月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

【総務の現場から】赤十字社の活動をもっと身近に。広報誌と連動させたロビーに改修

2017-12-11 16:31

一階は広報誌と連動させた情報発信とくつろぎの場へ

 赤十字のスローガン「人間を救うのは、人間だ。」の下、都内の赤十字活動を担っている日本赤十字社東京都支部。同支部は1991年に現住所に新築移転。以来、26年間、ほとんど手を掛けていなかったオフィスの改修と運用改善に着手し、一階エントランスフロアを大リニューアル。「もっと赤十字を日常に感じてほしい」との広報誌『NT』のコンセプトを空間に落とし込み、「NT Lounge」を誕生させた。総務部会計課長の市川浩二さんは、「広報誌の誌面やホームページ、SNSなどとも連動した展示を継続展開し、コンセプトがより伝わる空間を目指しています」と説明する。
 そもそもの改修の目的は、「もったいない、です。せっかくのガラス張りの開放的なスペースが利用し切れていなかった。外からはなんだか入りづらい雰囲気で、何をしている施設かもわかりにくい。そこを明るい雰囲気のオープンなスペースに変えました」と総務部企画課長の本多貴久さんは話す。また、現状では同支部を訪れる多くは支援者や講習受講者。そうしたお客さまがリラックスでき、コミュニケーションが生まれる場にもしたいと、約100万円という低コストで椅子を替え、ソファも置き、ナチュラルなカフェのような居心地の良いスペースに仕上がった。実際、「ここができてよかった」との声が多く、活用されている。
 
 もう一つ、外から見えることを生かして、同支部の活動を表現する場とすることも目的だった。置き家具のみの構成で空間を広く使えるようにし、イベントや報告会、講習会などにも利用できるようにした。ここで実施されたイベントは広報誌でも紹介し、連動性を持たせている。とはいえ、押し売り的なPRにはならないよう、あくまでも、これまで赤十字と接点がなかった人にも、自然な形で赤十字に触れてもらえる場所になることを意識して運営している。今後は、同支部が開催するセミナーなどのほか、無料ビジネスラウンジとしても展開。BtoBの企業間交流などにも使ってもらいたいとの考えだ。「使っていただくことが、何よりのPRになります。50人程度まで対応できるスペースですので、ぜひご利用ください」(市川さん)。

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3階執務室は生産性とおもてなしも考えた空間に

 3階執務室にもさまざまな課題があった。電話などの配線は乱雑な状態で、景観的にも安全性にも問題があった。またフロアカーペットも汚れが目立ち、衛生環境にも懸念があった。さらに今年2月、全社統一のネットワークに切り替えられたことへの対応、Windows Office365 導入によって得られた自由度を生かすためのノートPCへの更新も。「加えて、職員にとって働きやすく、ストレスが軽減される環境にしたい。また、訪問者をおもてなしできる場や、部署を超えたミーティングがすぐできるようなスペースも作りたい、と、半年をかけてリニューアルに取り組みました」(市川さん)。基本的にお金はかけず、工夫によって良いものを。専門家に任せ切るのではなく、プロジェクトメンバーが、家具メーカーなど協力企業に話を聞いて回り、セミナーなどにも参加。働き方改革にもつながるソフト面についても知見を深めながら検討していった。総務部会計課用度係長の杉浦重好さんは、「ほかの企業を見に行って、最近のオフィスというのはこんなにもフラットで明るい雰囲気なのか、と。こういったオフィスであれば、気持ちも行動も変わるだろうと実感しました」と振り返る。そうしてできた執務室は、中央に管理職の席をまとめることでフロアを回遊する動線を生み出し、窓際にはお客さまを迎えるファミレスブース席や、打ち合わせスペースを創出。動線上にあるので利用しやすく、コミュニケーションが生まれやすくなっている。また、管理職の席を中央に集めたことで、互いに話がしやすく、稟議も通りやすくなったという。既存什器も他フロアに転用するなど再活用している。今後は、グリーンを置くことでのストレス軽減や、「本日の終業時刻予定」ボード活用による働き方改革にもチャレンジしていく。
 

