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総務の知的財産戦略 第20回

2018年08月02日

 こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 高松孝行です。
 前回は、意匠の独特の制度について少し説明しましたが、今回はそのうちの1つである秘密意匠制度を活用した知的財産戦略を解説します。

■秘密意匠制度とは

 秘密意匠制度とは、意匠の設定登録日から3年を上限として、意匠の内容(デザイン)を秘密にしておくことができる制度です。秘密意匠を利用した意匠が登録されると、次のように意匠が全く記載されていない意匠登録公報が公開されます。

isyotorokukoho.jpg秘密意匠制度が利用された意匠公報例

 秘密意匠制度は、出願した意匠について意匠登録を受け、それが意匠公報に掲載されると、その出願をした者の将来の意匠の傾向を他者に知られ、またその意匠を基としてそれを転用したような意匠を作り出される恐れがあるために設けられたものとされています。

 したがって、この制度は、ファッション業界のように、製品ライフサイクルが非常に短い業界ではあまり利用されていませんが、自動車業界等のように、デザインが重要な要素となっており、かつ製品ライフサイクルが比較的長い業界で利用されています。

■戦略的活用方法

 秘密意匠制度は、将来の意匠の傾向を同業他社に知られるのを防ぐことができますが、より積極的に活用することもできます。

 秘密意匠制度を利用すると、上述したような意匠公報が公開され、誰が意匠登録したかまではわかりますが、物品や意匠の内容は公表されず、秘密にされます。そこで、秘密意匠制度を利用する必要がない意匠(本来は公開されてもよい意匠)についても、秘密意匠制度を利用するのです。すると、同業他社は、どのような意匠が登録されているか把握することができず、意匠権に抵触してしまうと考えてしまいます。

 こうすることで、自由なデザインを開発させにくくすることができ、同業他社に実質的なけん制効果を与えることができるのです。

 もちろん、秘密意匠制度を活用した意匠権に基づく権利行使(差止請求や損害賠償請求等)を行うには、意匠の内容を相手に知らせる必要があるので、ご注意ください。

 このように、秘密意匠制度を活用した知的財産戦略を構築してみてはいかがでしょうか。

 次回も、ほかの独特の意匠制度を活用した知的財産戦略について具体的に解説したいと思います。

高松 孝行
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