「人材」を「人財」に変えるためのリーダー養成講座 京セラコミュニケーションシステム株式会社 人財育成支援事業部 事業部長 竹松 健治さん

Vol.02 仕事の付加価値を高める合言葉――「それはなぜ?」

2016年6月15日 10:00更新

「わかったか?」という確認は危険

 

弊社が提供する研修では、突然参加者に「飛んでください」と指示することがあります。すると、ほとんどの人が“ぴょんぴょん”と上に飛びます。また、「鳥のように飛んでください」と言うと、手を“バタバタ”させて飛ぶまねをします。このときに「なぜ?」「どんなふうに?」と聞かれることは非常にまれです。

 

このような光景は、日ごろの上司と部下との会話の中でも多々見られ、「それはなぜ?」という確認をしていません。しかも多くの場合が、上司が部下への指示がちゃんと伝わったかどうかが心配になって、「わかったか?」と念を押しています。それに対して、部下は必ずと言っていいほど「はい、わかりました」と答えています。しかしながら、実際は上司から言われたことがわかっていなかったという場合が多く、指示をした上司も、どうすれば正しく伝えられるのかを悩んでいるケースが少なくありません。

 

このことから、「わかったか?」という確認の仕方は危険であるとみなさんも認識していただけるのではないでしょうか。なぜなら、上司の「わかったか?」という問いに対する部下の「わかりました」という返事は、いわば条件反射的な回答であり、その場しのぎの心理の表れだからです。

 

 

「仕事」と「作業」の違い

 

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例えば、自分が指導するときに部下がなにも書き留めていなかったら、心配になるでしょう。おそらく「メモを取りなさい」と注意するはずです。そこで部下が書き始めたら、ついつい安心してしまうものですが、結局指導したことができていないということが多々あります。

 

それは「何のために書き留めるのか」という指導がないからです。部下からしてみると、ただ「メモを取れ」と言われたから書いただけであって、正しく仕事をするためにそれを活用するつもりはありません。それどころか、書いた場所すら忘れてしまうなんてこともあります。

 

得てして仕事とは知識よりも経験から覚えるものです。そして、その経験とは上司の見よう見まねで行っているだけのもので、「それはなぜ?」と考えている人は少ないでしょう。部下は自分と同じように仕事を進めているので、つい安心してしまいがちですが、いざトラブルがあると、部下は途端に戸惑ってしまうでしょう。「なぜそうやっているの?」と聞いたら、「前からやっているからです」と堂々と答えかねません。

 

言われたことを、ただ言われた通りにやるのは、「仕事」ではなく「作業」です。また、たとえ上司と同じようにやっていても、「それはなぜ?」という目的の理解なくやっていることも、「作業」の域です。理解度を高めるには、仕事を指示する上司も、仕事を指示される部下も合言葉のように「それはなぜ?」という確認を徹底して行うことが重要です。そうしてこそ、どのような状況においても正しい判断ができ、応用が効き、付加価値を高めていけるようになるのではないでしょうか。どのような仕事でも「それはなぜ?」という目的の理解と目的達成のための工夫を凝らしていきたいものです。



「人材」を「人財」に変えるポイント

  • 部下に「わかったか?」と確認するのは危険
  • 言われたことを、ただ言われた通りにやるのは「作業」
  • 上司、部下の両者が「それはなぜ?」という確認を徹底的に行う