複合機更新をきっかけにコスト削減意識も向上

 複合機の更新を機に、カラーと白黒コピーの使い方改善にも取り組んだ。総務部会計課主事の竹松美沙さんによると、「導入時に初期設定を白黒にし、カラーと、白黒、二色刷りのコピー料金比較を張り出すなど、全員のコスト意識に働きかけました。結果、8月、9月の2か月間のカラー使用割合は、対前年比で20%減少。全体の使用量も18%減少しました」。
 また、職員互助会の運営で「プチ・ローソン」を導入した。これは、自分たちで自分たちの働く環境を改善していこうとの取り組み。コンパクトなスペースに、お菓子やカップラーメンなどが置かれ、決済は電子マネー。安定的な飲食物の提供は安心感につながる。災害時の食料保管も兼ねられる。職員からは好評だ。
 

「近未来ビジョン130」で10年軸の活動指針を提示

 今年、130周年の周年行事と連動を掛けて、10年軸での中長期計画「東京支部近未来ビジョン130」を策定した。目指す10年後の姿を「様々なパートナーと共鳴し、社会の共感を得ながら、人々に信頼され、安全、安心を与え続けられる存在」とし、「災害と向き合う。人の力を集める。社会と共生する。未来につなぐ」との4つのビジョンにまとめた。「10年後という距離感の近い目標を作ることで、赤十字社の崇高な理念を、もう少し職員の日々の仕事に結び付けられるようにしたい。そんな思いもあって作りました」(本多さん)。今後も同支部では、“ヒタムキに、ジミチに”人が支え合う安全、安心な社会の実現に取り組んでいく。
 

【会社DATA】

日本赤十字社 東京都支部
所在地:東京都新宿区大久保1-2-15
創設:1887年10月28日
代表者:支部長 小池百合子東京都知事
職員数:53人(東京都支部事務局/2017年3月31日現在)

 

 

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい12月のトピックス

2017-11-27 11:51

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾

●取締役の報酬等に関する改正の方向性

 法制審議会に会社法制(企業統治等関係)部会(以下「部会」という)が設置され、本年4月から会社法改正にかかる審議が開始されています。検討事項は、(1)株主総会の手続きの合理化、(2)役員に適切なインセンティブを付与するための規律の整備、(3)社債の管理の在り方の見直し、(4)社外取締役を置くことの義務付け等、(5)責任追及等の訴えにかかる訴訟における和解に関する規律の整備です。
 これら検討事項のうち、(2)の「取締役の報酬等に関する規律の見直し」について、部会資料6ページに「3 取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定の再一任」との項目があります。多くの会社において、取締役個人の報酬等は株主総会で決定された限度額の範囲内で取締役会に委任され、取締役会は代表取締役に再一任することが慣行です。部会資料は、この取締役会の再一任について問題を提起しています。再一任は、取締役会による代表取締役に対する監督に不適切な影響を与えるものであり、禁止することが相当であるとの考え方があること、他方で、最高限度額が株主総会にて定められている以上、禁止する必要はないとの考え方や、再一任の場合には、その旨を事業報告等で株主に開示すれば足りるとの考え方が紹介されています。再一任が禁止されることとなれば、代表取締役社長の権限が縮小することになるため、実務的に大きな影響が出るものと思われます。
 

■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久

●働き方改革関連法案のゆくえ

 9月15日、労働政策審議会は「働き方改革関連法案」の要綱について「おおむね妥当」とする答申を行いました。
 この法案は、時間外労働の絶対上限、ホワイトカラーエグゼンプション、同一労働同一賃金などが含まれる重要法案とされるものです。本来であれば、年内成立を目指し労働基準法など関連八法の改正が審議されるところですが、9月28日の衆議院解散により日程が後ろ倒しになっていく模様です。また、以前から継続審議となっていた「労働基準法等の一部を改正する法律案」は、衆議院解散により、審議未了のため廃案となっています。
 

