月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

平成終了まであと少し 改元対応のポイント

2019-04-22 11:38

法務の視点から見る改元とは

「元号」と「改元」

 元号とは、「年に付ける呼び名」(大辞林参照)を意味します。特に、中国において漢の武帝の時代に「建元」と称したものを最古として、わが国では645年の「大化」が初めての元号とされました。30年前に昭和から平成に改元されたことを覚えている方も多いと思います。

 現代日本の元号は、「元号法」を根拠としています。この法律はとても短い法律で、「元号は、政令で定める」「元号は、皇位の継承があった場合に限り改める」という2つの項から構成されています。

 改元は、元号を改めることを意味しますが、元号法の2項によれば、皇位の継承に伴って改元されます。つまり、皇位継承に際して、内閣が新しい元号を定めた政令が施行されたときから改元されることとなります。

天皇の退位等に関する皇室典範特例法の概要

 ところで、2017年6月16日に「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」(以下、「皇室典範特例法」)が公布されたことをご存じでしょうか。

 「皇室典範」とは、皇位継承等皇室に関する事項を規定した法律です。皇室典範第四条には、「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する」とありますから、原則として天皇崩御に伴って改元されることになります。

 しかし、今上天皇陛下が生前退位について、強いお気持ちをお示しになられたことから、皇室典範特例法が制定されました。皇室典範特例法第一条では、同法の趣旨を次のように述べています。

 「天皇陛下が、昭和64年1月7日の御即位以来28年を超える長期にわたり、国事行為のほか、全国各地への御訪問、被災地のお見舞いをはじめとする象徴としての公的な御活動に精励してこられた中、83歳と御高齢になられ、今後これらの御活動を天皇として自ら続けられることが困難となることを深く案じておられること、これに対し、国民は、御高齢に至るまでこれらの御活動に精励されている天皇陛下を深く敬愛し、この天皇陛下のお気持ちを理解し、これに共感していること、さらに、皇嗣である皇太子殿下は、57歳となられ、これまで国事行為の臨時代行等の御公務に長期にわたり精勤されておられることという現下の状況に鑑み、皇室典範第四条の規定の特例として、天皇陛下の退位及び皇嗣の即位を実現するとともに、天皇陛下の退位後の地位その他の退位に伴い必要となる事項を定めるものとする」

 皇室典範特例法は、「天皇は、この法律の施行の日限り、退位し、皇嗣が、直ちに即位する」と定め、退位した天皇を「上皇」とし、上皇の后を「上皇后」としています。  さらに、皇位継承に伴い、皇嗣となった皇族については、皇室典範に定める事項について皇太子の例によるとしています。

 では、改元は企業法務にどのような影響を与えるのでしょうか。

企業法務への影響は

 改元されると、それ以後、古い元号を使用しなくなります。しかし、国や地方公共団体では、年号を元号で表記することが一般的であり、法律上も記載されているものもあります。

 たとえば、2020年に実施される東京オリンピック・パラリンピックについては、「平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会」と表記されています。しかし、平成の元号は2019年4月末日をもって終了し、改元されることになるので、「平成」を冠したオリンピック等ではなくなるわけです。このような場合、法律を改正する必要があるのかが気になるところでしょう。

 この問題については、「昭和」から「平成」に改元された際にもありましたが、法律改正は不要であるとの結論となりました。なぜなら、たとえば「昭和70年」の場合、西暦何年であるかは自明であり、昭和を平成に置き換えれば事足りるため、法律を改正するまでもないからです。

 このことわりは、法律のみならず、一般の会社の契約などについても同様です。たとえば、平成33年12月末日まで有効な契約について、平成が終わり改元されたからといって、契約書を訂正する必要はありません。平成33年が西暦2021年であることは自明だからです。

 したがって、企業法務面において、改元による負担や影響が出ることはありません。もちろん、伝票等の帳票を元号表記している場合は、新しい元号にする必要がありますが、法的に強制されるわけではありません。

「元号」と「商号」

 元号を「商号」に使用することに制限はありません。会社法六条第一項は、「会社は、その名称を商号とする」と規定し、商号は登記事項とされているため(同法第911条3項2号)、会社である以上、必ず商号を登記する必要があります。その際、「昭和産業株式会社」や「平成商事株式会社」などの商号の会社を設立して登記することは可能です。

