月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

【総務の現場から】時間と場所という制約から解放された、仕事本位の自律的な働き方を推進

2019-11-15 10:22

自律的に働けるよう、改革は一気に、劇的に

 前身の大阪有線放送社の誕生から50年余り。IoTやAIを駆使し、「人が集う店・街を変え」「喜びや感動を増やしたい」との思いから経営統合、発足したUSEN-NEXT GROUP。現在、コーポレートスローガン「必要とされる次へ。」の下、18の事業会社において、店舗サービス、通信、業務用システム、コンテンツ配信、エネルギー、メディア事業を展開している。
 2018年6月、"必要とされる人であり続けるために。"をテーマに、「かっこよく、働こう。?Be innovative for results!?」とのスローガンを掲げた、働き方改革プロジェクト「WSI」を開始。「きっかけは経営統合です。会社のビジョンが変わったのですから、それを実現するために、組織もマネジメントも働き方も変えるべきだと考えました」と、執行役員 コーポレート統括部長 人事・総務・広報管掌の住谷猛さんは話す。
 施策第一弾は、コアタイムなしのスーパーフレックスタイムと、完全テレワーク勤務制度の導入。会社からノートPCとスマホを貸与し、VPN接続経由で社内ネットワークシステムに外からでも入れるようにした。まずは、ホールディングスから導入し、2018年9月以降、グループ全体に展開。「こうした改革はガラッと変えないと進まない」と、ほぼ1年で一気に、劇的に変えていった。その際、会社から強くメッセージしたのは、「社員を時間と場所から解放しましょう」というもの。本来、管理者が見るべきは成果。時間も場所も関係ない。仕事本位、仕事ファーストでいこう、と伝え続けた。「仕事のために、いつ、どこで、どう働くかを自分たちで考えてください、というのが基本的なポリシー。その方が社員も楽しいし、働きがいもある。会社としては、こうした制度をうまく活用することで、社員に自分で自分のタイムマネジメントができるようになってほしい。社員の自律的な働く意識が醸成されることを期待しています」。

服装も自由。オフィスも「WSI」の舞台として一新

 ほか、「Cool & Smart BIZ!」をコンセプトに、服装も仕事に合わせて自分で考えよう、と自由にした。当初は戸惑いも見られたが、トップと住谷さんから率先して変えていくことで、次第にみんなも変わっていった。そして、2018年7月、本社オフィスを移転。これが改革に拍車をかけた。新オフィスは、WSIのソフト面が最大限生かされる舞台として抜本的に変えた。フリーアドレスを導入し、トップの「オフィスに見えないオフィスに」との意向をくんで、複合機やキャビネット、オフィスの美観を損ねるゴミ箱、傘立てなどは、徹底的に視界から見えないようにレイアウトした。「時間と場所から解放します」とメッセージを出している中で、「オフィスに来る意味とは?」から考えて、こだわりの空間を作り上げた。
 「オフィスに来る意味は大きく2つあります。1、仕事がしやすい。2、コミュニケーション、ミートアップのため。さらにもう1つ、社員が誇りに思えることではないか、と考えました」
 移転後、社員からは、「このかっこいいオフィスにふさわしい服装を考えるようになった」といった声も聞かれ、社員の自律的な意識醸成にもつながっている。さらに、主要地方拠点オフィスのリノベーションも進行中。机と椅子などは全拠点同じものをロングタームで発注することで、コストも抑えながら改革に取り組んでいる。

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社内コンテストも実施し、改革を"自分ごと化"

 また、拠点のサテライトオフィス化も検討中。「たとえば、自宅から近い拠点をサテライトオフィスとして事前に登録してもらい、その拠点のセキュリティカードを渡して、いつでも使えるようにする。カフェで仕事をして忘れ物をするなどのリスクを考えれば、この方が安心ですから」。さらに、この9月から評価制度も一新。定年も70歳に延長した。
 「人事の施策はタイミングが大事。WSIのメッセージはなかなか厳しいものなので、こうしたベネフィット系のカードを出すことも必要です。ほかにもプランはありますが、どのタイミングで出すか、考えています」
 そうしたカードの一つでもあったのが、社員から業務の改善案などのアイデアを出してもらう「Innovationコンテスト」。働き方改革はトップダウンでやらないと変わらないが、環境を整えたら次は、社員に自分ごととして考えてもらうことが大切だと実施した。1か月弱の応募期間で、400件以上の応募があった。2年目はこれを進化させ、常時、専用フォームに投稿できる形で継続する予定だ。

