2021年8月27日、『月刊総務』が主催する「eコミュニケーショングランプリ」の最終選考イベントがオンライン開催された。グランプリと準グランプリを選ぶのは視聴者の投票だ。応募74作品の中から選ばれたファイナリスト8作品の、それぞれに個性的なプレゼンテーションは圧巻だった。本章では、選考委員によるパネルディスカッションのようすを採録する。
ファシリテーター 株式会社ゼロイン 三宅欣広さん
1年半のテレワークでコミュニケーションの進化を実感
オンラインならではの特長を生かす
長沼史宏さん
大手メーカーでの広報担当や五輪メダリストのマネジャー業を経て2015年からアステリア株式会社に参画。東京五輪に向けて創設した「TDMテレワーク実行委員会」では首都圏における通勤ラッシュなどの交通混雑緩和に向けた活動にも注力。2017年1月に開講した「広報勉強会@イフラボ」のフォロワーは約1,200人に上る。一般社団法人ブロックチェーン推進協会事務局長・広報部会長。公益社団法人日本PR協会認定PRプランナー。
並河 研さん
1984年株式会社リクルート入社。一貫して映像・イベント畑を歩み、社内コミュニケーション施策や教育映像などをプロデュースする傍ら、アメリカンフットボール部を創設。創部8年で日本一を達成する。その後、株式会社ゼロインに入社。さまざまな企業の組織活性化を手掛ける。2019年より現職。社会人アメフットチーム、オービックシーガルズを運営する株式会社OFC代表取締役。
三宅 リモート時代のコミュニケーションということで、ここまで8社によるプレゼンテーションを拝見しましたが、施策を担当する方々のワクワク感が伝わりましたね。
薄井 オンラインでのプレゼンテーションなのですが、十分に熱量が感じられました。新たな学びがありましたし、楽しかったです。周囲の巻き込み方や活用されているツールにも、それぞれの会社らしさが出ていたのではないでしょうか。
長沼 あらためて、インタラクティブ(双方向)の人間関係が大切なのだと実感しました。原点回帰といいますか。
並河 みなさんのプレゼンを聞いていて思ったのは、いずれの施策でもきちんと先を見据えているということです。イベントの先が、社員の自立性につながったり、次のアクションの仕掛けになったりするところまで考えられています。
三宅 私もエントリーした74作品をすべて読ませていただきましたが、本当に各社、工夫されていました。課題のテーマとしては3つのカテゴリーに分けられるかと思います。
1つは業務上のコミュニケーションだけになってしまって雑談が減っているので、交流を促進したいというもの。これはいちばん多く、全体の半数以上を占めました。
2つ目は、ウェルネスです。目の前にいない社員の健康管理ですね。
3つ目は経営陣と現場との心理的なつながりに対する懸念です。出社をしなくなり、二者の間にあった信頼感をどう維持するかが課題になっています。経営陣の思いをどう伝えれば、社員が主体的に会社活動に参加してくれるのか、ということです。この3つの課題を複合的に捉える企業も少なくありませんでした。
みなさんは取材やコンサルティングを通して、普段から多くの企業と接していらっしゃいますが、この1年半で各社が抱える課題に、何か共通項はありますか?
薄井 出社できないことで、若手のモチベーションが下がっているというのは顕著だと思います。昨年11月に本誌で行った調査では、80%以上の企業がコミュニケーションに課題を感じ、96%がエンゲージメントの低下を危惧しています。若手に企画・運営を任せたり、経営陣と直に話す機会を設けたりしてエンゲージメント向上に成功したいくつかの作品は、参考になるのではないでしょうか。
長沼 コロナ禍に対応するために各企業がさまざまな手を打っていますが、新たな課題も次々に出てくるので、施策の企画と実行にはスピード感が求められています。時間をかけて特殊なシステムを構築するより、身近なアプリを上手に活用しながら、目の前の課題を次々に解決していく方がいいのです。今回のファイナリスト作品には、担当者の機動力と実行力とともに、幅広い企業ですぐに取り組めるアプリ活用のヒントがたくさんあったと思います。
並河 この1年半クライアントと話してきましたが、コミュニケーションが減少する半面、リモートワークになって物理的な「壁」がなくなったというメリットも確かにあると感じます。時間と場所にとらわれずに動けるようになり、東京で会議をしたあとに北海道支社の会議に参加する、ということがオンラインでは当たり前になりました。コロナ禍で周年記念を迎えたあるクライアントは、会長の周年インタビューを新入社員に任せたそうです。対面だったらとても緊張するだろう場面です。
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