総務の引き出し(メンタルヘルス)

メンタルヘルス不調になる前の備えこそ重要 従業員へのセルフケア教育を成功させる3つのポイント

さんぎょうい株式会社 メンタルヘルス・ソリューション事業室 室長 佐倉 健史
最終更新日:
2024年05月22日
202405f_00

今回は、厚労省が指針に定める「4つのケア」の一つであるセルフケアを従業員に教育することの有効性と課題を紹介します。

セルフケア教育が必要な理由

みなさんの会社では、従業員にセルフケアについての教育や情報提供をしているでしょうか。「厚労省の指針から見る 総務部門が押さえておくべきメンタルヘルス対策立案の基礎」でお伝えした通り、企業にはセルフケアを含む4つのケアが求められています。また、WHO(世界保健機関)からも、2022年に職場のメンタルヘルスに関するガイドラインが出ており、従業員にセルフケアを教育することが推奨項目に挙げられています。

セルフケアを実現するための一般的な方法としては、ストレスチェックの個人結果で気付きを与える、研修やセミナーなどで集合教育をする、eラーニングを受講させる、冊子を配布する、相談できる環境をつくるといった施策が取られます。自分の不調になかなか気付かないことも多いので、実務ではまず優先的に管理職にラインケアを教育します。管理職が気付いて適切に対応ができるようにすることで、不調の発生や悪化、再発を防止することが有効です。その際の原則として、メンタルヘルスの予防教育はトップマネジメント層から順に管理職層、チームリーダー(係長・主任クラス)層と進めていき、最後に一般社員にセルフケアを教育しましょう。これは各層に対して、すでに上司はラインケアの教育を受けているため、あなたが相談したらきちんと対応してくれるのだという一定の保証を与えた上で、縦のラインの相談を研修の中で促す意図があります。

一方で、小規模の店舗・営業拠点を多く抱えるような企業や客先常駐、間接部門においてメンバーが複数の事業場に分散しているため上司が直接対面でマネジメントしづらい場合など、会社や管理職によるケアを従業員に届けることが難しい職場も多くあります。そうした場合の対策は主に下記の3つです。

(1)縦ラインの接触機会を増やす
(2)遊撃部隊的なサポート役を専任で配置して巡回や相談対応をさせる
(3)セルフケア教育を優先して実施する

ちなみに(2)は適切に運用すれば大きな効果がありますが、同時に課題もあります。名だたる大企業でさえ、それに気付かないままリスクの高い対応をしている例が見受けられるのです。

続きは「月刊総務プレミアム」をご契約の会員様のみお読みいただけます。

  • ・付加価値の高い有料記事が読み放題
  • ・当メディア主催の総務実務の勉強会や交流会などのイベントにご優待
  • ・「月刊総務デジタルマガジン」で本誌「月刊総務」も読み放題
  • ・本誌「月刊総務」も毎月1冊、ご登録いただいたご住所にお届け
  • ・ノウハウ習得・スキルアップが可能なeラーニングコンテンツも割引価格でご利用可能に

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

著者プロフィール

佐倉プロフィール写真

さんぎょうい株式会社 メンタルヘルス・ソリューション事業室 室長
佐倉 健史

臨床心理士・公認心理師・キャリアコンサルタント・メンタルヘルス法務主任者。精神科クリニック併設型外部EAP機関にて13年在籍後、現職。メンタルヘルス施策の立案、体制構築、ストレスチェックの結果活用のコンサルティング、社内でのカウンセリング、社内教育研修の企画・講師などを通し、多くの企業のメンタルヘルス課題解決の支援経験を持つ。

総務の引き出し(メンタルヘルス)」の記事

2024年05月22日
メンタルヘルス不調になる前の備えこそ重要 従業員へのセルフケア教育を成功させる3つのポイント
2024年04月22日
社員の問題行動、原因は性格? それともメンタルヘルス不調? その判断方法と必要な対応
2024年03月29日
キャリアへの不安が無自覚なストレスに 従業員へのキャリア支援がメンタルヘルス対策にもなる理由
2024年02月28日
従業員のメンタルヘルス問題は訴訟に発展することも 法的リスクを避けるための3大原則とは
2024年01月30日
いつ、何を相談したらいいの? ……なんてためらっていたら損! 産業医・保健師の上手な活用方法
2023年12月26日
脱・やりっ放し! 義務化から9年目、ストレスチェックの結果を職場環境の改善につなげるコツ
2023年11月28日
雇用して生産性向上、離職率低減が実現した例も ―― 精神障がい者を定着、戦力化させるノウハウ
2023年10月25日
事故、閉鎖、吸収合併 …… 組織の危機的状況でストレスを抱えた従業員に総務はどう対応すべき?
2023年09月27日
メンタルヘルス不調者への対応にしんどさを感じたら 総務担当者の「感情労働」セルフケアのススメ
2023年08月25日
目指すゴールは「発生件数ゼロ」ではない! コンプラ教育にとどまらない、効果的なパワハラ対策
2023年07月24日
再発予防は初日の受け入れ姿勢から始まる うつ病等による休業からの職場復帰、成功と失敗の分岐点
2023年06月21日
メンタル疾患による休業からの復帰「在宅勤務なら……」は認めるべき? 職場復帰支援成功のコツ
2023年05月19日
効果は「総務」への相談件数でわかる! メンタル不調者を減らす「ラインケア教育」の極意
2023年04月20日
厚労省の指針から見る 総務部門が押さえておくべきメンタルヘルス対策立案の基礎

関連記事

  • オフィスの課題解決はデータ収集から 社員の位置情報を自動で管理しフリーアドレスを効率化 PR
  • 大切なのは「自社ならでは」のオフィスづくり 社員の「心」を解析すると幸せな働き方が見えてくる PR
  • 「働きがいのある会社」トップ企業のハイブリッドワークの形 戦略総務を実現できるデバイスとは? PR

特別企画、サービス