課題はマネジメント。対面の機会を増やす施策も

 WSI始動から2か月後、社員アンケートを実施した。フレックスについては約9割が、テレワークについては約8割が働きやすくなったと回答した。特にフレックスはかなり活用されており、都心では、「通勤ラッシュを避けられる」、ローカルでは、「本数の限られた路線バスの時刻に合わせて出社できる」などと喜ばれている。
 課題は、管理職のマネジメントスキル。正直、急に目の前から部下がいなくなれば戸惑うものだ。うまくマネジメントスタイルを変えられた人もいれば、まだ変えられない人もいる。
 「私も真剣に考えました。今、メンバーとの日常的なコミュニケーションは、すべて会社のグループウエアのチャットです。また、対面でのコミュニケーションは自然と減ってしまうので意識的に増やすようになりました」
 会社の制度としても、今期から1 on 1制度を導入。メンバー対部長は3か月に1回、その他の月は課長と月に1回実施している。「働き方や人事の施策というのは、最終的にどこに帰結するのかというと、組織の成長でしかない。この成果が業績に表れてくるのはまだこれから。ここから数年後の成長が、その成果になるだろうと思っています」。


【会社DATA】
株式会社 USEN-NEXT HOLDINGS
本社:東京都品川区上大崎3-1-1 目黒セントラルスクエア
設立:2009年2月3日
代表者:代表取締役社長CEO 宇野康秀
資本金:9,468万円(2018年8月31日現在)
従業員数:グループ全体 約5,000人
https://usen-next.co.jp


 

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい11月のトピックス

2019-10-29 09:51

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●知財調停制度のスタート

 2019年10月1日から東京地裁と大阪地裁にて知財調停が始まりました。知的財産権の紛争は、専門的な知識が必要であり、一般的な民事調停手続きで解決することは困難でした。そこで、裁判所は知財の専門部がある東京地裁と大阪地裁において、訴訟以外の紛争解決手段として専門部による知財調停を導入したのです。
 知財調停は、申立人が相手方に対し、紛争内容を特定して裁判所に調停の申し立てを行い、専門部の裁判官と知財事件について経験豊富な弁護士や弁理士が調停委員となって、双方の主張を聴取しながら、話し合いによる簡易かつ迅速な解決をはかる制度です。また、訴訟事件と異なり申し立ての有無を含めて情報が公開されることはありません。
 手続きの流れは、当事者の事前交渉を前提として、第1回期日までに両当事者の主張と関連する証拠を提出させ、原則として第3回調停期日まで(期間的には4か月程度)に調停委員会の見解を口頭で伝えるそうです。調停委員会の見解には、争点についての心証の開示に限らず、立証の困難度や事案の複雑性に鑑み、訴訟等による解決が適しているなどの意見が含まれます。当事者は委員会の見解を踏まえて、話し合いによる解決に進むか、訴訟等の提起を選択することが可能となります。
 なお、当事者が遠隔地に所在する場合、テレビ会議等を利用した手続きも可能です。

■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●副業・兼業の在り方についての報告書

 厚生労働省が「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」の報告書を公表しました。副業・兼業は、働き方改革の一環と位置付けられています。報告書は、「健康管理」「上限規制」「割増賃金」の方向性について考えられる選択肢を示していますが、いずれの論点も両論併記であり、明確な方向性が示されたとはいえない状況です。副業・兼業を進めることは、それだけハードルが高いといえるでしょう。
 最大の論点は、?労働時間を通算するか否か?です。複数の会社の労働時間を通算するには、技術的な困難を伴います。また、個人事業主としての副業・兼業を想定する必要もあります。副業・兼業の影響で過重労働となってしまっては、働き方改革とはいえないでしょう。今後の審議会での議論が注目されます。

●2018年度、賃金不払い残業の是正結果

 2019年8月8日、厚生労働省は割増賃金を支払っていない企業に対して、労働基準法違反で是正指導した結果を公表しました。1,768の企業に対して、約125億円の支払いが指導されています。支払われた割増賃金の平均額は、一企業当たり711万円、労働者一人当たり11万円となっています。
 支払総額は、前年度と比べ大幅に減少していますが、指導された企業数はさほど減少していませんので、引き続き注意が必要でしょう。

