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組織を活性化する「場」作り【その11】知の交流をファシリテートする「場」作り

2019年02月28日

■「知の交流」を高めるには

 組織とは、社会科学的には「共通の目標を有し、目標達成のために協働を行う、何らかの手段で統制された複数の人々の行為やコミュニケーションによって構成されるシステム」と定義されています。企業組織における価値創造行為の原単位は「人」であり、人同士が協働することにより、企業は付加価値を創出し利益を享受します。

 人々が協働して協創行為を円滑に進めるには、コミュニケーションが不可欠です。コミュニケーションは、組織を構成するナレッジワーカー同士の「知の交流」ともいえます。

 「知の交流」を活発に行い、「知的生産性」を上げていくことは、経営者の誰もが望むところですが、経営からの「掛け声」だけでは実効性は高まりません。何らかの仕掛けが必要です。具体的には、「コミュニケーションデザイン力」が、実効性ある「知の交流」を高めるキーになります。

■コミュニケーション方法は使い分ける

 コミュニケーションデザインとは、自社の風土・企業文化を踏まえて、社員の個性や行動特性を考慮し、業務価値創造に資する社員同士の意識・情報を共有できる「場」を設計することです。単なる会話としてのコミュニケーションでは意味がありません。社員一人ひとりの価値創造力を刺激し、新しい企画のアイデアや業務改善等のひらめきやきっかけを誘発する「対話」の機会が「社内コミュニケーション」の意義なのです。

 コミュニケーションデザインを考えるにあたり、対面のリアルコミュニケーションとバーチャルコミュニケーションのバランスを考慮することが重要です。Face to Face の対面方式コミュニケーションが有効なのか、それともメールやチャットなどのバーチャルコミュニケーションが有効なのかは状況によりまちまちです。

 たまに、隣の人とメールでやり取りする若手社員を、頭ごなしに「コミュニケーションとは直接対話こそに意味がある」といわんばかりに指導する管理者がいます。確かに、隣の人といつもメールやチャットでやり取りするのはほめられたものではありませんが、周りの人に聞かれたくない話かもしれません。コミュニケーション方法は、内容によってうまく使い分ける点を考慮する必要があります。

■バーチャルコミュニケーションでも総務FM部門が主体に

 メールやチャットを使うバーチャルコミュニケーション方式は、ICTツールを使うことから情報システム部門が主導する場合が多いと思います。しかし私は、現場の温度感を熟知し、「オフィス場」と「想いの場」作りに関与している「広義の総務FM部門(総務部や広報部、経営企画部門等)」が、コミュニケーション「場」作りを主導する方が良いと思います。

 そのためには、総務FM部門が主体的に情報を集め、情報システム部門と連携しながら各システムの特徴・特性を知っておくことが必要です。第4回では社内SNS&ビジネスチャットの活用について解説しましたが、社内SNSは組織内の知を共有ないし知の交流をサポートするプラットフォームにもなり得ます。

 社内でどのような仕事が行われていて、それぞれの領域の社内スペシャリストは誰なのか。通常では、なかなか知り得ない社内情報にアクセスする手掛かりにもなる「情報コンシェルジェ」サービス機能は社内SNSを活用することで構築できます。「社内の誰が何を知っているかを知る」仕組み、いわゆるトランザクティブメモリーの場を提供することで、組織のコミュニケーション力は向上するのです。

 F2F(Face to Face)やバーチャルでもリアルタイムでの対話だけが「コミュニケーション」ではありません。対話の前段階での仕掛け、つまり、社員が、社内のAさんと「話してみたい」、Bさんに「聞いてみよう」、Cさんから「教えてもらおう」などといった動機付けを誘発させる仕組みこそが、「知の交流」を活発化させる「コミュニケーションデザイン」の重要な視点です。

岡田 大士郎
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