 実際、元号を商号に使用している会社は多くありますし、目にしたこともあるでしょう。

「元号」と「商標」

 前記のことから、元号を商号に使用することは可能であるとわかりました。では元号を「商標」として登録することはできるでしょうか。

 商標とは、「人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの」と定義されています。また、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識できない商標」は、商標登録ができないとされています。これを商標の「自他商品識別機能」と呼び、識別力のない商標は登録することができません。

 そして一般的に元号は、自他商品識別機能がないとみなされています。たとえば、「平成」は現在の元号として広く国民に認識されていますが、それは単に「現在の元号」として認識されているにすぎません。このことから識別力がないとみなされ、商標登録ができないのです。

 これは、「商標審査基準【改訂第13版】」において、「現元号として認識される場合(「平成」「HEISEI」等)は、本号に該当すると判断する」とされ、現元号に識別力がないため商標登録の対象とならないとされていることからも明白です。新元号の発表はまだですが、この点は留意しておきましょう。なお、これは旧元号についても同様とされる予定です。



小沢・秋山法律事務所弁護士
香月裕爾さん

1987年司法試験合格、1990年4月弁護士登録(東京弁護士会)主要著書:『Q&Aよくわかる高齢者への投資勧誘・販売ルール』『金融機関コンプライアンス・オフィサーQ&A』『アパートローンのリスク管理』共著(金融財政事情研究会)

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改元に伴う労務管理対応

祝日法改正で「休日」日数が増える企業も!

 秋の臨時国会(2018年10月24日〜)において、祝日法改正案が提出されています(注:原稿作成段階では未成立)。その内容は、皇太子殿下が新天皇に即位される2019年5月1日(水)と、即位礼正殿の儀が行われる10月22日(火)を、同年に限り祝日とする法案です。

 国を挙げてお祝いムードが高まることではありますが、留意すべきは成立すると来年の労働日数・休日日数の変更が予想され、企業の労務管理(労働条件)に直接的影響が及ぶことがあるという点です。まずは祝日法第三条の確認をしてみましょう。

■祝日法第3条
(1)「国民の祝日」は休日とする。
(2)「国民の祝日」が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日を休日とする。
(3)その前日及び翌日が「国民の祝日」である日(「国民の祝日」でない日に限る)は、休日とする。

 2019年のカレンダー(図表1)を見てください。祝日法第3条の(1)により、5月1日は1年限りの祝日になります。また(3)により、4月30日と5月2日が休日、さらに(2)によって、5月6日は振替休日となることがわかると思います。

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 就業規則(図表2)で祝日法の定め通りの「休日」としている事業場では、来年のゴールデンウイーク期間中は10連休となる事業場も多いことでしょう。もっとも、サービス業を中心とした事業場では10連休は現実的に困難であり、土・日・祝日勤務をしている従業員も多いはずです。

 企業で定める休日ルールは祝日法ルールとは全く別物です。今回の祝日法改正のタイミングは自社就業規則による「休日」ルールを再確認するのに良い機会です。ぜひこの機会に見直してみてください。

企業の「休日」は就業規則で定める

 ここからは、今まで解説してきた祝日法改正というテーマから頭を切り替えてください。民間企業は自社の就業規則の中で休日がどのように定義されているかをまず確認することです。就業規則は労働基準法を守って作成しなければなりません。まずは法令による定義を確認しましょう。

■労働基準法第35条
(1)使用者は、労働者に対して毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。
(2)前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。

 労働基準法では何曜日を休日とするか、あるいは国民の祝日を休日とするかについては、なんら規定はありません。また、1週間の中で何曜日を休日にしても、週によって異なる曜日を休日にしても問題ありません。勤務実態に合わせ、労働者ごと異なる日に交替で休日を与えることも可能です。

 さらに労働基準法第32条により、労働時間は1日8時間まで、週40時間まで(特例事業は除く)とされていることから、法令を遵守するため、就業規則で週休2日制としている事業場が多く存在しているのです。

