「人材」を「人財」に変えるためのリーダー養成講座 京セラコミュニケーションシステム株式会社 人財育成支援事業部 事業部長 竹松 健治さん

Vol.01 上司から挨拶しなさい

2016年5月16日 10:30更新

新入社員の失敗体験の大半は……

pic_0001.jpg

各社とも新入社員を迎える季節になってきました。ここ3年間の入社1年次研修で、新入社員に入社以来どのような失敗体験をしてきたのかを発表してもらうと、意外な発表を耳にすることが増えてきました。

 

以前ですと、不安全行為による労災など痛々しい発表もありましたが、最近は各社とも安全教育の徹底により、労災は激減しているようです。一方で、文明の利器の進化による弊害なのか、コミュニケーションが原因での失敗体験がその大半を占めるようになってきました。これは、便利な道具に頼りきりになり、肝心な確認行為が不足していることを物語っているのではないかと思います。

 

道具や仕組みに頼り切ってしまうと、人間本来がもっている能力を発揮することなく、能力を衰えさせてしまいます。それは、漢字を書かなくなると、ついつい忘れてしまうことからも実感することはありませんか?

 

例えば、隣に座っている上司にメールを使って報告・連絡・相談(以下、報連相)を行って、口頭でなにも知らせず、上司から「あれ、どうなっているんだ?」と聞かれたとき、「メールで送っています」と悪気もなく答える新入社員もいるようです。上司も上司で部下をメールで叱責し、部下はそのメールに謝罪や釈明を返信するということも少なくありません。

 

 

心の距離を縮めるためには

では、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。それは今、「七五三現象」と言われるほど、入社3年以内に中卒の7割、高卒の5割、大卒の3割が退職してしまうとことから、上司が部下に厳しいことを言えなくなっているということが背景にあります。同時に新入社員が、自分よりも年上の人とコミュニケーションをとる機会がなかったため、接し方が分からないということも一因にあるのではないかと思います。

 

つまり、上司と部下に心の距離があると言ってもいいでしょう。距離を縮める努力は、まず上司から行っていく必要があります。

昔、新入社員に対して上司が「挨拶をしてこい」と指導した場面を観たことがあります。このように上司が部下からコミュニケーションを図ってきて当然だという姿勢では、新入社員との心の距離は一向に縮まりません。

 
新入社員の指導は、愛情をもって行わなければならないということは、どの上司も考えておられるでしょうが、愛情とは関心を持つということであり、「自らの働きかけ方次第で相手の働きかけも変わる」という人間関係の基本「鏡の法則」を正しく理解している上司は意外と少ないものです。
 
そこでまず、上司が部下に対し「いつ、誰が、何を、誰に対して、なぜ、どれだけ、どのように」報告すればよいかを教えることが必要です。しかも、「わからなかったら聞いてきて」ではなく、「何がわかったか教えて」というスタンスで、新入社員の理解度を確かめ、理解違いを正し、理解不足を補ってください。問題が起こってからではなく、問題を未然に防ぐことが重要なのです。
 
新入社員の理解度を確認する方法としては、まず筆記してもらって確認するという方法が有効です。口頭だけの確認では見逃しがちなことも、筆記してもらうとどのように理解しているかがわかります。そして、記録に残るため、後に振り返ることもできます。さらに終わったタスクを消していけば、残管理ができます。そのような習慣を身につけられるかどうかは、上司の指導次第です。
 
新入社員の即戦力化は、どの上司も望んでおられることでしょう。タイムリーな報連相も、上司の指導次第だと受けとめ、「細かく、うるさく、しつこく、根気よく」新入社員を指導していくことが大切です。
 


「人材」を「人財」に変えるポイント

  • 心の距離を縮める努力は上司から
  • 新入社員の理解度はまず筆記で確認する