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総務の知的財産戦略 第1回

2016年09月16日

はじめまして、ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 高松孝行です。
今回から「総務の知的財産戦略」というタイトルでコラムを書かせていただきます。


■ 知的財産戦略とは
2003年に小泉内閣の下で施行された知的財産基本法に基づき、知的財産戦略本部が設けられて以降、「知的財産戦略」という言葉が広く使われるようになってきました。

「知的財産戦略」とは、一般的には、自社の知的財産権を武器にして、他社の市場介入を阻止し、市場のシェアを獲得・拡大していくための戦略と言われています。


このような知的財産戦略について、たとえば複数の事業部を有する企業では、情報共有が行われず、各事業部主導で取り組んでいるところが多いと思います。

特に、特許に比重が置かれることが多い製造業では、その傾向が強いのではないでしょうか。このような場合、ある事業部で開発された技術であっても、他の事業部でも活用できる可能性があります。であれば、他の事業部でも活用できるような形の特許権を取得すべきでしょう。

さらに、商標に至っては、事業部が開発している商品イメージだけではなく、会社全体のブランドイメージに沿って、どのようなネーミングについて商標権を取得すべきか検討する必要があると思います。


■ 知的財産戦略の取り扱い
そもそも知的財産戦略は個々の事業部ではなく、全社的に取り扱うべきものではないでしょうか?

実際、経済産業省は、知的財産の取得・管理指針の中で「事業戦略、研究開発戦略及び知的財産戦略は、三位一体として構築するべきである」として、知的財産戦略は経営層も含めて全社的に取り組むべきとしています。

知的財産部を有する企業であれば、知的財産部が知的財産戦略を取り扱うことになります。
しかし、そのような専門部署を持たない企業で、知的財産戦略を取り扱うのに最もふさわしい部署は、会社全体を業務範囲とする総務部ではないかと思います。

一方、知的財産を取り扱う専門家としては、弁理士がいます。弁護士も知的財産を取り扱っていますが、紛争を解決することがメインで、知的財産戦略にまで踏み込んでくれることはあまりないと思います。

この弁理士ですが、あまりなじみのない方もいると思いますので、簡単に説明します。
弁理士とは、特許や商標等の知的財産に関する権利化業務を主に取り扱っている国家資格者です。全国で約1万1,000人しかいません。ちなみに、弁護士の人数は約3万6,000人、税理士に至っては約7万5,000人です。
特徴的なのは、弁理士(および弁理士が所属する特許事務所)が東京・名古屋・大阪などの大都市圏に集中しているという点です。これは主な取引先が個人ではなく法人であることに依ります。


■ 弁理士を活用した知的財産戦略のススメ
企業によっては、弁理士に知的財産に関する業務を委託している方もいると思いますので、そのような方にとっては弁理士はなじみがあるかもしれません。

しかし、弁理士への委託している内容としては、商品開発が一段落したので、その商品に関する特許出願を委託したり、新商品を販売することになったので、その新商品のネーミングに関する商標登録出願を委託しただけ、ということが多いのではないでしょうか?


弁理士は、他の士業と異なり、知的財産の活用を通じて企業の事業戦略に関与できる専門家でもあります。例えば、特許権や商標権を活用することによって、市場から類似品を排除し、価格競争に陥ることを防止することができます。

このような専門家に、単に完成した技術や商品名に関する特許出願や商標登録出願の依頼をするだけというのは、もったいないと思います。


前述のように専門部署を持たない企業では、特に総務部が会社全体を見渡すことできる部署であり、全社的な観点から専門家を活用することができる立場にあると思います。
そこで、弁理士を活用して、総務部ならではの知的財産戦略を提案してみませんか?

次回から、弁理士の立場から、総務部がどのように特許事務所を活用して知的財産戦略を進めていくか、具体的に解説したいと思います。

高松 孝行
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