日本との違いは? オランダ、スウェーデン、カナダに学ぶメンタルヘルス制度と復職支援
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近年、日本だけではなく、先進国を中心にメンタルヘルス不調の発症に基づく社会課題が顕在化しています。特にメンタルヘルス不調における長期療養や、休職の長期化、復職後の再休職は、本人の生活の質(QOL)を低下させるだけでなく、企業にとっても人材損失・生産性低下という重大な経営リスクとなっています。
今回は、海外先進国のメンタルヘルスに対しての取り組みや復職支援から、「なぜその取り組みが生まれたのか」「どのような効果が確認されているのか」「日本の現状と何が異なるのか」などについて解説をしていきます。
オランダにおける事例~Gatekeeper法に基づく復職マネジメント~
オランダでは1990年代、メンタルヘルス不調を含む長期病欠者が急増しました。その背景には、制度や経済、労働慣行、医療の在り方などさまざまな要因が重なっています。こうした状況により、障害年金受給者の増加が国家財政を圧迫する深刻な問題となりました。当初は医療による回復を待つアプローチが中心でしたが、「治癒を待つだけでは復職につながらない」ことが明らかになります。この反省から、休職を医療だけの問題ではなく、雇用主と本人が共同で取り組む社会的プロジェクトとして捉え直す、「Gatekeeper法」が導入されました。
Gatekeeper法では、休職が発生した段階から、本人、雇用主、産業医が協働し、復職計画を策定・定期的に見直すことが求められるようになります。原職復帰が難しい場合でも、配置転換や業務再設計、場合によっては他社への再就職支援まで含めて検討する点が特徴です。企業には、単なる給与支払い義務だけでなく、復職に向けた「合理的努力義務」が明確に課されていることがわかります。
これにより、長期休業の固定化を防止、障害年金への移行率の低下、復職後の再休職率の抑制などといった効果が報告されており、「休職=離職前提」という構図を大きく転換した制度として評価されています。
日本との比較
日本では、休職中は医師判断を待ち、企業が本格的に関与するのは復職直前になりがちな一方で、オランダでは休職初期から企業が主体的に復職設計に関与している点が大きく異なっています。
この違いは、復職支援サポートを日本は「善意や福利厚生的支援」として捉え、オランダは「企業が使う復職インフラ」として捉える意識差に起因していると考えられます。
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