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総務の知的財産戦略 第2回

2016年10月17日

■ 知的財産戦略を進める前に

こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 高松です。

総務ならではの知的財産戦略を進める前に、重要なことがあります。
それは、開発部や営業部等の他部門との信頼関係の構築です。

今後の知的財産戦略を進める上で、総務部から開発部や営業部に気楽に相談することができ、かつそれらの部門から総務部に気楽に相談できるような環境が必要です。
これらの環境が整った段階または整うことを前提に、知的財産戦略を進めることになります。

すでにこのような環境が整っている企業であれば、すぐにでも知的財産戦略を進めることができると思いますが、そうなっていない企業も多いのではないでしょうか?

特に、開発部のような専門部署では専門的な話が多いため、話の内容が分からないと疎遠になってしまっていることが多いと思います。

そのようなときには、開発部等の人も関心を持つような話を持って行き、関係構築のきっかけを作るというのはどうでしょうか?


■ 開発部と良好な関係を構築するには

ここからは開発部との関係構築に焦点を当て、今話題の「職務発明規定の改定」を踏まえて説明します。

「職務発明」というと、ノーベル賞を受賞された中村修二氏の青色発光ダイオード訴訟事件(2004年東京地判)で、会社に対して200億円の支払いを命じる判決が出たことを思い出す人も多いかもしれません。当時は、この金額が大々的に報道されました。

この判決が出された後、職務発明に関する法改正が行われましたが、2015年にも大きな制度改正が行われました。
詳細は、次回説明いたしますが、法改正前は職務発明に関する相当の対価に関し、主に「金銭の給付」についてのみ規定していましたが、今回の法改正により、「金銭以外の経済上の利益を与えること」も含まれるようになりました。

具体的には、職務発明の対価として、発明報奨金のような金銭だけでなく、ストックオプションの付与や金銭的処遇の向上を伴う昇進又は昇格等も含まれることになりました。


そういった法改正の向きを踏まえると、総務部としては「金銭以外の経済上の利益としてどのようなものが良いか相談したい」と言えば、開発部に前向きに検討してもらえるのではないでしょうか。

このような相談は1回で済むことはなく、通常何回も打ち合わせを行うことになると思います。また、総務部から開発部のメリットにもなることを提案することができれば、開発部から信頼を得られると思います。

そうしていけば、今まで疎遠だった開発部の人と信頼関係が構築でき、また会社としても職務発明規定を見直すことでリスクヘッジにも繋がるので一石二鳥になります。


上述の通り、まずは「職務発明規定の改定」というところから、開発部との信頼関係の構築を行ってみてはいかがでしょうか?
また、現在職務発明規定がないということでしたら、これを契機に職務発明規定を作成しましょう。


次回は、職務発明規定の改定について、弁理士の活用を含めて具体的に解説したいと思います。


※職務発明とは、会社の従業員等が職務上行った発明をいう。通常、職務発明規定を作成し、使用者等が特許権等を取得した場合の権利やその対価(報酬)の取り扱いに定めておくことが多い。

高松 孝行
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