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本に載らない現場のノウハウ 〜中小企業の人事制度〜
【第24回】評価制度の話いろいろ(12)

2014年04月10日

■「公平性」と「透明性」と「納得性」の関係

 評価制度における重要な要素として、「公平性」「透明性」「納得性」の3つがいわれます。これらがすべて重要なことには異論ありませんが、評価制度を運用していく上で、私はすべてが同列ではないと思っています。

 例えば、あるカリスマ社長がいて、その社長がある社員を評価した結果がB評価だったとして、その理由を社員には一切説明しなかった、もしくは「俺がBと言ったらBなんだ!」なんて程度の一方的なものだったとします。

 これに対して社員は「社長にそう評価されたらその通りなんだろう」「あの人の目は確かだから間違いないだろう」などと思っていたとしたら、公平でも透明でもありませんが、納得はしています。
逆にどんなに「公平性」を意識して取り組んでも、どんなに「透明性」を向上させても、それで「納得性」が高まるとは限りません。

 つまり、評価制度を成功させるには「納得性」が最も大事で、この「納得性」を高めるために、基準に基づいて公平に評価するという「公平性」と、評価過程や結果、理由を明らかにして、フィードバックや説明を行うというような「透明性」があるという考え方です。

 「公平性」と「透明性」は制度で対応できますが、「納得性」は必ずしも制度だけで対応できる部分ではありません。各自の主観と言ってもいい部分があり、誰がどんなやり方をしたか、何を見せ、何を語ったかなど、運用時の対応に左右されます。

 このあたりを意識しないと、評価制度を検討する中で、評価する方法や評価プロセスでのエラーをなくすことなど、「公平性」「透明性」の部分ばかりが主眼になってしまい、肝心の「納得性」が高まらずに、制度運用がうまくいかないということになってしまいます。

 3つの要素の関係性は、あらためて意識しておくと必要があると思います。


■個人よりチーム重視

 私が現場を見ている中で、業績が上がっている会社とそうでない会社を、評価制度の面で比べてみると、いくつかの傾向があります。

 そのひとつに、個人評価よりチーム評価を重視しているということがあります。定量的な目標はチーム単位にとどめ、個人はチーム目標を達成するための取り組みや役割が問われます。個人の手柄にこだわり過ぎることは合理的でないと考え、個人へのインセンティブをばかりを強調しない仕組みにしています。

 もちろん突出した個人が活躍することもあるでしょうし、個人成果の積み上げこそが会社全体の業績という面はありますが、会社、部門といった何人もの人が関わるチームで動く中では、それぞれの役割は異なりますし、複数の人が関わる事によるお互いの補完関係やシナジー効果があります。単純に1+1=2ではなく、個人単位までの明確な切り分けは難しいものです。

 これは、結果主義と言われるスポーツの世界であっても同じで、ホームラン王と首位打者のどちらがどの程度優れているとは誰も答えられないでしょうし、サッカーのような競技であれば、流動的な動きの中でなおさら数字に表れない要素が多く、誰がどれだけ貢献したかを一概に定量的に表現することは難しいでしょう。

 ある観点や基準で割り切って評価を決めることはできるでしょうが、誰もが同じように納得できるわけではなく、やはり不条理な部分、感情のしこりが残ります。

 個人評価とチーム評価のバランスが評価制度の重要なポイントであること、業態による差はあっても、どちらかといえばチーム評価を重視する方が全体の業績につながっていることを意識した上で、制度設計に取り組んでいただくと良いと思います。

小笠原 隆夫
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