メンタル不調から復職しても半数が再休職に…… 再発リスクを大きく減らす「リワーク」の重要性

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前回の記事では、「健康経営とメンタルヘルス」という少し広めなテーマで、健康経営におけるメンタルヘルスの必要性が高まっていること、メンタルヘルスの不調に対する予防は3つの段階があること、といった内容をお伝えしました。今回は、メンタルヘルス不調が起きてしまう背景と、三次予防の職場復帰に該当する社会資源「リワーク」について解説します。
休職後、約半数が再休職してしまう現状
2023年に厚生労働省から提示された「労働安全衛生調査」の概況によると、メンタルヘルス不調により1か月以上休業した、または退職した従業員のいる事業所の割合は13.5%といわれており、実に約10社のうち1社は、メンタルヘルス不調における休業や退職をしている従業員がいることがわかります。
また、2016年度の労災疾病臨床研究事業費補助金研究報告である「主治医と産業医の連携に関する有効な手法の提案に関する研究」によると、うつ病などで休職した人のうち、復職から5年以内に再休職してしまう割合は、約47.1%といわれており、実に休職した方のうち、半数近くは再度休職を繰り返している現状があります。
メンタルヘルス不調の人が増加している現代、当然、企業で働く人の中にもメンタルヘルス不調を抱える人が増えてきています。メンタルヘルス不調を未然に防ぐことも大切な観点ですが、先述した再休職者の割合を踏まえると、メンタルヘルス不調が起きたあとの職場復帰、再発防止に向けた対応をしていく重要性も理解できるのではないでしょうか。
メンタルヘルス不調の再発はなぜ起きるのか
メンタルヘルス不調による休職~復職の流れは、企業における制度設計にもよりますが、一般的には以下のようになります。
(1)休職
(2)十分な休養
(3)主治医からの復職承諾
(4)企業側の復職判断(産業医・人事・上長など)
(5)試し出社、(企業の制度があれば)時短出社
(6)復職
上記を踏まえ、再発の可能性を引き上げる要因として考えられるのは、以下の3点です。
(1)休養期間が不十分
(2)休職原因や再発防止策への理解不足
(3)復職に向けた業務遂行の準備不足
まず(1)についてです。休職者の多くは「焦り」を抱えていることが多いのではないでしょうか。理由として、「キャリアに穴があいてしまうのでは」「会社に迷惑がかかってしまう」「家族に申しわけない」などさまざまなものがあると思いますが、総じて早く職場に戻りたいという気持ちは変わらないと思います。その考え方自体は問題ないのですが、結果として十分に休養できていない中で焦って職場に復帰をされても、無理をしてしまい結果、不調が再燃してしまう、ということも考えられます。
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