ここがポイント ―中小企業の採用戦略 第13回:面接での留意点(2)
採用面接について、前回挙げた3つのポイントについてご説明したいと思います。
面接は「接客」であると心得る
ポイントの1つ目は「まずは接客であると意識すること」です。
不遜な態度の面接官の話は、いろいろな所で見聞きします。ため息をつかれた、説教された、目も合わそうとしない、乱暴な言葉づかい、見下したような態度・・・.etc.
私から言わせればこんな話は論外で、その会社に人を採用する資格はないと思います。面接官個人の資質の問題ともいえますが、そういう人物に面接をやらせているのは会社ですから、全く言い訳になりません(もしも自社がこのような指摘をされたとしたら、取引先や社員同士など、ほかの場面でも同じようなことが起こっている可能性が高く、十分注意する必要があります)。
採用活動は仕事のパートナー探しであり、企業の広報活動でもあるとお伝えしてきました。応募者も入社に至らない限りは永遠にお客様です。まずは節度ある真摯な態度で応募者と接するということが、面接官としての基本中の基本であろうと思います。
相手の話をたくさん聞かなければ「面接」にならない
ポイントの2つ目は「聞き上手に徹すること」です。
意外によくあるのが、面接官が話している時間の方が長いような面接です。俗に言う話し好きや、もともと口数が多いタイプの人が面接官になると、より顕著な傾向でそうなります。
一見すると話が弾んで良い雰囲気のようですが、話し好きというのは、要は自分の話を聞いてもらいたい人が多いので、相手の事情を確認することはあまり得意としていません。事務的な確認事項すら聞き漏らしていることもあります。自分主体で話していて、相手のことは確認しきれていないわけですから、結果の判断が、「自分の話を聞いてもらった気分の良さ」に左右されるようなケースもあります。
面接では受け答えの内容だけでなく、しぐさや表情、声のトーン、そのほかを糸口として、いかに多くの判断材料を限られた時間内で集められるかがポイントになります。そのためには、応募者にいかに多くのことを話してもらうかが、最も重要になります。つまり適切な質問をいかにたくさんするかということが、進め方のポイントなのです。
話し好きは日常のコミュニケーションを円滑にする中で力を発揮していただき、面接の場では聞き上手に徹していただければと思います。
「面接」では自分好みの一面で思い込まないこと
ポイント最後の3つ目は「常に反対の側面を意識すること」です。
これは言い方を変えると「思い込みの強さはNG」ということです。人間なら誰でもあると思いますが、自分のツボにはまったことを、一面だけから思い込みで強調してみてしまう傾向があります。単純なことでいえば「スポーツをやっていたから打たれ強い」「キャプテンだったからリーダーシップがある」「○○大学だから優秀だ」というようなことです。
総論的な傾向としてはそのように言える部分もありますが、採用活動において最終判断する上では、あくまでその人がどうなのか、個別判断の世界になります。「スポーツをやっていたから打たれ強い」と思い込んでいると、スポーツをやっていた事実だけを確認して、「だから打たれ強い」と結論づけてしまいます。
そうではなく、たとえば「スポーツに対してどんな取り組み方をしていたのか」「つらいことや苦しいことは何があったのか」「そもそもスポーツは得意なのか」「スポーツ以外の取り組みはどんなことをしていたのか」など、違う方向や反対の側面から聞いていくと、その思い込みを補強する要素も、打ち消す要素も出てきます。それらを総合判断することが大切になります。
「そんなことは当たり前で、とっくに意識している」とおっしゃるかもしれませんが、これを実践するのはなかなか難しいことです。こんなことを偉そうに書いている私自身でも、思い込みに陥ることがあります。同席していたほかの面接官に確認したり、後でやり取りを考え直したりすることがあります。常に意識していても、それでも難しいということです。
"思い込み"については、「そんなことわかっている」などと言わず、常に陥らないように意識し、他人の目からも確認してもらうということを継続していく必要があると思います。
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