コラム

人事 / 採用 / 採用ブランディング

採用ブランディング【第13回】2021年度新卒採用で起こる企業の戦術変更

2018年09月14日

■形骸化していたルール、学生にはメリット

 経団連が2021年度採用から、これまで決めていた3月会社説明会開始、6月面接開始のルールを撤廃すると発表しました。本当に一部の超大手企業しか守っていなかったこのルールですが、このルールがあったからこそ、採用活動は学生、企業ともに長期化していました。このルールがなくなることで採用はどうなるのか。起こり得る動きを予想していこうと思います。

 学生にとっては採用活動が短くなるので、かなり負担は減るでしょう。しかし多くの企業にとっては、戦略の大幅な変更を迫られることは必至でしょう。起こり得る大きな変化を一言で表せば、「短期集中・激戦採用」。多くの企業が短い期間に集中してライバル企業と激戦を繰り広げなければなりません。そうなると、知名度のない企業はますます不利になります。

 ではどうすればそれを回避し、自社にマッチする学生を採用することができるのか。起こり得る変化と対策も合わせて、考えていきましょう。

■インターンシップが今以上に乱立

 期日のルールがなくなると、何が基準になっていくのか。それは学生のテスト期間です。どの大学も1月はテスト期間。それが終わるのが1月末~2月頭。ということは、本格的な採用期間はどの企業も2月からスタートとなることが予想されます。そうなると、学生が春休みに入り、自由に動ける2、3月が説明会・面接のピーク。早い人は3月頭から内定が出始め、スムーズに行く企業は3月中には内定者が出そろう企業が出始めるでしょう。

 ただ、ほとんどの企業はこんなにスムーズにはいかないことを予想しているはずです。そうなれば、3月いっぱいまでは説明会を行い、面接も並行して行い、4月末から5月のゴールデンウィーク空けにかけて最終面接を行うはずです。

 このようにして予定を考えると、結局今とあまり変わりませんし、経団連ルールを遵守していた超大手企業もこの時期に合わせてくると想定すれば、さらなる「激戦」になることは必至でしょう。ここまで予想できるとなれば、やはり今の潮流であるインターンシップに力を入れる企業はさらに増えることも予想できます。大学3年生の夏から始まり、年内12月まで繰り返し「インターンシップ」という名の説明会が今以上に乱立するはずです。

■実質の就活スタートは大学3年の6月になるかもしれない

 そもそも、リクナビ、マイナビといったナビ媒体も以前は10月オープンでした。それが経団連ルールの発表に伴い、3月オープンに変わりました。インターンシップサイトは前年の6月からオープンしていますが、経団連ルールに配慮してか、派手なプロモーションは行っていません。そうなると、ナビ媒体も企画を充実させ、インターンシップサイトの充実をはかるようになるかもしれません。

 すると、実質のオープンは6月となります。就職活動の始まりは大学3年生の6月が主流になるかもしれません。この意識が根付くとすれば、企業側はさらに早めの採用活動を仕掛けなければならないでしょう。6月から採用活動を開始し、7月にはもう内定が出ている学生が出てきてもおかしくはありません。時期が前倒しになれば、企業側はフォローに全力を注がなくてはならず、今まで以上に内定後の動きが重視されることになります。

 これだけ早い内定であれば、学生も、大学4年の4月までチャンスがあると考えるはずです。一応内定承諾をしつつ、超大手企業が控える時期まで息を潜ませて待つ、という作戦を、多くの学生が取るだろうと思うからです。もっとも、インターンシップを重視していた一部の企業は毎年これをやっていたわけですが、この動きがさらに広がるのは、これまでの動きを見ても明らかです。

■次のターニングポイントはナビ媒体の動向

 採用界隈では通年採用化を叫ぶ人が多いです。もし、ルールが撤廃されれば、どんどん企業の採用活動は早まり、大学1年からインターンシップを受け付ける企業が増え、卒業後の「内定手形」を出す企業は増える可能性もあると考えます。そうなればもはや「通年採用」です。学生は休みのたびにどこかの企業のインターンシップに参加し、自分にマッチする企業を選ぶ、という流れにおのずとなっていくでしょう。これは学生側からすれば、入社後のミスマッチを減らせますし、そこに賃金が発生するのであれば、とても喜ばしいことです。

 一方、企業側で考えれば、フォローの負担が増えますし、結局卒業後に何人採用できるのかが読みにくくなるので、新卒採用をすること自体のハードルがますます上がることになるでしょう。これまでのように、長くても1年の「短期決戦」ではいかなくなるので、採用に人員を割かねばならなくなっていきます。

 これらを加味すると、経団連ルールの次はナビ媒体がどう動くかが注目です。2021年度採用のインターンシップサイトのオープンが2019年6月ですから、インターンシップサイトが今の3月以降並に充実したサイトになり、学生の就活スケジュールの意識を変える大規模なプロモーションを打つようになれば、一気に上記の流れが加速するのではないかと思います。

深澤 了
​​MENU