 なお、実際の就業規則では図表2のように、年末年始、夏季等を追加で休日と規定している事業場も多いことでしょう。

割増賃金の計算基礎となる1時間当たりの時間単価が変わる

 祝日法改正により、自社の就業規則で休日日数が増加することになったら、各社員の時間単価も変動します。割増賃金の計算を正しく行うため忘れずチェックしてください。

(1)1時間当たりの賃金
 月給制社員の割増賃金の計算基礎となる1時間当たりの賃金計算方法は図表3を参照してください。

(2)年間所定休日(毎年変更)
 図表3は、就業規則で年間所定休日を122日と定めている例です。就業規則で祝日を休日と定めている場合には、祝日法改正により休日が増加しますから当然計算結果も変わることになるため要注意です。

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 また、そもそも図表2の例だと祝日が土曜日と重複したり、年末年始が土日に重なったりすることもありますから年間所定休日は毎年変わります。加えて、曜日配列により夏季、年末年始の日数が毎年変わる場合も年間所定休日は毎年変わります。これらを踏まえ、休日のカウントを間違えないようにしておきましょう。

改元対応と同時に働き方改革を進めよう

 さらに、改元の1か月前、2019年4月から、働き方改革法が順次施行されます。そのことにも注視しなければなりません。本稿は、改元に伴う祝日法の改正の留意点、休日に焦点を当てて解説しましたが、労働時間の適正管理、休日・休暇の在り方をワークライフバランスの観点から考えていくことも大切です。そして、2019年はそれを実現していく絶好のタイミングの年でもあるのです。



日本橋人事労務総研・社会保険労務士小岩事務所 代表
特定社会保険労務士
小岩和男さん

1982年中央大学法学部法律学科卒業後、東武不動産株式会社(東武鉄道グループ)に入社。以降、不動産営業マンを経て人事総務業務に従事。2004年、社会保険労務士試験合格後独立。現在、日本橋人事労務総研代表・特定社会保険労務士として、企業の労務顧問・講演・執筆業務で経営者を支援している。主な著書に『社員10人までの小さな会社の総務がよくわかる本』(明日香出版社)がある。

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改元に伴うシステム改修対応

改元によって想定される混乱

 政府は2018年5月17日に2019年5月1日に切り替わる新元号について、同年4月1日の公表を想定して準備を進めると発表しました。

 これにより30年間続いた「平成」が終わり、今上天皇陛下が退位し、新しい天皇が誕生し、新しい元号に切り替わります。

 そこで改元によるシステムの改修等の必要が出てきました。一部では「2000年問題」の再来と叫ばれ、そのときの悪夢を思い出す方も多いのも事実です。

 2000年問題は1999年から2000年になったとき、当時の情報システムがメモリーを節約するために西暦の下2桁しか記録していないケースが多く、2000年になった瞬間にシステムが1900年と認識してしまい、情報システムが誤作動、停止などを起こしてしまうというものでした。

 しかし、2000年対応は当時のエンジニアが総動員されたことと、事前に改修を行ったことでそれほど大きな問題は実際起きませんでした。その後、IT企業、システム開発会社、そしてユーザーはこの2000年問題の教訓を経て、改元によって情報システムに改修が必要なことと、大変な労力が掛かることがわかったため、和暦についても、いつか変更になることを重々理解しています。

 つまり改元がいつ起きても対応できるように仕様・設計・開発を行ってきており、逆に改元に対応できないような情報システムの場合、仕様・設計・開発自体に問題があるといわざるを得ません。

 とはいえ、民間の情報システム以上に非常に複雑になってきている政府や自治体の情報システムでは証明書などに和暦である「昭和」「平成」などがほぼ100%記載されているために、元号対応の情報システムの改修が遅れると住民票の発行ができなかったり、住民税などの納税の際に記録が残らなかったりするなど問題が発生する可能性があるとしています。

 また、2019年は元号が「平成」と新元号の両方を持つ特殊な年となることで何が起こるか予測が付かない可能性もあります。これらの状況でエンジニア不足に悩む昨今において、早急の改修ができるかなどの混乱も予測されています。

改元前に何をすべきか

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 企業と政府や自治体、この2つは改元前に対応すべき情報システムの改修事情が違います。