●11月は「過労死等防止啓発月間」です

 厚生労働省は、毎年11月を「過労死等防止啓発月間」と定め、その一環として「過重労働防止キャンペーン」を実施しています。キャンペーン中は、労働局長によるベストプラクティス企業への職場訪問、「過重労働解消相談ダイヤル」を設置し過重労働や賃金不払い残業など労働条件全般にわたる電話相談などが実施されます。また、労働基準監督署による監督指導も実施されます。長時間の過重な労働による過労死等に関して労災請求が行われた事業場や、若者の「使い捨て」が疑われる企業などへ重点的な監督指導が予定されていますので注意が必要でしょう。
 

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ

●国税の予納について

 予納とは、納付すべき税額が確定した国税で、その納期が到来していないもの、またはおおむね6か月以内に納付すべき税額が確定することが確実であると認められる国税について、事前に税務署長に申し出て納付をする制度をいいます。予納の活用例として、修正申告書を提出する前に事前に予納することにより、延滞税の税負担を軽減することなどが挙げられます。
 本制度を適用した場合、予納した額の還付請求をすることはできませんが、予納が必要なくなったときには過誤納があったものとみなして還付され、または未納税金に充当されます。

 

●野球場のシーズン予約席料について

 野球場のシーズン予約席を購入し、入場券を得意先に配布する場合、その予約席に自社名を掲載しても、不特定多数の者に対する広告宣伝効果を意図したものとは認められないため、シーズン予約席料は、交際費等に該当します。
 シーズン予約席料は中途解約をしても返還されないと考えられるため、開幕日に交際費等に直接関連する行為があったものとし、開幕日を含む事業年度において交際費等として取り扱われます。消費税法上は、野球観戦を目的とした席料および野球観戦という役務提供の対価と考えられ、課税仕入れに該当し、仕入税額控除の対象になります。入場券は一種の整理券として考えられるため、物品切手には該当しません。
 
『月刊総務』2017年12月号P7より転載

 

『月刊総務』本誌記事:

【総務部門】12月の業務ポイントと行事

2017-11-24 10:30

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◆12月の業務ポイント

▼年末年始各種業務計画の作成
▼歳暮贈答品の発送
▼年末調整の最終準備と実施
▼年末賞与の支給
▼年賀状の発送
▼カレンダー、手帳類の配布
▼関係官庁・取引先への年末のあいさつ
▼文書類の整理・破棄
▼年末年始の防犯対策
▼冬季の健康管理の呼び掛け
▼新年度業務計画の準備
▼社内外の大掃除の準備と実施
▼初出式の準備
▼忘年会の準備と実施
▼年始回りの準備
▼社内報の編集と発行
 

◆12月の月間&週間行事

▼12月1日-31日
・大気汚染防止推進月間(環境省)
・未成年者飲酒防止強調月間(酒類に係る社会的規制等関係省庁等連絡協議会)
▼12月1日-7日
・「いのちの電話」フリーダイヤル週間(日本いのちの電話連盟)
▼12月4日-10日
・人権週間(法務省)
 

◆世界旅行気分!

▼パラオ共和国(Republic of Palau)palau.png
 太平洋上のミクロネシア地域の島々からなる国。世界一美しいといわれる、サンゴの海を持つパラオ。日本人にはあまり知られてはいないが、パラオは第一次世界大戦後、日本の統治領となっていたため、今でもたくさんの日本語が使われている。「大丈夫」「どうぞ」「浴衣」など。また、日本人の名前を持つ人も多いそう。「シゲオ」「ヤチヨ」または「カトウサン」と、サンまで一緒についている人も。しかしパラオは第二次世界大戦末期、日米の戦場となり日本軍はペリリュー島で玉砕した。数年前、天皇皇后両陛下がパラオを訪れたのも戦没者の慰霊のため。占領したアメリカからパラオが独立したのは1994年。その際制定された国旗は「日の丸」と少し似ていますが、黄金色の円はパラオの月を表しています。
 

【DATA】(外務省HPより)
●人口:21,291人(2015年)
●面積:488km2(屋久島とほぼ同じ)
●首都:マルキョク
●言語:パラオ語、英語

『月刊総務』2017年12月号P6より転載

 

