総務のプロに聞く 戦略総務的「場」の発想

「守るために攻める」積極性が、結果的に会社を守る

月刊総務 編集部
最終更新日:
2021年12月20日
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会社経営の難しさを知った前職

高校を卒業して国家公務員(税務職)になりました。しかし研修中に結婚退職したため、実務経験は持っていません。2児を出産後、税理士事務所に7年ほど勤務したのですが、その際に独学で簿記2級の資格を取得しました。

その後、親族が経営する小さな工務店で事務員として働きました。事務だけでなく、植木の手入れから清掃まで、あらゆる雑務をこなしましたね。資金繰りが大変だった時期もあり、原価管理ソフトが壊れたときには自己流のソフトを作るなど、とにかくコストをかけないよう、工夫していたのが思い出です。6、7年在籍しましたが、給与面が厳しく、後半の約3年は並行してアルバイトをしていました。

渡辺 みゆきさん
株式会社チームエル CFO(Chief Financial Officer)取締役管理本部長
渡辺 みゆきさん

公務員や事務員など複数の職を経て、2008年、株式会社チームエルの前身となる企業に入社。経理、総務、労務などを兼任し、2019年より現職。人材育成に心を傾け、社員一人ひとりの性格に合わせて能力を引き出し、専門性を習得してもらうことに尽力。また、社内交流活性化プロジェクトを推進し、コミュニケーションの向上や安定した働き方を目指して陣頭指揮を執る。信条は「バックオフィスの仕事とは、信頼を積み重ねること」。

それが転職の契機になり、株式会社チームエルの前身である株式会社リンク・プロモーションに経理職として入社。のちにマネジャーに就いたのですが、ちょうどその頃、総務担当者と労務・IT担当者が相次いで離職したため、私がこれらの仕事を引き受けることになりました。

性格に合わせたアプローチで人は育つ

新しい仕事をメンバーに担当してもらう際は、まず自分がやってみて、教えて、それから預けるようにしています。心掛けているのは、その人にリスクを負わせないことです。「何かあれば、社長か私が責任を取るから」と明言し、安心感を持ってもらうことで、さまざまなことにチャレンジできるようになります。

また当初は、どの人にも平等にチャンスを与え、同じように指導するべきだと考えていました。しかし、その人の性格に合わせてアプローチを変える方が効果的であると気付きました。相談に乗りながら一緒に進めるのがいいのか、やり遂げたあとでほめてあげるのがいいのか、人それぞれにベストな手法を探します。

たとえば危機感をあおる手法は、ポジティブなタイプにはあまり響かないようです。しかしポジティブな人でも、誰かを助けたいという思いやライバル心を持っている場合は、また違います。育てたい相手が何に価値を感じているかをくみ取ることが必要です。

一方、ネガティブな人のモチベーションを上げるには、簡単なことから取り組んで成功体験を積み、自信を持ってもらうのがいいと思います。もし失敗しても、「あなた一人のせいではないからね。私も一緒にやるよ」と励まします。

自分で新たな課題を見つけるのは苦手でも、与えられたテーマの中で構想するのなら得意だという人もいます。どう解決すればいいかわからない、あるいはわかっているものの解決できずにいる場合は、範囲を絞って具体的にイメージしやすい状態をつくります。そして一つを完了したら次に進むという具合に、段階を踏んでゴールを設定します。

また、自分が表に立つのをためらう人もいます。「今までしたことがない」「みんなの反応が気になる」「本当に必要とされているのかわからない」という遠慮があるのです。そんなときは、「あなただから、お願いしているのよ」と伝えます。

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月刊総務 編集部

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