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●「区分記載請求書等保存方式」の導入

 消費税の仕入税額控除の方式として、「区分記載請求書等保存方式」が2019年10月1日から導入され、(1)課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、軽減対象資産の譲渡等である旨、(2)税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込対価の額の2項目の追加記載が必要になりました。
 前記事項の記載のない請求書等が交付された場合、交付を受けた事業者が項目を追記し、仕入税額控除を行うことが認められています。
 また、3万円未満の取り引きでは、法令に規定された事項が記載された帳簿の保存のみで、仕入税額控除の適用が認められています。


●消費税率を変更する変更請負契約書の収入印紙

 消費税率を変更するため、変更請負契約書を作成するケースがあると思います。請負代金の消費税額が区分記載されている変更請負契約書は、消費税額を除いた記載金額で印紙税の税率判定を行います。たとえば「変更前の請負代金108万円(うち消費税等8万円)、変更後の請負代金110万円(うち消費税等10万円)」の場合、消費税額を除いた記載金額の増額はないため、契約金額の記載のない請負契約書として、200円の収入印紙を貼付します。
 なお、変更前後における消費税等の差額が1万円未満だった場合、免税点以下として、収入印紙の貼付は不要とされています。


『月刊総務』2019年11月号P7より転載

 

『月刊総務』本誌記事:

【総務部門】11月の業務ポイントと行事

2019-10-28 12:45

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◆11月の業務ポイント

▼人材開発促進月間、ゆとり創造月間、秋の全国火災予防運動などへの取り組み
▼年末調整のための準備(申告書の配布等)
▼賞与の決定と手続き
▼冬季保養施設の確保
▼歳暮贈答品の手配
▼年賀はがきの準備
▼カレンダー、手帳の配布準備
▼暖房器具の点検・整備
▼忘年会など、年末行事の企画準備
▼社内報の編集と発行


◆11月の月間&週間行事

▼11月1日-30日
・過労死等防止啓発月間(厚生労働省)
・人材開発促進月間(厚生労働省)
・テレワーク月間(テレワーク推進フォーラム)
・ねんきん月間(厚生労働省・日本年金機構)
・ゆとり創造月間(厚生労働省)
▼11月9日-15日
・秋の全国火災予防運動(消防庁)
▼11月11日-12月12日
・電池月間(電池工業会)


◆世界旅行気分

▼ハンガリー(Hungary)
hungary.png 中央ヨーロッパの共和制国家。オーストリアやルーマニア、クロアチアなどの国と国境を接する内陸国だ。首都ブダペストは町の中央をドナウ河が流れ、その夜景は「ドナウの真珠」と呼ばれるほどの美しさ。驚いたことに、ハンガリー人は日本人とルーツが同じだという。モンゴル系民族が東へ行ったのが日本人、西へ行ったのがハンガリー人なのだ。名前の表記が「姓→名」の順番だったり、赤ちゃんのお尻には蒙古斑があったり、同じルーツが垣間見られる。また、国内のあちこちに温泉があり、日本と同じ世界有数の温泉大国なのだ。
 ほかのヨーロッパの国々と比べて物価が安く、治安も良好、食事も日本人の舌に合うという。おまけにハンガリー人はほれぼれするような美女とイケメンぞ
ろい、と聞いたら......?


【DATA】(外務省HPより)
●人口:約980万人(2018年)
●面積:約9万3,000km2
●首都:ブダペスト
●言語:ハンガリー語


『月刊総務』2019年11月号P6より転載

 

『月刊総務』本誌記事:

【総務の現場から】会社と組合が理念の下に一致団結! 有休取得率100パーセントを継続

2019-10-25 14:30

「有休」の本質について議論することからスタート

 前身は本田技研工業(以下、ホンダ)の作業服メーカーだった同社。その縫製技術を買われて二輪車用シートの生産事業を開始しておよそ60年。現在、世界14か国のグローバルネットワークを生かし、ホンダ向けの四輪車用シートや内装品、ヤマハ、スズキ、カワサキ、ハーレーダビッドソン向けの二輪車シートなど、高品質な製品を提供し続けている。
 そんな同社が大切にしているのが、TSフィロソフィー。「人材重視」「喜ばれる企業」を企業理念として掲げ、現在の働き方改革に先駆けて、働く社員をサポートする環境作りを推進。そうした中、20年以上も前から取り組んできたのが、有休取得促進活動だった。
 「年間総労働時間1800時間台を実現しようとの世の中の流れを受けて、労使で話し合いを始めたのがきっかけです。メリハリのある働き方を考える上で、有休というのは社員の権利であり、それを取らないのはおかしい、との声が上がり、労使で有休について議論を重ねてきました」と、人事部 労政課 課長の恩田英逸さんは話す。
 会社も、社員に休んでもらい、リフレッシュしてもらいたいとの思いは当然ある。業務調整や取得状況の確認など、試行錯誤しながら推進したところ、業務が滞るわけでもない。逆にリフレッシュしてもらえれば、仕事で良いパフォーマンスを発揮してもらえる。
 結果的にウィンウィンだと、労使の思いが一致した。そこから有休取得促進に取り組み続けた結果、1997年度以降、組合員の有休繰り越し分の取得率100パーセントを達成し続けている。

