「人材」を「人財」に変えるためのリーダー養成講座 京セラコミュニケーションシステム株式会社 人財育成支援事業部 事業部長 竹松 健治さん

Vol.05 教育から競育、そして共育へ

2016年9月15日 10:00更新

 「経営を伸ばすには教育が大切」であるということを、どの企業でも考えると思いますが、ただ単に業務で必要な知識を教える「教育」だけでは、人の成長も、経営を伸ばすこともなかなかできないものです。

 

 

切磋琢磨して成長する「競育」

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リオ五輪を通じて、競い合うことによって技術力は向上するものだと強く感じます。もし、この世の中に五輪や世界選手権などの競い合う場がなければ、競技力は伸びないでしょう。これは経営も同様ではないでしょうか。

 

 

やりがいをもって仕事をするためにも「競育」することは有効です。社内に競争の文化がある企業では、社員が互いに切磋琢磨することによって、短期間で成長していきます。大切なことは、常に高い目標を掲げて挑戦し続けることです。人間とは、目標以上の努力をしないものですので、どのような目標を掲げるかによって、その達成に必要な条件も変わります。

 

ただし、そこには公平な評価基準と、全員が安心して取り組めるルールが必要だということを忘れてはいけません。環境は激変しています。それに適応したルールの見直しをしているでしょうか。もし不公平感をもった人がいたならば、即刻ルールを見直すタイミングだと考えた方がいいでしょう。

 

 

アメーバ経営(※)においては、一人が1時間当たりどれだけの付加価値を生んだかという「時間当り採算」を誰もが意識することによって、限られた時間の中で最大の成果を上げる、と提唱しています。

 

 

そのとき重要なポイントは「値決めは経営」ということです。誰もが市場価格を意識し、いかに原価低減、効率向上を図っていけるかを日々探求していってこそ、「時間当り採算」をどれだけ向上できるかが決まります。それは働く人の知恵を引き出す環境づくりを可能にしていると言っても過言ではありません。ただし、うちは時間当り1,000円ぐらいしか出せない仕事をしていると考えてしまえば、知恵を出すことなどできません。

 

※京セラ独自の管理会計手法

 

良い点を出し合い、学び合う「共育」

 

経営環境が激化する中、一人ですべての経営課題を解決することなどできないようになってきました。ゆえに、他者や他部門、場合によってはパートナー会社からの協力も必要になってきています。つまり、関係する人たちとともに育っていく「共育」が、今後ますます重要になってきます。「共育」のためには、お互いが良い点を出し合い、学び合う姿勢ではないかと思います。

 

 

かつて私が工場勤務をしていたとき、改善提案事務局を務めたことがありました。「毎日一人一件改善提案を出そう」と呼び掛けたところ、大ブーイングを受けたことがありましたが、「他部門でどのような改善提案を出しているかを調べれば、きっと自部門でも応用できるものがあるはずだ」と訴えたところ、みんな素直に受けとめてくれました。みんなが実践していった結果、随分と工場全体の標準化が加速し、品質も、効率も、採算も向上したのです。

 

 

「一人で悩むな、みんなで考えよう」。これぞ「共育」の考え方の根本です。そのような風土づくりこそ、高い目標を掲げて挑戦し続けている中で、つい行き詰ってしまったときに、突破口を切り開くきっかけになるのではないかと思っています。



「人材」を「人財」に変えるポイント

  • 競争の文化がある企業の社員は短期間で成長する
  • 「競育」には、公平な評価基準とルールが必要
  • 「共育」が行き詰まったときの突破口を切り開く