 企業の場合は、現在利用している情報システムにかかわるIT企業、システム開発会社に対して、改元後の対応方法や改修状況を確認します。

 政府や自治体は、改元決定後から改修計画を立てて対応していると思われるので、そこは政府や自治体へ納入しているIT企業、システム開発会社に任せていくしかありません。

 現状、私たちが確認しなければならないことを「改元前のシステム対応チェックリスト」(図表4)にてまとめています。企業によって、該当しない項目もあるので、自社の情報システムはどれに該当するのかきちんと確認しましょう。

 また、チェックが付かなかった項目は、図表5を参考にしてチェックが付くように対応を検討していくことをお勧めします。

注意しておくべき点

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 今回、改元に伴うシステム対応は図表4のチェックリストの事項を一通り行えば大きな混乱はないと思います。パッケージやクラウド(SaaS※)であれば、その情報システムのバージョンアップを行う、または自動的にバージョンアップすればことが済むので、利用者である企業側は、特に改元の改修対応についてすることはありません。

 ただし、注意が必要なのが企業が独自で開発した情報システムの場合です。この場合、個別のSEやエンジニアが開発をするため、企業側は詳細な仕様・設計などの専門分野までは理解できていないことがほとんどです。つまり、今利用している情報システムが改元の際に元号のデータを一括管理しているかどうかが不明ということになります。

 一括管理とは、元号の情報を一括でデータ参照し、1か所の元号を修正すればすべての元号変更ができるように仕様・設計された情報システムです。Microsoft Windows の日付変換処理がされていれば1か所の元号変更で終了できるケースなどもあります。問題なのは元号表記のあるシステムが、それぞれ個別に元号情報を持っている場合です。

 その場合、見積書、注文書、請求書、領収書など、すべての帳票や情報システム内部の元号を個別で変更する必要があります。同時に、改修後はきちんと情報システムが稼働するかを確認するための単体テスト、総合テスト、運用本番テストも必要です。これを、稼働している本番の情報システムとともに並行で対応するために、バックアップを取り、休日や稼働時間後に対応しなければなりません。

 ですから、企業ごとに独自で開発した情報システムはIT企業、システム開発会社に早急の確認が必要です。その際、図表4でチェックが付かなかった項目は、図表5のアドバイスを参考にしてみてください。

 元号変更や消費税増税などはあくまでも想定できる範囲の改修になります。2000年問題のときのような大きな騒ぎにもならないと思われますが、備えあれば憂いなしです。見直しのきっかけにもなるので、この機会にいろいろと確認してみましょう。

※ Software as a Service:提供者(サーバー)側で稼働しているソフトウエアを、インターネット等のネットワーク経由で、利用者がサービスとして利用できる情報システム


 

『月刊総務』本誌記事:

【総務の現場から】ITを駆使して、スマートに働く。ソフトバンク流働き方改革を実践

2019-04-11 15:30

スーパーフレックスと在宅勤務で働き方を柔軟に

ph_sbcs_01.jpg ソフトバンクグループの原点である個人および法人向けIT関連製品の製造・流通・販売および関連サービスを手掛けている同社。2014年にソフトバンク株式会社から分社したあと、四期連続増収増益を果たしている。働き方改革も以前から推進していたが、2017年、「Smart & Fun!―ITを駆使して、スマートに楽しく働こう―」とのスローガンを掲げて、本格的な取り組みをスタート。「私たちの考える働き方改革は、業務の効率化と、社員がワクワクして働けることの両輪。スローガンはグループ共通ですが、施策自体は個社で行っています」と、コーポレート管理本部本部長の市川隆博さんは話す。
 具体的には、(1)スーパーフレックスタイム制度、(2)在宅勤務制度、(3)Smart & Fun! 支援金の導入の3本セットで進めた。
 (1)は、コアタイムなしで、1日最低1時間の勤務がルール。業務の繁閑に合わせて自由に働き方を変えられるのがいい。
 (2)は、短時間勤務社員対象だったものを全社員に拡大した。原則、週1回出社のルールはあるが、運用は部門ごとに任せている。社員の予定は、社内ポータルサイトの予定管理システムで共有。申請は前日までにすればいい。
 「弊社は、社員の約半数が女性で、短時間勤務のワーキングマザーも多い。これまでは6時間働くために通勤と準備などで2、3三時間かけていたわけですが、在宅ならそれが不要。経営からしても、その通勤時間を仕事に充てる選択肢が用意できるわけですから納得感がある。今、500人近くが利用しています」

