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社員と組織を生かす総務の技【その7】新たな取り組み・失敗パターン(番外編)と仕事の成果

2018年10月05日

 シリーズでお届けしている「社員と組織を生かす総務の技」、今回は新たな取り組みをするときの失敗パターン(番外編)と仕事の成果をお届けします。

■よくある失敗パターン(番外編):魂がこもっているか?

 前回も新たな取り組みをするときの失敗パターンを挙げ、幹部は「目的とやり方、結果」を気にしており、現場は「仕事の進め方」に納得しない場合に抵抗しがちと解説しました。

 ただ、新たな施策に取り組む際のパターンはほかにもあります。それは「情熱・魂がこもっているか」です。実はこれがいちばん重要かもしれません。特に会社のトップ層は、施策の中身よりも、「誰がやるのか」というやる人の情熱を見ていることが意外なことに多いのです。

 管理職のサポートやプロジェクト体制を整えることも必要ですが、成功するか否かは企画立案者であり実行者・実務担当者の情熱にかかっている、とトップは経験上わかっています。一見、理路整然としてきれいに見える説明・企画資料であっても、「それが実現できるか?」「途中問題が発生してもやり切れるのか?」といった点をトップは一瞬で見抜いてくるのです。

 ですから、せっかく思いを込めた施策は、役職関係なく本人がプレゼンしましょう。「プレゼンが苦手だから」「あの幹部が苦手だから」と、説明がうまい上司や後輩に代打を頼んでも、さすが会社のトップになるべくなった人は見抜いています。どんなにうまく説明したつもりでも、資料に書いていない想定外の質問、細かい背景やデータの裏付けなど、本気で企画検討した本人にしか答えられない質問を投げてきますし、「本当にやる意味があるのか」「なぜやる必要があるのか」といったことは、本人以上に熱を込めて答えられる人はいないはずです。

 実際私も特に大きなプロジェクト開始の承認をもらうとき、幹部へ説明・質疑応答のあと、最後の最後で「これは誰がやるんだ?あなたがリーダーで責任持ってやるんだったらやってもいいよ」「本当にやりたいと思ってるなら任せる」と、最後は中身でも体制でも費用でもなく、「本人の情熱・やる気」を確かめられるといった、まるで面接のようなこともありました。また、先輩が企画した案件を代わりに私が説明し、うまく質問に答えられず失敗したことも、自分の企画を上司が代わりにプレゼンし、やはり質疑応答でNGが出たこともあります。

 ときには心を動かすプレゼンテクニックも必要ですが、たとえ説明が下手でも、「なぜやる必要があるのか」「どうしても今やらなければ」という思いは、本人が伝えるのが一番です。情熱的なプレゼンはテクニックである程度カバーできますが、「仕事に愛情を込めているか?魂がこもっているか?」はごまかしがききません。若手社員からは非の打ちどころがないように見える上司のすばらしいプレゼンであっても、「俺はプレゼン(だけ)がうまいやつは信用しない」とはっきり断言するトップもいます。

■「自分発」と「やらされ仕事」成果の違い

 ここ数年の「働き方改革」で、多くの企業が短時間勤務やテレワークなどの制度を整えていますが、制度は作ったけれども定着しない企業にも共通点があります。それは今本当に必要としている人が作ったものではなく、会社側や管理職が、「今はやりだから」「他企業も導入しているから」といって、あまり工夫もせず、とりあえず作ってしまったパターンです。 

 たとえばテレワークであったら、これまで時間場所を気にせず働いていたけれど、出産や介護を機にこれまで通り働くことができなくなってしまい、切羽詰まっている人。こうした「今まさに困っている」「困ったを解消したい」状況の人が作ると、切羽詰まっているから本気で取り組むものです。一刻も早く実現する必要があり、他社事例を参考にすることはもちろん、自主的に社内でリサーチし周囲を巻き込んでいくことになります。そうなれば、もちろん「作っておしまい」にはならず、最低自分1人の課題は解決する「そこそこ使えるいいもの」が完成し、巻き込む段階で同じような問題を抱えている社員の役にも立ちますし、制度の認知度と利用度も上がっていきます。

 対してテレワークにあまりメリットを感じていない人が「とりあえず制度を作れ」とアサインされてしまったら、「なんで私が・本当は必要ない・今やっている暇なんてない」といったやらされ感満載の仕事になり、魂・愛情がこもらず、中途半端なものが完成します。結果、誰も使わないどころか「また無駄なことを」と社内で抵抗勢力が増えてしまうことにもなりかねません。

 テレワークに限らず、うまくいっている・勢いのある企業を見てみると、プロジェクトのオーナーは一般社員で、上司は本人の「やりたい」「困った」を尊重し、後押し・サポートする文化が根付いていると感じます。

 次回は、「巻き込みのステップ・上司の巻き込み方と仲間の増やし方」をお伝えします。

小松 路世
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