コラム

総務 / 総務の在り方 / インナーコミュニケーション

総務の社内PR大作戦
第10回:地位向上は「リーンスタートアップ」で

2017年11月13日


 総務部門の地位向上、社内PRについて扱ってきたこの連載も今回が最終回です。これまでのステップを振り返ってみましょう。

・Step1 部門の業務の「意義」を再確認する(仕事の重要性を説明できるようにする)
・Step2 コミュニケーションの機会をつくる(情報提供型総務)
・Step3 御用聞きと社内営業の実践(エコヒイキ型総務)
・Step4 問題解決事例の社内・社外共有(問題解決型総務)
・Step5 社内コンサル・社内カウンセリングへ(問題創造型総務)

■社内のニーズを探り総務のシーズを増やす・育てる

 結局のところ、部門の地位向上・社内PRは、部門の業務の価値向上と同義です。連載の過程で何度かお伝えしていましたが、単に「がんばっているアピール」をしても誰も認めてくれません。経営幹部とのコミュニケーションの機会を創り出し、現場に足を運びニーズを探索しながら総務ができることを売り込み、実績を積んでいくことで総務部門のシーズが増えて、育っていきます。

 業務を高度化させる過程では、必ず、従来の活動のさらなる効率化が求められます。新しい戦略業務に取り組むため、時間・労力を創り出さなければいけないからです。第2回でご紹介した「CMMI」(図表1)でいえば、Leve3以上の仕組みの構築が必然的に求められる状況になります。

図表1:能力成熟度モデル(CMMI)


incom11_3.pngのサムネイル画像

 Step1の業務の意義の再確認を丁寧に実践すると、必ず総務部門の業務の価値向上は「やりたいこと」になっているはずです。たとえばLevel3の「標準的なプロセスの確立」は、やりたいことを実現するために必要な時間・労力を創り出すもの、と位置づけられるようになります。これまで業務標準化自体を「やらないといけないこと」と義務感のようなものがあった方も、「やりたいことを実現するためにも、さっさとやってしまいたいもの」となり、処理型業務になります。この意識の変化は、非常に重要です。

■小さく始めて検証しながら大きく育てる

 地位向上・社内PRは、小さく始めて大きく育てることが近道です。私が経験したりお客さまと一緒に取り組んだりした部門の地位向上のステップをご案内しましたが、手探りになることはたくさんあるはずです。

ビジネスの現場で近年、「リーンスタートアップ」という手法が注目されています。これは、ビジネスで浮かんだアイデアを、いったん形として作ってしまい、お客さまの反応や声をうかがったりしてデータを計測し、アイデアをさらに発展させたり精度を上げたりしていくものです。起業でも新規事業でも新製品投入でも、成功確率を高める手法として注目されています。まさに、小さく始めて検証しながら大きく育てるものです。

図表2:リーンスタートアップの考え方

incom19.pngのサムネイル画像


 検証(計測)に関しては、本連載の第5回で、「部門の360度評価」の方法をご紹介しました。Step1で実施した360度評価は、Step2からStep5までの進み具合に応じて、必ず何度も実施していきましょう。360度評価は、主観的な意識を捉えていくものですので、上がるときもあれば下がるときもあります。一喜一憂する必要はありませんが、傾向は見えてくるはずですし、役員・社員が自部署についてどう感じているのか、数字になって現れてきますので、改善・進化の意欲が湧くやすくなります。小さく始めたものを検証するためにも不可欠です。各部門へのヒアリングや行動観察の仕方、定性的にデータを蓄積する方法もあります。どうすればよいのかわからない場合は、継続的に実施できるようにサポートしますので、お問い合わせください。

 総務部門の地位向上は、総務が経営に貢献するだけでなく、Step5まで行けば経営能力の向上にもつながっていきます。この取り組みを始めてからしばらくは、役員・社員の冷たい反応もあるでしょう。ただし、身に付けた知識や見識を、どのような反対があってもやり抜くぞ!と覚悟し、行動していくことで「胆識」が育っていきます。

 私の会社の名前「タンシキ」は、胆識をカタカナで表現したものです。多くの方に、覚悟を持って行動していくことの楽しさを実感していただきたいと考えておりますので、ぜひ、この連載をご覧いただいた方には、小さなことからでも結構ですので、すぐに行動してみてください。できることが増えていくことは、とても楽しいですよ!

秋山 和久
​​MENU