社員の意見2,000件を効率的な働き方に反映

 こうした施策を進めると同時に、スマートな働き方を実現するために廃止や改善すべきことを社員にアンケートを取った。「2,000件の意見が上がりました。想像と違ったのは、『長い会議をどうにかしたい』など、日々の切実な悩みや希望が多かったこと。でも、会議の在り方を見直すきっかけにはなった。すべての意見に対して、やめる、続ける、変える、の結論を出して実行していきます」。
 ほかにも、現場レベルでおよそ100の仕事をRPAで自動化。約70人分/月の工数軽減につなげている。
 このように効率化によって捻出できた時間を、自分のスキルアップや趣味の充実に使ってもらおうと考えたのが、(3)のSmart & Fun!支援金だ。用途不問の援助金で、1人に1か月1万円を2年間支給することにした。「社員からは、以前よりも気兼ねなく書籍を購入したり、同僚と飲みに行ったりできるようになった。また健康のためにボクシングや、ダンスを習い始めたなどの声が上がっており、好評です」。

副業を奨励することは定年後の生き方支援にも

ph_sbcs02.jpg さらに空いた時間を生かしてもらえるよう、2017年、副業を解禁。元々、申請のプロセスはあったのだが、Smart & Fun!の取り組みの1つとすることで、より広く認めていくと大々的に発信した。1年間で多数の申請があった。趣味の作曲を副業にした人、キャンプ好きが高じて製品開発のアドバイザーになった人、MBAの学校で講師になった人もいる。興味深いのは、コンサルタント業など、仕事で得た知識や経験を生かしている人も多いこと。「副業を推奨する背景には、定年後の多様な生き方を支援したいとのねらいもあります。早くから副業としてやることで、将来、それを生かしてもらえたらいいですよね」。

社内アワードともひも付け業務改革の意識を浸透

 Smart & Fun!の取り組みは、この2年をもって第1フェーズは終了。成功のポイントには、大きく次の3つがあったと考えている。
●プロジェクトのトップや経営層の意識改革
●意見を現場から吸い上げるためのキーパーソンを巻き込む
●本部長や統括部長など、判断権限を持った人をプロジェクトに入れる
 何よりも大事なことは、全員が本気で覚悟を持ってやっていくこと。
そのために、たとえば、役員の評価に、Smart & Fun!の項目を加えた。年2回の全社キックオフや、四半期に1回の全社朝礼には、必ずSmart & Fun!に関するプログラムを入れた。また、社内アワードの表彰カテゴリーに「業務改革」を加えて、Smart & Fun!の効率化で取り組んだことをエントリーできるようにした。
 従業員満足度調査を見ると、「有給休暇が取得しやすくなった」「組織として業務効率化・改善に取り組んでいる」など、Smart & Fun!にひも付く項目のポイントが上がっている。一方で、在宅勤務者からは「人と話したい」との声も上がってきている。いかにコミュニケーションの量と質を担保するかは課題の1つだ。ただ今後、5Gが本格稼働すれば、コミュニケーションの次元が変わるだろう。全国の拠点と5Gでつなぎっ放しの部屋を作るなど、同社らしくICTを活用した、新しい働き方を考えていく。
 一方、まだ在宅勤務やテレワークに抵抗がある人もいるという課題もある。スーパーフレックスも、業務の特性や管理の方針上、導入できていない部門がある。「それを全社で統一していきたい。いつでも、どこでも仕事はできるのだと、今後も語り続けていきます」。
 さらに、2020年に向けて、今までとは全く違う働き方、オフィスを形にしたいとの思いもある。現在、次なるSmart & Fun!のコンセプトを構想中だ。「形から入るのも大事。たとえば、本社をコミュニケーションスペースとして再定義してみる、など。社長からは、『思い切りやってみようよ』と、いっていただいているので、一度、振り切ったチャレンジをしてみたいですね」。


