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総務の知的財産戦略 第12回

2017年09月19日

 chizai12.png前回までは、総務部は、特許取得の可能性を高めたり、特許の権利範囲を広げることに寄与できることを書いてきましたが、今回からは特許を出願したあともさまざまなことに寄与できることについて書きます。

■ 特許公開公報の公開日

 特許出願に関する書類は、右図に示すように、出願日から1年6か月が経過すると、特許公開公報として公開されます(出願公開)。実務的には、J-PlatPatで検索することができるようになり、誰でもその特許公開公報を手に入れられることになります。

 その結果、特許公開公報に記載された情報は公知情報となり、第7回で説明した新規性や進歩性の判断材料となってしまいます。

 このときに重要になるのが、特許公開公報の公開日です。公開日は、下図に示すように、特許公開公報表紙の上部右側の赤丸で囲んだところに記載されています(この例では、公開日は「2017年9月7日」となります)。
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 この公開日よりもあとに出願された特許の場合には、この特許公開公報が新規性および進歩性の判断材料になります。逆に、公開日よりも前に出願された特許の場合には、新規性および進歩性の判断に対してこの特許公開公報は何の関係もないことになります。

 このように、特許公開公報は重要な情報となりますので、総務部から開発部にぜひ知らせてあげてください。その際に、競合企業が出願した特許公開公報も併せて知らせてあげると、開発部により感謝されると思います。

■ 審査請求の手続き

 出願公開が行われたあとには、最初の図に示したように、審査請求という手続きを行う必要があります。審査請求とは、出願した特許について、特許登録できるか否かの審査を特許庁に対して申請する手続きです。ただし、審査請求は出願日から3年以内に行わなければなりません。3年以内に審査請求を行わないと、その特許出願は取り下げられたものとみなされ、権利化されることがなくなるので、注意が必要です。

 せっかく出願した特許を権利化するのが当然だと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実際は、審査請求をせず権利化を断念することも多いです。たとえば、出願する時は重要だと考えていたとしても、その後商品に使われないことが決まった技術に関する特許出願や、出願後に公開された競合企業の特許公開公報に同様の技術が記載されていて権利化することが非常に難しい特許出願もあります。

 このような場合に、開発部の意見によって審査請求の有無を判断する企業もあれば、一切審査請求をしないという企業もあります。

 しかし、審査請求の有無は、本来その企業の事業戦略(知的財産戦略)に沿って判断されるべきだと思います。

 たとえば、権利化が難しいとしても、権利化することにより競争優位に立てる可能性があれば、上記のような状況の特許出願であっても、あえて審査請求を行うこともあるでしょう。ここで、総務部の出番です。審査請求の有無を判断するために、事業戦略に沿った判断基準を作成してみてはいかがでしょうか?

 これは、会社全体を業務範囲とする総務部の業務だと思います。

 次回は、この判断基準の考え方について具体的に解説したいと思います。

高松 孝行
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