『月刊総務』本誌記事:

【総務の現場から】
選べるインターンシップを導入し、主体的に動ける人材の確保を目指す

2017-11-17 10:20

学生に響く現場体験など多彩なプログラムを用意

 売買仲介事業を基盤に、投資用・事業用不動産にかかわる不動産ソリューション事業、新築販売受託事業、マンション・土地・戸建ての開発・分譲を行う不動産販売事業、賃貸仲介事業の5つの事業を展開する同社。優秀な人材を確保するためのさまざまな取り組みを行っているが、その一つが、2018年度新卒学生向けに始めた「選べるインターンシップ」だ。
 

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 これは十数種ものプログラムから、学生が自由に選んで参加できるもの。実務に即した座学やロールプレイング、さらに、営業現場での就業体験があるのが特徴だ。
 「以前からインターンシップは、数種類から選べる形にしていたのですが、学生さんから、もっと弊社のことを知りたい、といった要望もあり、さらに多種多様なプログラムを用意。選んでもらえる仕組みにしました」と、人材開発部長兼ダイバーシティ推進課長の野中絵理子さんは話す。
 基本的にはまず、業務の入門的プログラムから入り、そこから興味のあるものがあれば、それを受けていく。たとえば「ビジネスカレッジ」は、同社の幅広い事業を知り、その強みを体感できる内容。
 「現場体験」は、参加にエントリーシートの提出と審査が必要だが、学生からもっとも入社の決め手になったといわれている。
 「昨年は残金決済の立ち会いを経験し、感動したとの声もありました。もちろん、そんなことばかりがあるわけではないのですが、現場体験は学生さんに響く場面が多いようです」
 

選べるインターンシップで採用活動も順調に

 ほかに、内定者との座談会や女性社員と話をする女子会などもある。実際に活躍している女性社員と話ができ、「私もこうなりたい」と気持ちを高める女子学生もいる。このように選べるインターンシップは、学生がよりリアルに働くイメージを持つことができ、入社後のギャップを軽減することができる。会社としても、インターンシップに参加した学生の方が、内定承諾率が高くなるとの実績があり、これまで以上に会社のことを知ってもらい、内定承諾率を上げていきたいとのねらいがある。
 今年、選べるインターンシップにしたことで、その参加者は、昨年の約1,500人から、2,700人に増えた。延べ人数では4,300人。想定していた通り、採用面接時に、インターンシップを10回受けているとなれば、志望度の高い人だと顕著にわかるようになった。
 
 
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 「10回という人はまれですが、複数回参加する人が多く、そういう人は会社への理解が深まり、“リバブル愛”も高まっている。言葉だけでははかり切れなかった、志望度の高さがわかります。選べるインターンシップを行うのはとてもたいへんですが、今年の内定承諾者のうち、インターンシップに参加した人は、昨年の28.1パーセントから、51.8パーセントにアップした。採用活動自体は、かなり早期に決着しています」
 

学生が選べる選考ルートで多様な人材の確保も

 ほかにも学生が選べる仕組みがある。2018年度新卒採用より、3つの選考ルート(1.通常、2.宅建有資格者、3.ナンバーワン経験者)から、学生が、自身の経験や意欲、強みなどを最大限にアピールできるルートを選択し、エントリーできるようにした。2と3を選択した学生は、一次面接が免除となる。「自分で選んで決めて、意欲的に動ける人かどうかは、人材を見極めるポイントともなるところ。学生さんが自ら“選ぶ”といった機会を多くすることで、主体的に動ける人を選んでいきたいとの思いがあります」。
 また、選考ルートが選べると、素養の違いが明らかになる。同社の場合、通常ルートを選ぶ学生には、「成長」という言葉に心揺さぶられる人が多かった。有資格者には、「責任」という言葉が、ナンバーワン経験者には、「チャレンジ」という言葉が響く傾向にあった。「ナンバーワンルートを選ぶ人は、たとえば、学生時代にテニスの県大会で優勝したというような人。トップを取るための努力をしてきたり、そのチャレンジができる人。ルートごとに素養が違う。すると何が起きるか。多様な資質や能力のある人が採用できます」。
 