【会社DATA】
SB C&S株式会社
本社:東京都港区東新橋1-9-2 汐留住友ビル 2014年4月
設立:2014年4月
代表者:代表取締役社長 兼 CEO 溝口泰雄
資本金:5億円
従業員数:1,770人( 2018年4月1日現在)
https://cas.softbank.jp/


 

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい4月のトピックス

2019-03-29 10:25

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●裁量労働制の不適正運用・指導と企業名の公表

 2019年1月25日、「裁量労働制の不適正な運用が複数の事業場で認められた企業の経営トップに対する都道府県労働局長による指導の実施及び企業名の公表について」という通達が厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長宛てに出されました(基発0125第1号)。
 概要は、複数の事業場を有する社会的な影響力の大きい企業(中小企業を除く)による裁量労働制の不適正運用が認められた場合、当該企業の本社を管轄する労働局長が企業のトップに対し、早期に全社的な是正をはかるよう指導し、指導を行ったことを公表するというものです。具体的な指導と公表の要件は、次の(1)-(3)の実態が認められることです。
 (1)裁量労働制の対象労働者の約3分の2以上が、対象業務に該当しない業務に従事していること。(2)(1)に該当する労働者の約半数以上に、労働基準法が定める労働時間、休日労働または割増賃金の違反が認められること。(3)(2)に該当する労働者の1人以上に、1か月当たり100時間以上の時間外・休日労働が認められること。
 要件に該当する企業は、本社管轄の労働局長による指導(代表取締役等経営トップが労働局に呼び出されて局長から指導書を交付される)が行われ、かつ、企業名等(裁量労働制の不適正な運用や労働基準法違反の実態、指導書交付の事実、当該企業の早期是正に向けた取組方針も含む)が公表されることになります。


■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●有給休暇時季指定義務の就業規則記載義務

 2019年4月1日から働き方改革関連法がスタートします。厚生労働省は、改正法を周知するためにQ&Aやパンフレットを公開しています。中でも「労働基準法の解釈について」(基発1228第15号)と「労働安全衛生法等の解釈について」(基発1228第16号)の2つの通達は、Q&A形式で記載されていますので、法律を理解する上で大変参考になります。
 また、厚生労働省のパンフレット「わかりやすい解説」は、時間外労働と年次有給休暇について詳細に解説しており、実務に役立ちます。
 これらの中で指摘されていますが、「年次有給休暇の時季指定義務」は、就業規則へ記載する義務がありますので、パンフレットに記載のあるモデル条文を確認するとよいでしょう。


●同一労働同一賃金ガイドライン最終版

 2018年12月28日、厚生労働省告示第430号として、ついに「同一労働同一賃金ガイドライン」が公表されました。以前から公表されていたガイドライン案から大きく変更されたわけではありませんが、定年後再雇用者の考え方等が付け加えられています。これは、2018年6月の最高裁判決を踏まえたものといわれています。このガイドラインをもって春闘に突入することになりますが、依然として難解なものであり混乱することも予想されますので、労使交渉の動向を注視する必要があるでしょう。


■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●輸入手続きを委託した場合の仕入税額控除

 商品・製品等を輸入するにあたり、その輸入手続きを国内の他社に委託し、その他社が輸入貨物の引き取り者(輸入者)として、いわゆる「限定申告」が必要ではない輸入申告を行い、保税地域からの引き取りに係る消費税(以下、「輸入消費税」)を納付した場合、たとえ当社がその他社の納付した輸入消費税相当額を負担していたとしても、その他社において輸入消費税を仕入税額控除の対象とすることとなります。
 そのため、当社においてはその輸入消費税相当額を輸入消費税ではなく、国内における課税仕入として「輸入消費税額の8%相当額」が仕入税額控除の対象となるため、注意が必要です。


●就職支度金に係る源泉徴収の取り扱い

 会社が人材確保のために転職者等に支払う就職支度金等は、就職に伴う転居のための引っ越し代かつ、その転居等のために通常必要な範囲での実費弁済的性格を持つと認められるものについては、源泉徴収が不要となります。
 ただし、通常必要な範囲を超えている部分や実費弁済の性格を有さないものについては、税務上は役務の提供を約することにより一時に取得する「契約金」に該当することとなります。この場合は「雑所得」としての取り扱いとなり、100万円以下の部分の金額については10.21%、100万円超の部分の金額については20.42%の源泉徴収が必要となります。


