スタートアップバックオフィス(人事・労務)の始め方
自身の病気やけが、家族の介護……。社員の不測の事態による離職を防ぐために会社はどう対応する?
エアレンデル東京社労士事務所 代表 黒田 公重
最終更新日:
2025年02月28日

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採用難や労働力不足、少子化による若手不足が深刻な問題となっている今、スタートアップなどの中小企業において、社員のライフイベントを理由とする離職を防ぐことも重要です。前回は結婚、出産・育児における必要な手続きとサポート体制について解説しました。今回は、病気や家族の介護、社員の死亡といった場面における会社の対応や手続きについてお話しします。人生には喜ばしい出来事だけでなく、不測の事態に直面することもあります。そんなとき、会社はどのように対応し、どのような手続きが求められるのでしょうか。傷病休職や介護休業、社員が亡くなった際の社内対応など、知っておくべきポイントを解説します。
社員が病気になったり、けがをした場合の対応
社員が病気になった場合、「労働災害(労災)」と「私傷病(業務外の病気やけが)」で対応が異なります。図表1でそれぞれの対応を説明します。
図表1:労災と私傷病の対応
労災 | 私傷病 | |
---|---|---|
対象 | 仕事中や通勤途中の事故、業務が原因の病気 | 風邪・インフルエンザ・慢性疾患・家庭でのけがなど、仕事に関係しない病気やけが |
申請 | 「労災保険」の対象かどうかを確認 労災と認められれば、労災保険から医療費や休業補償が支給される 申請書(「療養補償給付たる療養の給付請求書」など)を記入 |
業務外の病気やけがは健康保険が適用される(医療費の自己負担は3割) 社会保険に加入していれば、入院や長期療養が必要なら「傷病手当金」を申請可能(一定の条件あり) |
提出先 | 会社経由または病院等が労働基準監督署に提出 | 加入している健康保険の保険者(協会けんぽ、健保組合等) |
休職等 | 初めの通算3日間は休業補償を行う(有給休暇可) | 就業規則等の私傷病の休職の規定による |
給付金等 | 休業4日目から、給付基礎日額の60%の給付と特別支給金の20%が支払われる | 傷病手当金:連続4日以上の休業、給与が支払われない日に対して、過去12か月の平均標準報酬月額の2/3が、最長1年6か月支給 (会社の独自給付がある場合は就業規則による) |
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