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採用ブランディング【第18回】会社の魅力はコロコロ変わらない

2018年12月06日

■強みの中に理念や価値観は必ず入れるべき

 採用ブランディングのサポートをしていて、よくされる質問に、「人によって伝える魅力は変えるべきですか?」というものがあります。答えはNOです。人によって魅力の「伝え方」は変える必要がありますが、魅力そのものを変えて訴求する必要はありません。

 自社の魅力とは、すなわち「強み」です。その強みは、採用ブランディングの理論でいう「理念」や、そこにまつわる「価値観」を含んでいるべきです。これは単純な理屈で、「理念、戦略、現場」といわれる「経営の三角形」を一貫していることが、強い会社を作るために大事なのだとすれば、文化や価値観を含む理念に共感する人を採用することで、会社は強くなっていくからです。

 だから、理念や価値観は強みの1項目として必ずラインアップされるべきものです。そのほかは、会社の状況次第で変化することもありますし、強みのラインアップの中でも強弱が変わることはあると思います。

■伝わる「魅力=強み」はせいぜい2、3個

 採用ブランディングでは、採用活動の軸になる「コンセプト」を作るときに採用基準を決め、そこからペルソナを決めます。そして彼らに自社の強みの中から3項目だけ伝えるとしたら、何にするかを選んでもらい、それをペルソナに「どのように伝えるか」を考えてもらいます。これがまさに「コンセプト」。ここから採用の合言葉になる「スローガン」を開発します。

 なぜ3項目だけ選ぶのかというと、たとえ強みが何個もあったとしても、伝えられない、伝わらないからです。たとえ10個の強みが出てきたとしても、聞いている方は飽きてしまいます。ですからせいぜい2、3個、それを確実に伝え切ります。共感してくれればほかの強みを伝えればいいし、共感してもらえないのであれば、他社に興味を持ってもらえばいいので、お互いに効率的な採用活動ができます。

 また、全員でコンセプトを考えることで、ブレを減らし、一貫性を生み出しやすくします。複数ターゲットである場合(例:職種別採用など)、チョイスする2、3個の強みを変えるのも手ですが、「コンセプト」が変わってしまうので、当然スローガンも変わり、ツールのデザインも変わります。その点の予算や採用の労力も考えて設定すべきです。

■コンセプト=スローガンは一つが効率的

 採用したい職種が複数ある場合、いちばん効率的なのは、強みをFIXして、コンセプトを一つに絞ること、つまり、採用スローガンは一つで、職種別にターゲットの訴求方法(伝え方)を変えていくことです。理念や戦略など、会社の土台となる部分で設定できれば、コンセプトを職種別で変える必要はありません。

 また、それらがターゲットごとで響くかどうかを議論するのは時間の無駄です。そもそも、理念や価値観も踏まえた「コンセプト=スローガン」に共感する人を集め、採用していくのです。だから、これまでのターゲットにとらわれ、「うちの理念や戦略ではターゲットに響かない」ので、コンセプトを変えなければ、と考えるのは本末転倒です。

 本当にほしい理想の人材像を描き、「自社のいちばん魅力的で自信のある部分は、どのようにすれば彼らに響くか」を考えることで、その後のツールや実際の伝え方が研ぎ澄まされていきます。今、すでに集まっている人に向けて新たに表現を作っても、彼らは理想像でないのですから、研ぎ澄まされた自社独自のものにはなりません。結果、さほど今の母集団を変えるまでの変化は起こせず、劇的に採用効率は上がらないのです。

■複数職種100人ずつ採用なら、迷いなくコンセプトは分けるべき

 ただし、もちろん例外もあります。たとえば複数の職種、エンジニア100人、営業100人が採用目標だとします。この場合はさすがに私もコンセプトを分け、複数の採用サイトやパンフレットを作り、職種別の採用を行うことをお勧めします。

 理由はもちろんそれぞれの採用目標人数が100人だからです。今、一職種でも10人、20人の採用で苦戦している企業が多い中で、100人です。100人を目標にできる企業というのは、急成長していますし、採用に注ぐ予算も、人も確保できるでしょう。しかしこれが50人ずつならどうでしょうか。30人ずつなら?このあたりはもうケース・バイ・ケースです。人数もさることながら、採用に注げる予算や人的な資源によって決められるべきです。

 しかしあくまで表現の基本は、理念・価値観をベースにした一つのコンセプトです。この重要性をしっかりと認識した上で、自社の採用目標、予算、人的なリソースによってコンセプトを複数にするのか決めるべきです。これは、さかのぼれば強みの抽出にもかかわってきます。一つの会社であれもこれも、他社に負けない強みがある企業はまれです。あったとしても、そこまで訴求しきれません。自分たちは何者なのか。また何者と思われたいのか。それこそが採用成功の最初の一歩なのです。

深澤 了
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