 

学生の志望度を高めるリクルーター制度も好評

 志望度は、社員との接点が多くなればなるほど高まる。「選べるリクルーター制度」も好評だ。「こちらも、営業所、社歴、出身大学、自己紹介などを見て、学生さんが会いたい人を選べる仕組み。利用者が多く、今年の予約数は400人を超えました」。リクルーターには、基本的に5年目以内の社員を選抜。協力要請を受けたリクルーターも、「自分も通ってきた道。今度は自分が」と意気に感じてやってくれている。リクルーターから、日々の仕事のやりがいや、たいへんなときの周囲の支えなどの話が聞けたことで、入社を決めた学生も多い。「弊社の採用計画の目的は、第一に、学生さんに満足していただくこと。選べる仕組みをたくさん作っているのもその一つ。満足いく就職活動をした結果“リバブル”があった、となってほしい。もちろん、縁がなくほかの会社にという人もいます。それでも、採用活動の過程において、リバブルはいい会社だな、と思ってもらいたい。満足していただきたいとの思いがあります」。
 今後の課題は、多様な人材の確保。また、意欲的にいろいろなことにチャレンジできる人に入ってきてほしい、との思いもある。「それには、インターンシッププログラムの質を高めることで、それをおもしろいと思ってくれる学生さんの質も高めていけるかな、と。たとえば、今年の新プログラムでは、リバブルの5事業をどう組み合わせたら、どんなサービスができるかといった、正解がないことを考えてもらう内容を主にする。そうして自律的に考え、行動し、責任が取れる人材が、採用できるようになるのが理想です」

【会社DATA】

東急リバブル株式会社
本社:東京都渋谷区道玄坂1-9-5
設立:1972年3月10日
代表者:代表取締役社長 榊 真二
資本金:13億9,630万円
従業員数:2,959人(2017年3月末現在)

 

 

『月刊総務』本誌記事:

【総務の現場から】
節電キャンペーンでコスト削減 拠出した寄付金で取り組むCR活動

2017-11-06 12:38

社内対抗で楽しく節電、削減コストを寄付金に

 年に2回、夏と冬の電力需要が高まる時期に行われている同社の「社内対抗節電キャンペーン」。2016年7月から9月に実施された第9回キャンペーンでは、節電によるコスト削減額から100万円を拠出し、エコツーリズム啓発活動に寄付。第1回からの支援総額は900万円になった。「そもそものきっかけは東日本大震災です。電力不足に対応するため、震災直後から蛍光灯を間引きするなどの対策を取っていましたが、その後、せっかくやるなら楽しみながら節電に取り組める方法はないだろうか、と。アイデア出しをする中から生まれたのが、競わせると盛り上がるといった社風も生かした、このキャンペーンです」と、事業費管理グループ リアルエステイト&ファシリティマネジメント マネージャーの相浦祐也さんは説明する。
 内容としては、本社ビルのフロア別と、全国営業店舗の都道府県別による対抗戦で、2010年同時期比での電力削減率を競い合う。そして、全社の削減目標を達成できた場合、そのコスト削減額から寄付をする。節電の取り組みがCR活動にもつながる仕組みだ。「支出は増やさずにできるとあって、経営から承認を得るのもスムーズでした」。第9回キャンペーンでは、全社で28.4パーセント削減と目標を大きく上回る実績で達成。岐阜県内の営業店の節電実績がもっとも高かったことから、NPO法人飛騨市・白川郷自然案内人協会への寄付を決めた。「節電キャンペーン開始から今まで、削減率は維持できています。残業削減の施策なども行っていますので複合的な成果ではありますが、コスト削減には非常に効果があると実感しています」。
 

