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ここがポイント ―中小企業の採用戦略
第14回:面接での留意点(3)

2013年11月14日

■好き嫌いはあって当たり前ー感性も大切な判断材料

 面接経験が少ない人に面接官を任せようとすると、「きちんと判断する自信がない...」などと言う人がいます。この「きちんと」には、多くの場合で理性的、論理的という意味を含んでいます。応募者に対して真面目に誠実に向き合おうという姿勢ですから、それについてはとても好ましく思いますが、果たして理性的、論理的に判断することが良いことなのでしょうか。

 採用活動をよく恋愛や縁談に例えてきましたが、もし結婚を前提としたお見合いであれば、必ずしも理性やロジックだけでなく、相手から受ける感覚やフィーリングによって判断するところも多いはずです。採用面接では、それよりは論理的に理由を説明できるようにする必要はありますし、常に理性的、ロジカルに判断できるならばそれに越したことは無いでしょうが、やはりお見合いですから、言葉では説明しづらい"何となく"感じた印象や雰囲気に、共感したり違和感を持ったりすることはあるでしょう。最終的には個々の主観的な好き嫌いもあると思います。

 私の場合、経験の少ない面接官には「無理して理屈をつける必要はなく、感覚的な事でかまわない。最後は好き嫌いでも良い」と伝えていました。
人の好き嫌いは誰でもあって当たり前と思いますが、これを大っぴらに、なおかつ面接のような公式の場でのことを言うのは、さすがに抵抗感を持つ人が多いでしょう。

 しかし好き嫌いにも、そう感じる何らかの理由があります。過去からの経験、自分の価値観、相手の雰囲気や発言・態度に対する感じ方など、要素は様々です。言葉では説明できなくても、無意識のうちに自分との相性を感じ取っています。社員個人の相性であっても、何人分も積み重なれば会社との相性につながります。5人の面接官のうち3人が「あまり好きになれない」と言ったとしたら、やっぱり応募者と会社の相性には溝があるはずです。

 感情も多くの人のものを積み上げればロジックになります。応募者に対して理性的に向き合うことは心構えとして大切ですが、あまり理屈に捉われ過ぎるのは、判断を狂わせることがあります。面接においては感性、フィーリングで感じ取ることも、とても大切だと思います。


■「厳しさ」と「威圧」は違うー安易な威圧に効無し

 最近は少なくなりましたが、わざと意地悪、または威圧的な質問や反論をして、これに対する対応を評価する"圧迫面接"という手法があります。目的はストレス耐性を図る、感情的にならずに冷静な対応ができるか、臨機応変な振る舞いができるかを見る、その他いろいろ言われます。

 応募者が多い業界では、今でもふるいにかける面接、落とす面接として"圧迫面接"を実施しているところもあるようですが、近年では圧迫面接は、「パワハラの一種」「人格否定」ともなりかねず、またインターネットの普及で悪い噂はすぐに広まるようになり、会社の評判を落とすだけなので慎むべきとの評価が一般的になっています。

 こういうお話をしても、「実際のビジネスはそんなに甘くない」と、なかなか納得して頂けない方もいらっしゃいますし、経営者や人事担当者の考え方によって、自覚がないまま"圧迫面接"になっていることもあります。

 ここで注意していただきたいのは「厳しさ」と「威圧」は違うということです。

 例えば相手の感情を逆撫でしたり、態度で圧したりということは、ただの「威圧」であり、俗にいう"圧迫面接"はこちらに入ってくると思います。

 一方で、「言動と行動の矛盾を突く」「つじつまが合わない点を指摘して確認する」「うわべの発言を深掘りする」というような質問は「厳しさ」であり、これは面接の場面では必要な事です。

 「厳しさ」と「威圧」の違いは、応募者と会社が対等な関係を維持できているか、応募者にとって非礼、無礼との印象を与えていないかどうかということが境目になります。厳しい質問はするべきだが、威圧する必要はないと思います。

 もちろん仕事の上では、相手から罵倒されるような言動を受けることもあるでしょうが、それを面接の場面で、しかも一方的に試すことに意味があるでしょうか?

 何より採用面接というのは、会社と応募者のお見合いの場です。普通はお見合い相手との相性を感じ取ろうといろいろなふるまいを考え、できれば良い関係を築こうと考えるはずです。相手の神経を逆撫でするような馬鹿な真似は、普通はしないはずですよね...。

小笠原 隆夫
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