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採用ブランディング【第17回】無名企業ほど、採用ブランディングのチャンス

2018年11月22日

■大手・有名企業はすでに数を満たしている

 『無名×中小企業でもほしい人材を獲得できる 採用ブランディング』(幻冬舎)を出してからというもの、一般的に知名度のある有名企業や東証一部上場企業などからお問い合わせをいただくようになりました。しかし、その多くの企業(今のところすべて)は、採用ブランディングの導入には至っていません。

 だいたいどの企業もその背景、状況は似ています。まず、ナビ媒体のエントリー数がそれなりに集まっていること。有名企業や大手企業ですから、いくら不人気業種だったとしても2000エントリーを下回ることはまずありません。そして、途中離脱や内定辞退があるにしても、しっかりと目標の採用数は満たせていること。つまり、数字上は採用ブランディングを行う意味はないように思えます。

 もちろん、有名企業や上場企業でなくても、多くの採用数の実績があり、採用ブランディングの導入を決める企業もあります。では、採用ブランディングの導入をする企業としない企業、その差はいったいなんなのでしょうか。それは誰が、どのような課題感を抱いているのか、に大きく依存します。

■数を満たしていれば、課題はないと感じている

 著書には、「採用」とありますから、採用担当者や責任者の方に数多く読まれています。また、採用関連の本はあまた出ていますから、現場のみなさんがたとえ数を満たせていても、母集団や内定者の「質」的なものに課題を抱いていれば、お問い合わせがきます。

 しかし、お会いして一通り話し、見積りを出してもサポートできないことが多いと感じています。稟議(りんぎ)を出さないのか、出して通らなかったのかはもちろんわかりません。大手・有名企業の場合、現場に課題感を抱く人は多いのですが、企業として「採用数」が評価の基準となっており、それを満たせているのであれば、その上の課長や部長クラスの方はそれほど課題感を抱いていない可能性があります。

 実際、課題感を抱いている現場の人たちが、採用ブランディングの話を聞かせようと、責任者の方を打ち合わせの現場に同席させることが多々ありますが、興味を示さないことも多いと感じています。より直接的で、目に見えて効率的な方法でなければ通らないのかもしれません。

■社長には、経営へのインパクトが想像できる感度がある

 一方、採用目標数を満たしている無名な企業でも、経営者(代表)が直接問い合わせ、打ち合わせの場に出てくる場合もあります。有名企業や上場企業と同じようにもっと内定者の「質」をアップさせたい、という悩みなのですが、採用ブランディングの導入は、こちらの場合のほうが圧倒的に多いのです。しかも即決に近い形で決まることもあります。経営者の場合、自身が決済するということもありますが、どうもそれだけの違いではなさそうです。

 数を満たしていても、質に課題のあると考えている方の場合、その課題の深さをどのくらい感じているか、そして質が向上することで、経営にどれほどインパクトがあるかということに関する感度が高いのではないかと感じています。これまで、採用ブランディングがいかに経営にレバレッジを生み出すことができるかを書いてきましたが、それをたった一度の説明で(もちろん書籍を読んでいただいている方もいますが)感覚的に理解することができるということです。

 採用ブランディングは、最初は面倒くさいですし、一見時間もお金も労力もかかるように見えます。しかしそれは最初の数か月間です。あとは採用活動の中で実践していくことで、自社の見えないスキル(=資産)として、採用にかかわるメンバーの中に蓄積されていきます。

■大手企業ができないのだから、無名企業はチャンス

 これまでの経験でいくと、有名企業や上場企業には採用ブランディングを導入できない構造が存在しています。それは上記のようなことでもありますし、自社でなんとかできるレベルで採用を改善できると思うからかもしれません。実際それでできるなら予算もかかりませんし、いちばん幸せです。

 ただ、それだけ採用の知見があるならば、採用ブランディングを導入したら本来鬼に金棒状態になるのですが、多くの企業は母集団が減ってしまうかもしれないこと(実際にはほとんどの企業で減りません)や、それと同時に採用数も減ってしまう(もちろん減りません)ことに及び腰になってしまう点が見受けられます。今、成功している(ように見える)ので、わざわざ変えて、今以上に悪くなる可能性の方を考えてしまうのかもしれません。

 一方で、経営者は自身で責任を取ることができますし、有名・大手企業ほど採用数もありません。もっと飛躍したいと思っていれば、導入しない手はありません。また、多くの有名でない企業は採用に苦戦しており、エントリー数さえも集まりません。だから、従来通りの方法でやっても予算が増えるだけですし、導入しやすい環境がそもそもそこにあるのです。そして勇気を出して導入した企業には、大手企業に負けない一発逆転の結果が待っているのです。

深澤 了
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