CR活動で、地域社会の持続的な発展をサポート

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 もともと、同社では本業はもちろん、地域社会、顧客、社員、株主、環境など、ステークホルダーすべてに責任ある行動を取り、社会の持続的な発展をサポートし、企業の社会的役割を果たしていこうとの考えで、CR活動に取り組んでいる。また、外資系の生命保険会社ではあるが、前身の一つが、日本初の団体生命保険を販売した日本団体生命であり、日本的な文化を持つ企業でもある。全国に約600ある営業店舗は、商工会議所と同ビル内にあるところが多く、地域の経済団体と連携しながら事業を展開している。そうした背景から、地域社会の持続的な発展に寄与していきたいとの思いが根幹には流れており、そういった中で取り組んでいる活動の一つが、節電キャンペーンなのだ。「寄付先は、NPO法人日本エコツーリズム協会から会員団体を紹介いただき、その中から決めています。寄付先からは、『今までやりたくてもできなかったことがこれでできます』など、喜びの声をいただいています」。エコツーリズムとは、環境の保全と観光の振興、地域の経済的な活性化を目指す仕組み。その普及を目的とする団体に寄付をする。節電から生まれたお金が、豊かな自然を未来へ引き継ぐための活動に役立てられている。
 

節電ポータルサイトなどで社内の節電意識を向上

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 今や現場にとって節電は当たり前といった感覚だが、スタート当初は、浸透させるためにさまざまな工夫もした。まず、節電ポータルサイトを開設。そこではデータ開示とともに、「ブラインドを閉じるとエアコン効率が良くなる」といった節電につながる情報を発信。また本社では、デジタルサイネージで各フロアの状況を掲示し、「今週は一五階ががんばっているな」などと、すぐにわかるようにした。キャンペーンの時期には、出勤時間やお昼の時間帯に、会社のマスコットの着ぐるみ(ページ下写真)を着てビルの入り口に立ち、「節電キャンペーン始まりました!」とプロモーションもした。営業店に対しては、販売チャネルのイントラネットや、営業社員労働組合の冊子などでも告知をさせてもらい、営業店の事務スタッフにも協力を仰いだ。ほかにも、「節電アイデアコンテスト」を実施したり、「節電川柳」の募集や、「節電クイズ」などの施策を重ねて、社内の意識を高めていった。
 ちなみに当初、営業店舗は、都道府県別対抗ではなく、電力会社の管内エリア別対抗としていた。データの集計で現場に負担を掛けないよう、支払料金実績から単価で割って電力会社別に使用量を算出。それをベースに削減目標を設定した。この目標も震災前年の電力量に対しての設定なので、基本的には達成できる数値だ。前回からは対前年比での目標設定に変更したが、それでも達成はしやすい数値になっている。現場が達成感を得やすい仕組みとしたことも、キャンペーンが5年も継続できている理由の一つなのだろう。
 

このスキームを生かして次は紙などのコスト削減も

 節電と寄付というのはなかなか結び付かないアイデアだ。社員からは、「会社として良い取り組みをしているね」「おもしろい。どういう仕組みなの?」といった反応もあった。キャンペーンの事務局は、相浦さんのチームメンバー19人全員で担当。「当初は大変でしたが、一度スキームを作ってしまえばそれほど難しくはありません。今後は、複合機の紙や、カラープリントを減らすといった、違うものに置き換えてやってみようとの話が上がっています」。キャンペーンの内容や、寄付の継続は常に議論の対象となっている。ただ、「CRは継続が大切」とは経営が常にいい続けていること。また、同社の認知度は、地方によっては高くないところもある。寄付の贈呈式は、NPO法人が所在する場所で行う。地域メディアにも紹介してもらっている。「こんなことをしているアクサ生命という会社があるのか」と知ってもらえる機会となり、間接的な営業への効果も期待できる。「ぜひ寄付は継続していきたい。そのためにもキャンペーン自体を続けていけるよう、マンネリ化させない方法を考えていきます」
 
 

【会社DATA】

アクサ生命保険株式会社
本社:東京都港区白金1-17-3 NBFプラチナタワー
設立:1994年7月(旧アクサ生命保険株式会社の設立)
代表者:代表執行役社長兼チーフ・エグゼクティブ・オフィサー ニック・レーン
従業員数:内勤社員2255人 営業社員5325人(2016年度末在籍数。営業社員数には営組への出向者人数を含まず)

 

 

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