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総務の知的財産戦略 第23回

2018年11月16日

 こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 高松孝行です。
 今回も意匠制度を活用した知的財産戦略について解説します。

■輸入差止申立制度

 日本では、特許出願数と比較して、意匠登録出願数が少ないので、意匠権があまり利用されていないと思っている方も多いかもしれません。2017年の実績では、特許出願(国際特許出願を含む)が318,479件であるのに対し、意匠登録出願(国際意匠登録出願を含む)は31,961件でした。また、意匠権侵害訴訟の件数も年間15?30件と、わずかな件数となっています。

 ただ、意匠権の活用はこれだけではありません。「輸入差止申立制度」をご存じでしょうか?税関が取り扱い、意匠権等の知的財産権の侵害品が日本に輸入されようとする場合に、輸入差し止めを申し立てることができる制度です。侵害品の国内流通を効率的に防止するのに有効です。

 この制度では、特許権侵害品も輸入差し止めをすることができます。ただ、特許権の場合、侵害品か否かの判断が難しく(現場では税関職員が判断することになります)、なかなか輸入差し止めが認められにくいというのが現状です。

 しかし、意匠権侵害品の場合は、商標権侵害品と同様に、見た目で比較的容易に判断することができるので、輸入差し止めが認められやすくなっています。

■意匠権の活用による知的財産別輸入差し止め実績

 下記の表は、2013年?2017年(平成25年?平成29年)までの知的財産別輸入差し止め実績をまとめたものです。

chizai23.jpg

引用:2017年の税関における知的財産侵害物品の差し止め状況(財務省)

 この表中の2017年(平成29年)統計データを見ると、対象となった意匠権の件数は304件と少ないですが、輸入差し止め点数は135,135点であり、輸入差し止め点数の26.7%を占めています。

 ちなみに、2017年(平成29年)に、意匠権侵害品として輸入差し止めされた製品の中には次のイヤホン(有名メーカーの製品によく似ていますね!)が含まれていました。

chizai23-2.jpg

引用:2017年の税関における知的財産侵害物品の差し止め状況(財務省)

 このように、意匠権を活用することによって、意匠権侵害品の国内流通を効率的に防止することができます。

 海外から輸入される模造品に悩んでいる企業は、輸入差し止めにも使える意匠制度を活用した知的財産戦略を構築してみてはいかがでしょうか?

高松 孝行
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