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組織を活性化する「場」作り【その6】心と環境の接点、そして「感性」の正体を探る

2018年08月10日

■「感覚」を理解する

 「心と環境の接点」を考えるには、まずは人間の「感覚」について整理しておく必要があります。

 「感覚」とは、「五感」といわれる視・聴・味・嗅・皮膚感覚や、平衡感覚、運動感覚、そして空腹感などの内臓感覚を指します。それぞれの感覚システムは「刺激」を通じ、複合的に連携して、多様に変化する「環境」に無意識のうちに対処しています。「刺激」となる事象の具体例としては、以下のものが挙げられます。

・視覚 : 物の形や色合い、人の顔や表情
・聴覚 : 雑音や音楽、会話や自然音
・味覚 : 美味さ(不味さ)、熱い(冷たい)
・嗅覚 : 良い香り、臭い
・触覚 : 硬い、柔らかい

 また、スペースの広さや狭さなども視覚の刺激になる環境要素です。

 これらの「感覚」は人間の生理的な機能により感じるわけですが、さまざまな「感覚」は「知覚」を伴い、結果、心の動きに影響を及ぼす「感性」を育みます。「感性」は創造力を創発させる原動力ともいえるものです。ですから、人間の「感性」を知ることは、組織においてコミュニケーションを誘発させ、クリエイティブワークを活性化する戦略に不可欠の知識なのです。

■「感性」を理解する

 さて「感性」とは?と、考えてみると、その定義はさまざまです。ある哲学者は「感性とは感じることの性質もしくは能力」と定義し、また、ある生理学者は「瞬間的あるいは直感的に物事を判断する能力」と定義しています。そして、心理学者は「包括的、直感的に行なわれる心的活動およびその能力」と定義しています。

 これらに共通するのは、感性を「心の働きの一つ、あるいはその能力」として捉えていることです。そして、瞬間的、包括的な判断能力は、知覚にも当てはまるものです。ですから、 感性とは「印象評価を伴う知覚」と位置付けることもできます。

 また、思想家のスーザン・ソンタグは、「知性もまた趣味(感性)の一種、つまり観念についての趣味」と述べています。感性は「想像力」や「イメージ」といった心の内的な表現にもかかわりますが、外部からの刺激による「知覚」によって、感性の評価を意識することになります。つまり、心地良さ、快さ、おもしろさ、美しさ、などの感覚です。これらの感覚は個人差がありますが、一般法則があるともいわれています。

■「場」作りとの関連性

 組織の中でコミュニケーションを触発し、知力を高める「場」の設計と構築に当たり、働く人たちの「働き心地」を良くする心理的な要素の一つである「快感」に関する「覚醒ポテンシャル理論」を紹介します。

 この理論を提唱している心理学者によると、「人間は単純過ぎるものには快感を覚えないが、複雑すぎるものには不快感を覚え、その中間に快感を最大にする覚醒ポテンシャルが存在する」とのことです。そして、快感を高める変数として、「複雑性」「新奇性」「不明瞭性」「曖昧性」「驚愕性」「不協和性」、そして「変化性」といった"刺激特性"を挙げています。

 これらを「場」作りの要素と読み替えてみると、さまざまなアイデアが浮かんでくるのではないでしょうか。刺激特性をバランスよく「場」の中に散りばめながら、クリエイティブ仕事をしている人の「感性のエッジ」を研ぎ澄ます試みもおもしろいと思います。

 また、行場次朗さん・箱田裕司さん著『新・知性と感性の心理―認知心理学最前線』(福村出版)には、次のような一文があります。


感性研究に求められているものは、...(中略) ...明示されていない情報や暗黙知に基づいて人間が採る適切な措置(たとえは、ヒューリスティック)や、感情・印象をともない、個人差・状況差を含んで行なわれる直感的な感性判断など、人間の多様な情報処理の在り方に目を向けることであり、それらの背後にあるメカニズムの検討を通して、人間の認知のあり方の理解を深め、豊かで暮らしやすい社会のあり方を考えてゆくことにあるだろう。



 総務FMプロフェッショナルが挑戦していくべき、日本を元気にする「場」作りのシナリオには欠かせない学術的知見です。

岡田 大士郎
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