個人情報の第三者提供、子会社は「第三者」に当たる? 本人の同意が必要なパターンを理解しよう
IT関連法務・デジタル関連法の実績が豊富な坂生弁護士に、わかりやすい実例、特に違法になってしまうケースを挙げて解説していただく連載、「2022年度デジタル関連法『コレやっちゃうと違法』シリーズ」(毎月第1週月曜日更新)。第9回は、個人情報保護法の「第三者提供」について解説いただきます。
個人情報の取り扱いは、世界的にも厳格化が進んでいます。とはいえ、第三者提供してはいけないと、やみくもに集めた個人情報や労力がムダになっていることはありませんか?
初めに
個人情報保護法(以下「法」)第27条第1項では「個人情報取扱事業者は、(中略)あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない」と定められています。つまり、個人データを「第三者提供」する場合は、原則として、あらかじめ本人の同意を得る必要があります。
もっとも、実際の場面では「第三者提供」に当たるか否か迷う場面も少なくありません。それでは、以下のケースのうち、本人の同意が必要となる「第三者提供」はどれでしょうか? 併せて、それらの注意点についても解説していきます。
- 事業譲渡先への個人データの提供
- 業務委託先への個人データの提供
- 親子会社間での個人データの交換
- 他の事業部への個人データを提供
事業譲渡先への個人データの提供
まず、法第27条第5項第2号は、「事業の継承」に伴う個人データの提供の場合は、個人データの提供先は「第三者」に該当しないものと規定されています。
よって、「1.事業譲渡先への個人データの提供」の場合は、本人の同意は必要ありません。
業務委託先への個人データの提供の場合は業務委託先の監督が義務
次に、法第27条第5項第1号は、「委託」に伴う個人データの提供も「第三者提供」には当たらないと規定しています。
よって、「2.業務委託先への個人データの提供」の場合も、本人の同意は必要ありません。
ただし、法第25条は、個人データの取り扱いをする場合の委託先の監督を義務付けています。よって、「委託」の場合は、自らが講ずべき安全管理措置と同等の措置が講じられるように、委託先の監督を行わなければなりません。
個人データの委託先の監督において必要な3つの措置とは?
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。
1ヶ月のアクセスランキング
ダウンロード資料、アイテム
特別企画、サービス
-
総務が押さえておくべき 2023(令和5)年に施行の法令改正情報
2023年は2022年に引き続き施行される育児・介護休業法のほか、労働基準法や労働安全衛生法、国民年金法の改正法令などが施行されます。本稿では今年に施行等される法令の中で、総務業務関連のものをピックアップしました。 -
【編集部厳選】総務1年生にオススメしたいコンテンツ20本
『月刊総務』編集部が、総務1年生やこの春久々に総務業務を担当する方にオススメのコンテンツを厳選。この機会に、総務実務の基本はもちろん、ビジネススキルや総務の考え方について学んでみませんか? -
総務のマニュアル
総務・バックオフィスの実務を実践的にサポートする「総務のマニュアル」シリーズ。ビジネストレンドを押さえた内容で、いま総務が知っておきたいポイントを具体的に解説していきます。 -
プレミアム特別コラム
法改正の具体的なポイントや実務に直結する時事的なコラムなど、専門性が高い「プレミアム限定コラム」はこちら。業務を支える幅広い知識を集めるのに最適です。 -
多様な働き方に対応する 社内コミュニケーション術
リモートワーク、ABWなど働き方の多様化がさらに広がっています。対面のコミュニケーションが減っている中においても、コミュニケーションを活性化するために、どうしていくべきでしょうか。 -
テレワークを実現するペーパーレス化と文書管理のポイント
ハイブリッドワークの需要が高まったものの、総務・経理などの管理部門では、請求書や契約書など書類のデジタル化に対応できず、出社を余儀なくされた方も多いのではないでしょうか。 -
総務辞典
総務辞典とは、どなたでもご利用いただける、総務業務に関する一般知識、関連法令や実務ノウハウなど総務に関する用語辞典です。 -
無料オンラインセミナーのご案内
月刊総務が開く、無料オンラインセミナーの予定はこちらからご確認ください。さまざまな企業と共催し、より専門的な知識を幅広いテーマで発信。総務の皆様の情報収集にお役立てください。 -
『月刊総務』調査
『月刊総務』では、不定期にアンケート調査を実施し、その結果を公開しています。全国の総務パーソンがどのように業務に対応しているのか、何を感じているのか、総務の現状を確認してみましょう。 -
YouTube 月刊総務チャンネル
『月刊総務』公式YouTubeチャンネルです! 「働き方」「戦略総務」などのテーマについて、数分で気軽にキャッチできる情報を発信していきます。ぜひ、チャンネル登録をお願いします! -
業務効率化&コスト削減 購買プラットフォーム
オフィス用品に関する困りごとを解決し、業務効率化とコスト削減を実現いたします。Kobuyは、一貫堂が提携するパートナーサプライヤに加え、お客様ご希望のサプライヤ商品・サービスを一元管理できるオフィス用品一括購買システムです。