スタートアップバックオフィス(人事・労務)の始め方
安全衛生委員会の正式発足前に取り組みたい! 中小企業において「心理的安全性」を高めるポイント
エアレンデル東京社労士事務所 代表 黒田 公重
最終更新日:
2025年06月26日
人材育成に手が回らない現実がある一方で、「人への投資」がこれからの企業成長の鍵を握る ―― こうした人的資本経営の考え方については、前回「研修をイベントやコストと思っていませんか? 中小企業が知っておきたい社員教育の本当の役割」でもご紹介した通りです。限られた人員をいかに最大限に育て、いかに戦力化していくか。これは、もはや人事戦略の範疇を超え、今後の経営戦略の根幹をなすテーマです。一時的なコスト削減では持続的な成長は望めません。社員の能力向上や制度改善を通じて企業体質そのものを変える取り組みは、着実に成果を積み上げていきます。この体質改善の核心にあるのが、「心理的安全性」の確立です。
自律型組織の要「心理的安全性」が未来を開く
人的資本経営が目指す究極の姿は、社員一人ひとりが自ら判断し、行動する力を持つ「自律型組織」への変革です。この自律性を支える最も重要な土台こそが、心理的安全性にほかなりません。心理的安全性は、社員のチャレンジ精神を刺激し、組織のイノベーション能力を高め、最終的には企業の業績を飛躍的に向上させる原動力となります。心理的安全性とは、組織の中で「自分の考えや感情、あるいは弱みを安心して開示できる状態」を指します。
中小企業においては、社長やベテラン社員への遠慮から、意見や質問が控えられがちです。しかし、心理的安全性が確保された環境では、社員は内的なブレーキがかかることなく、「もっと良くしよう」「新しいことに挑戦してみよう」という意欲が生まれます。具体的には、
- 意見やアイデアが否定されず自由に発言できる安心感
- 不明点や懸念について簡単に質問・相談ができる
- 新しい挑戦の失敗を学びとして受け入れることができる
- 自分の弱さや助けが必要なことを率直に伝える力
といった環境が育まれます。これにより、社員は指示待ちではなく、自ら課題を発見し、解決策を模索する自律的な行動へと自然とつながっていきます。
心理的安全性が中小企業の業績を加速させるメカニズム
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。
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