うことになった。それから4年が経過したが、DXは進んでいるだろうか? 『月刊総務』の調査では、半数近くが「事業計画にDXが組み込まれている」と回答(図表1)。ところが取り組みへの評価を尋ねると、「全く足りていない」(16.1%)、「やや足りていない」(35.7%)と、不足していると考えている人が半数を超える(図表2)。この数字からは、社員から見てうまく軌道に乗っているとはいえないDXの実態が浮かび上がる。
業界・業種を問わず多様な企業のコンサルティングを通して、今日のDXの状況を最もよく知る株式会社デジタルシフトウェーブ代表の鈴木康弘さんは、はっきりと「日本のDXは迷走している」と断言する。日本が迷走する理由を掘り下げる前に、DXの本質についてあらためて整理しよう。
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