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総務の知的財産戦略 第21回

2018年09月13日

 こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 高松孝行です。
 前回は、秘密意匠制度を活用した知的財産戦略について解説しましたが、今回は意匠独特の制度である「部分意匠制度」と「関連意匠制度」を活用した知的財産戦略を解説します。

■部分意匠

 部分意匠制度とは、製品の意匠のうち、特徴的な部分を部分意匠として保護することができる制度です。この制度を活用することにより、特徴的な部分が同一または類似であれば、全体的なデザインが異なっていた場合であっても意匠権の権利範囲となります。

chitekizaisan21_1.jpg

引用:特許庁HP

■関連意匠

 関連意匠制度とは、同一のコンセプトから生まれたデザインのバリエーションを保護することができる制度です。この制度を活用することにより、より広い範囲のデザインを保護することができます。

chitekizaisan21_2.jpg引用:中小企業経営者のための意匠マニュアル(公益財団法人東京都中小企業振興公社)

■部分意匠+関連意匠

 この両制度を組み合わせることによって、特徴的な部分のデザインをより広い範囲で保護することができるようになります。たとえば、次の事例をご覧ください。

chitekizaisan21_3.jpg引用:部分意匠の関連意匠登録事例集 Bグループ(衣服および身の回り品)

 この事例では、灰色のポケット部分が部分意匠として登録されており、左側の意匠が本意匠で、右側の意匠がその関連意匠となっています。

 灰色のポケット部分は部分意匠なので、原則として、ポケット部分が「かばん」のどの位置にあってもよく、「かばん」に対する大きさも限定されません。また、本意匠のポケット部分と関連意匠のポケット部分とは、縦横の比率が微妙に異なっています。関連意匠は、本意匠に類似するとされていますので、本意匠(ポケット部分)の縦横の比率Aと、関連意匠(ポケット部分)の縦横の比率Bとの間にある比率Xは、すべて両方の意匠に類似するということになります。すなわち、縦横の比率が、A<X<Bの範囲にある意匠(ほかの態様が同一または類似の場合)は、本件の本意匠および関連意匠の権利範囲に含まれることになります。

 このように、部分意匠と関連意匠とを組み合わせることによって、広い範囲のデザインを保護することができるようになります。ただし、複数の意匠登録を行うことになりますので、費用がかかる点にご注意ください。


 特徴的な部分デザインを創作した場合には、部分意匠制度と関連意匠制度を活用した知的財産戦略を構築してみてはいかがでしょうか?
 次回も、意匠制度を活用した知的財産戦略について具体的に解説したいと思います。

高松 孝行
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