有休の残日数や取得予定はシステムで見える化

 こうした人事制度そのものを労働組合と一緒に作り込んでいくのは労政課の役割。実際の運用を担うのは人事課だ。「有休取得の取り組みであれば、日々のマネジメントは各部門のマネジャーがしますが、今、誰がどういう取得状況にあるのかなど、全体の状況を把握できる勤怠管理システムの導入をはじめとする環境整備は、われわれ、人事課がやっています」と、人事部 人事課 課長の高橋壮宜さんは話す。
 同システムでは、誰が、何日の有休を持っているのか。昨年度発生した分が残り何日で、今期になって発生した分が何日か、という内訳がわかるようになっている。また、社員それぞれの有休取得予定などのスケジュールも見える化されている。これらを参考に現場ではマネジメントをする。
 ここで重要なのは、有休の取得が月末や期末に集中しないようにすることだ。「できるだけ有休が重ならないよう、マネジャーが配慮する。そのためには、まめな情報共有、コミュニケーションが大事になってきますが、そこは必然的にやるようになってきたのだと思います」(高橋さん)。
 当然、休むためには、社員も自ら「仕事の調整をしておこう」「周りのメンバーと整合しておこう」と動くようになる。結果、業務の効率化も自然となされてきた。

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会社と組合が連携して、社員の有休取得を後押し

 一方、組合は、社員に対して毎年、「今期の有休取得計画をきちんと立てましょう」「最低でも繰り越し分は取り切りましょう」と働き掛け続けてきた。事業所ごとに運用は若干異なるが、具体的には、期初に組合員全員が「この月は何日有休を取得する」という計画表を提出。もちろん、業務の都合で計画通りに取れないときもあるので、上期が終わったところで見直して、再度計画を出し直す。また、組合も取得状況は常に管理しているので、なかなか取得できていない人がいたら、「この人の有休取得が遅れているようです」とマネジャーに伝える。すると、「じゃあ、取得を促しますね」とマネジャーも動く。
 この連携の良さは、職制懇談会や、定例労使協議会など、組合と会社の交流の場が、かなり多く設けられているからこそ。お互いを理解し合う中で、「有休は取得するのが当たり前」との風土が自然と醸成されてきた。今では社員自ら業務を調整し、計画的に有休を取得。新入社員であっても、最初に「有休というのは法的にも取るべきもの」という教育がなされ、先輩たちからも「休んでいいんだよ」という声掛けもあって、気後れすることなく取得している。

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有休の半休制度も導入。一層働きやすい環境に

 2012年からは、半日単位での有休取得制度も導入。これも組合からの声で実現したものだが、実は、要望が上がった初年度は、「製造ラインなどは仕事が回らないのでは」との意見もあり導入できなかった。しかし、そのあと、「休み方」(働き方)についてあらためて労使で議論を重ね、「結果的に効率アップに寄与していくのだから」と段階的に導入を拡大。現在、年間6日分を半休として利用可能にしている。「結局、1日でも半日でも、取りたいときに取るのが有休。それを、管理職も当然マネジメントはしますが、取る人たちも『今日は半休だから、ちゃんと仕事を終わらせよう』とぞれぞれの仕事を効率的に進めるようになったので、積極的に活用されているのだと思います」(恩田さん)。
 ここまで高い有休取得率を継続できているのは、会社と組合が、企業理念の「人材重視」「喜ばれる企業」の実践という、同じところを目指しているからだろう。「喜ばれる」というところでは、社員もステークホルダー。家族も含めて社員に喜んでもらうということは、会社としても組合としても目指すところ。常に一緒の方向を向いている。立場は違えども、同じところを目指して進んでいる。これは何よりも大きい。