『月刊総務』2019年4月号P7より転載

 

『月刊総務』本誌記事:

【総務部門】4月の業務ポイントと行事

2019-03-28 10:07

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◆4月の業務ポイント

▼入社式
▼新入社員の社内研修および配属の実施
▼新入社員オリエンテーションの実施
▼新入社員歓迎会の実施
▼社会保険、労働保険の資格取得・喪失の手続き
▼新年度経営方針の発表
▼組織の改正と発表
▼役職者の任命式
▼次年度新卒者への会社説明会の準備と実施
▼定時株主総会、決算役員会の準備
▼創立記念日・永年勤続者表彰式の準備と実施
▼メーデーの準備と対策の検討
▼各種レク活動費の割り当て
▼春季社員旅行の準備と実施
▼春季健康診断の実施
▼春季防火対策の検討・実施
▼社内報の編集と発行


◆4月の月間&週間行事

▼4月1日-30日
・未成年者飲酒防止強調月間(厚生労働省)
▼4月15日-5月14日
・みどりの月間(林野庁)
▼4月15日-21日
・科学技術週間(文部科学省)


◆世界旅気分

myanmar.jpg▼ミャンマー連邦共和国(Republic of the Union of Myanmar)
 東南アジアのインドシナ半島西部に位置する共和制国家。ミャンマーといえば、熱心な仏教徒が多い国のイメージだが、キリスト教徒やイスラム教徒などもいて、日本で思われているよりも多彩な文化を持つ。ミャンマーの主食は日本と同じ米。豆腐や納豆を食べる地域もあるという。中華料理やインド料理の影響が強く、油で炒めたもの、豚や鶏のカレーなどもよく食べられるそうだ。また、治安は世界でも有数の安全度を誇るという。子供の頃から仏教の五戒(人のものを故意に盗んではいけないなど)という教えが社会全体に意識付けられている。「アジア最後のフロンティア」と呼ばれるミャンマー、古き良き日本の情景が残っているともいわれている。まさに「癒やしの国」、一度足を運んでみては?


【DATA】(外務省HPより)
●人口:5,141万人(2014年)
●面積:68万km2(日本の約1.8倍)
●首都:ネーピードー
●言語:ミャンマー語


『月刊総務』2019年4月号P6より転載

 

『月刊総務』本誌記事:

【総務の現場から】作る過程から会社の思いを共有。従業員巻き込み型のオフィス移転

2019-03-15 18:05

会社の課題や思いをオフィスコンセプトに反映

 money01.jpg2012年創業、「お金と前向きに向き合い、可能性を広げることができる」サービスを通して、より良い社会作りに貢献している同社。2018年7月、本社オフィスを移転。移転プロジェクトは、社長室 デザイナーの金井恵子さん、管理本部 総務グループの植村梨絵さんをはじめとする、インフラ、人事など各部門の担当者10人弱のチームによって進められた。物件が決まったのが2017年の11月。翌年2月にはオフィスのコンセプト、設計が決定し、7月には移転と、かなりスピードが求められるプロジェクトだった。
 そもそもなぜ移転したのか。「オフィスが手狭になり、これからますます従業員数が増えていくこともあって、2か所に分かれていたオフィスをワンフロアにまとめたいとのねらいがありました」と金井さん。植村さんは「移転後のオフィスは3倍ほどに拡張。ここに今、400人ほどが勤務しています」と話す。
 プロジェクトを進めるに当たっては、コンセプト作りに時間をかけた。同社の姿勢やマインドを、働く人にも、訪れる人にも感じてもらえるオフィスにしたいと、まずは社内アンケートを取った。「会社として大事にしていきたいことは何か」「目指していきたい姿は」といった問いへの答えは、今の会社の課題でもあった。元々トップは、「ずっとベンチャーであり続けたい。挑戦し続けたい」との思いを強く持っていた。アンケート結果からも、「ベンチャーマインドを忘れたくない」との声が多かった。そういった思いをくんで作り上げたコンセプトが、「Let's make it !(共に創り、実現しよう!)」だった。「このコンセプトには、弊社がサービスを作っていく上での姿勢、社内だけでなく、ユーザー、パートナーなども含めて、みんなで一緒に世の中に新しい価値を提供していこうとの思いも込められています」(金井さん)。