【会社DATA】
テイ・エス テック株式会社
本社:埼玉県朝霞市栄町3-7-27
設立:1960年12月5日
代表者:代表取締役社長 保田真成
資本金:47億円
従業員数:連結 1万6,859人 単独 1,716人(2019年3月31日現在)

https://www.tstech.co.jp/


 

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい10月のトピックス

2019-09-27 10:38

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●改正不正競争防止法における限定提供データの保護

 2019年7月1日から改正不正競争防止法が施行されています。企業法務に影響のある改正点は、「限定提供データ」の民事的な保護です。
 技術革新により、道路形状計測や消費動向等のデータは、主に企業間で複数者に提供・共有されることで、新たな事業の創出の可能性やサービス・製品等の付加価値を高める利用が期待される価値あるものと考えられています。しかし、第三者と共有することを前提に一定の条件下で利用可能な情報は、改正前の不正競争防止法では保護対象とならず、著作権法の適用を受ける著作物や特許法によって保護される発明にも該当しませんでした。そこで、政府は不正競争防止法を改正し、「限定提供データ」という概念を用いて、これを保護することとしたのです。
 「限定提供データ」として保護される要件は、(1)限定提供性(業として特定の者に提供される)、(2)電磁的管理性(特定の者以外アクセスできないように制限されている)、(3)相当蓄積性(電磁的方法で蓄積され価値を有する)です。改正法は「限定提供データ」について、アクセス権のない者が不正に取得することや使用・開示することを禁止し、不正な取得と知って取得した者(使用・開示も含む)の使用・開示を禁止し、アクセス権のある者の図利(とり)加害目的による開示などを禁止しており、権利者には差し止め請求や損害賠償請求が認められることとなりました。


■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●最低賃金、東京・神奈川で1,000円台に

 2019年7月31日、中央最低賃金審議会は「令和元年度地域別最低賃金額改定の目安」について答申しました。答申された最低賃金は、手続きを経た上で都道府県労働局長の決定により、10月中旬までに順次発効される見込みです。目安通りに各都道府県の地域別最低賃金が引き上げられた場合、全国加重平均額は901円となり、1978年度に目安制度が始まって以来、もっとも高い引き上げ幅となります。地域別では、Aランクが28円(前年27円)、Dランクが26円(同23円)の引き上げとなっています。最低賃金の地域間格差が問題になっていることもあり、Dランクの引き上げ幅が注目されます。ちなみに、東京都は1,013円、神奈川県は1,011円となり、初めて1,000円の大台に乗る見込みです。


●女性の管理職比率

 厚生労働省は、2018年度「雇用均等基本調査(確報版)」を公表しました。これによると、係長相当職以上の女性管理職を有する企業割合は63.2%(前年度60.6%)となっており、女性管理職が多くの企業に存在することがわかります。ただし、管理職に占める女性の割合を詳細に見ると、部長相当職では6.7%、課長相当職では9.3%、係長相当職では16.7%であり、全体としてやや上昇してはいるものの伸び悩んでいる状況がわかります。


■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●外貨預金の期末残高の評価方法

 外国通貨で預金を保有している法人における期末時点での外貨預金残高の取り扱いは、「外貨建資産等の期末換算方法等の届出書」を提出することにより、通貨の種類ごとに、(1)「発生時換算法」(発生時の為替レート〔仲値〕で換算)、(2)「期末時換算法」(期末時の為替レートで換算)の2通りから選択できます。
 届出書を提出しなかった場合は、次の2区分により、それぞれの換算方法が適用されます。
(1)外貨普通預金および期末から1年以内に満期の到来する外貨定期預金→「期末時換算法」
(2)期末から1年を超えて満期の到来する外貨定期預金→「発生時換算法」
 なお、期末時換算法により発生した換算差額は、為替差損益として計上することになります。


●弁護士や税理士等の報酬等に対する源泉徴収の取り扱い

 弁護士や税理士等の報酬等の請求書に、受託業務遂行に係る立替旅費が記載されている場合があります。この場合、源泉徴収は立替旅費も含めて行う必要があります。
 受託業務遂行のための旅費等を、源泉徴収の対象としなくてもよいのは、業務の委託者が直接交通機関や宿泊施設へ、通常必要な範囲内の金額を支払った場合のみとなります。
 ただし、弁護士や税理士等が法人の場合は、源泉徴収をする必要はありません。


『月刊総務』2019年10月号P7より転載

 

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