作る過程から従業員を巻き込むことを重視

money02.jpg コンセプトを反映した空間は、あえて作りかけの内装を残し、工事中のようなデザインにした。また、コンセプトが実感できるよう、作る過程から従業員を巻き込むことを意識した。たとえば、会議室の名前は、社内公募で決定。"マネーフォワード"らしく日本の紙幣に描かれた人物名にした。竣工(しゅんこう)前のオフィス見学や、希望者を募っての柱のペイントイベントも実施した。そのDIY感あふれるカラフルな柱は、トップの要望でもあった「明るく、ポジティブで、温かなオフィス」を象徴する存在になっている。
 新オフィスの特徴としては、執務エリアは壁で区切らずに開放的な雰囲気に。ちょっとした打ち合わせができるスペースや、集中ブース、1on1を行う会議室を増やした。また、高層階ならではの眺望を生かし、執務エリアの窓際はすべてフリーエリアにした。それぞれが好きな場所で仕事をしたり、打ち合わせをしたりと、自由に使いこなしている。このほか、ランチなどに使える開放的なリフレッシュエリアも設置。以前よりもコミュニケーションが生まれやすく、気持ちよく仕事ができる環境となっている。「景色の良さもプラスとなって、従業員の満足度はかなり上がっていると思います」(金井さん)

移転成功のポイントは"ワクワク感"の共有

money03.jpg 移転後は、総務が従業員にアンケートを実施。改善点を吸い上げて、日々、細かな改善を重ねながら運用している。すぐに対応できないものもあるが、アンケート結果は、できない理由も含めてすべて公開している。今後も、「従業員サーベイ」などを通じて、みんなの声を吸い上げていく予定だ。
 移転で苦労したことは、タイトなスケジュールの中で、従業員の納得感を得ながら進めていくこと。だからこそ、みんながワクワク感を持って移転に臨めるよう意識した。社内の掲示板ツールを使って、移転先周辺の飲食店情報を発信したり、工事の進捗状況を公開したりと、Let's make it !感を演出していった。「総務としては、2つのオフィスから1つに集約するということは、物も多いし、人の動きも複雑。何百人に指示を出していくことは大変でした。それでも大きなトラブルなくできたのは、作っていく過程でワクワク感を共有できたことが大きかったと思います」(植村さん)。
 移転は週末に一気に行った。金曜の夜にみんなに荷物をまとめてもらい、土曜日に搬出、搬入をし、日曜日に片付けをし、月曜日には仕事を開始した。オープンの日には、みんなが何事もなかったように普通に働ける、というのが総務の目標だった。見事なチームワークでやり遂げたプロジェクトメンバーには称賛の声も上がっている。一方で、後日ほかの従業員から、「もっと手伝いたかった」といわれ、もう少し巻き込めればよかったとの反省も。とはいえ、今、オフィスはきれいに、大切に使われている。「みんなで作ったことで、愛着を持ってくれているからだと思います」(金井さん)。

目指す総務はお母さん。オフィスはみんなの実家に

 今後の課題は、ビル全体の制約もある中で、従業員の要望をいかに実現していくか。「そこは管理会社との交渉が重要になる。普段から密にコミュニケーションを取って、お願いしやすい関係性を築いています」(植村さん)。その努力のかいもあって、最近、共用スペースに同社の宣伝ポスターを張らせてもらえたそうだ。
 「今回の移転は大変でしたが、楽しかった。みんなが快適に働ける環境を考えることは、総務にとってワクワクすること。私にとって、総務は家庭でいうお母さんだと思っています。困ったときにはオフィスに来て、何でも話せる存在でありたい。オフィスは実家のように、みんながいつでも帰ってこられる場所でありたいと思っています」(植村さん)。


【会社DATA】

株式会社マネーフォワード
本社:東京都港区芝浦3-1-21 msb Tamachi 田町ステーションタワーS 21F
設立:2012年5月
代表者:代表取締役社長CEO 辻 庸介
従業員数:386人(2018年11月末現在)
https://corp.moneyforward.com/


 

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