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Global HR Executive Summit開催報告:ますます重要性が高まるグローバル人材データベース

2015-10-09 08:44

株式会社ワークスアプリケーションズ主催「Global HR Executive Summit 大手3社グローバルHR部門のパイオニアをお招きして」開催

8月5日、東京都千代田区丸の内のステーションコンファレンス東京「サピアホール」で、株式会社ワークスアプリケーションズ主催の「Global HR Executive Summit 大手3社グローバルHR部門のパイオニアをお招きして」が開催された。
セミナーでは、世界各国でビジネスを展開する企業の大きな課題である「グローバル人材の管理・育成」をテーマに、大手3社のグローバルHR部門のパイオニアが人事統括システムをどのような狙いで導入し、どのような取り組みをしているかを紹介。それぞれ「本社」「統括拠点」「現地」と異なった立ち位置から、人材管理や次世代の幹部の育成など多様な目標に向けての試みや今後について語られた。


事例1 株式会社三菱ケミカルホールディングス
「グローバル人材データベース構築のきっかけと今度の展開について」

【ホールディングスが主導し、グローバル人材DBの構築に着手】

三菱ケミカルホールディングスは、連結子会社の約500社、持分法適用会社の約80社を含む計約790社を擁する企業グループ。約130の国と地域に海外現地法人や工場を持ち、国内で約4万5000人、海外では約2万3000人の従業員が活動している。

同グループではHR部門が中心となり、2012年から「グローバル人材DBの構築」に取り組んでいる。その理由について、講演を行った執行役員の二又一幸さんは「事業がグローバル化するにつれて、マネジメントシステム整備、なかでも人事に関する整備の必要性を年々強く感じるようになったため」と話す。

そこでホールディングスのHR部門が中心となり、人材に関するシステム作りに着手。これにより日常の人事業務の効率化、そしてゆくゆくは「今まで各国がそれぞれ管理していた評価や職務グレードの統一」「国内外から優秀な人材を選抜して育てる本社ベースのグローバルな人事DBの構築」などを目指している。

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株式会社三菱ケミカルホールディングス
執行役員  二又 一幸さん


ホールディングスに席を置く二又さんは、目標達成に向けてまず、現場でデータを収集する各事業会社の担当者たちと以下のようなDBのフレームを作っていった。
●対象会社と範囲
国内外の連結適用会社の現在の経営層から部長クラスとその後継者候補。データ量との兼ね合いを考慮して、まずトップから3階層、規模の大きな会社は4階層までを対象にする。
●対象データ 
個人の基本情報、顔写真、評価といった基本的なデータ。海外拠点では「今後はこういう
ことをしたい」といった自己申告など、情報を順次拡充していく。

DB構築に使うシステムは、国内の事業会社が採用している株式会社ワークスアプリケーションの「COMPANY®」をベースにすることにした。運用については「国内の会社は毎月、海外は四半期ごとに情報を更新」「「COMPANY®」を利用している事業会社のデータは自動連携で情報を吸い上げ、別システムの場合はCSV形式で所定のデータを取り出してファイル転送で取り込む」など、イメージを作っていった。

【現在の課題と取り組み】

2014年から人材DBを稼働させたが、課題はまだ多い。言語の問題はなかなか解決していないうえに、セキュリティをはじめとしたネットワーク接続の問題や海外の個人情報保護規制もある。これらは今後も解決に向けて活動を続けていく。

現在手がけていることと今後の展望については、「サクセッションプランをベースにした仕組み作り」と「シェアードサービス化による業務の効率化」が挙げられた。

●サクセッションプランをベースにした仕組み作り
世界各国のグループ内の主要ポストを300選択する試み。この300のポストについて各事業会社にサクセッションプランを依頼し、次世代や次々世代にポストに就く候補者を挙げてもらうなど。「ポスト就任の候補者がいない」「この社員に次のステップを与えたいけれど、配置先が見つからない」といった状況を共有する。それによりホールディングスの人事は、事業会社の垣根を越えて優秀な人材の異動や育成の場の提供など、様々なサポートをする機会も生まれる。

●シェアードサービス化による業務の効率化
国内でシェアードサービスを進めているので、中国拠点でも「COMPANY®」を導入して蓄積してきたノウハウを活かしながら、各拠点の業務の効率化を目指す。将来的には、北米やヨーロッパでのシェアードサービス実施も検討する。

今後も二又さんたち担当者は、国籍や性別に関わらず、各人の実力と適性に応じた「最適な配置」の実現を目指し、仕組み作りに挑んでいくという。


事例2 Sojitz Asia Pte.Ltd.
「統括拠点における地域目線でのグローバルマネジメント - アジアにおける人材マネジメントの実践と課題 -」

【地域の統括拠点が手がける人材の管理と戦略】

双日株式会社は国内の拠点が7(支店、国内法人等)、関連会社は113社。それに対して海外拠点は84、会社数は297社を持つ。アジア・大洋州地域を担うSojitz Asia Pte.Ltd.(以下「双日アジア」)が統括する会社だけでも11か国に9法人、22拠点に約670名の従業員が活動している。

ビジネス同様、人材に関しても求められる戦略は常に変化している。講演を行った双日アジアの人事総務部GMでシンガポール駐在の池本健一さんは「従来と同じ人材戦略では、持続的成長の確保は難しいと考えました」と話す。そして同社は2008年から、現地で新たなビジネスの種を見つけ、育てることができる人材の育成を実現するために「グローバル人材戦略(Global HR Strategy, GHRS)」を推進している。

GHRSでは本社・地域の両面から各種施策を実施している。本社主導施策の一例が、日本語のスキルを問わず海外の優秀な人材を本社の新人として採用するグローバル採用。採用後は日本語教育を行い、日本側の新卒者と一緒に研修し、配属、育成していくものだ。ほかにも「JET採用」(※)や日本への留学生の採用にも力を入れている。また、海外スタッフを将来のGM候補とマネジャー候補の2階層に分け、本社で集合研修を実施。逆に本社人材の海外でのトレーニングも展開。こちらは1-2年の長期で行うものと、入社5年以内の若手を対象に出張ベースで3-6か月行うものとがある。

(※)The Japan Exchange and Teaching Program

一方、地域統括拠点である双日アジアでは、以下のような独自の人材施策を推進している。
●獲得 部署ごとの人材戦略に基づく採用活動を展開。
●育成 海外スタッフ向け研修の体系化。育成対象人員を選出し、個別育成計画の策定・実施。
●活用・維持:シンガポール、タイ、インドネシア等、大規模拠点での新人事制度導入。海外スタッフのGM、DGM(Deputy General Manager)への積極登用。業務経験の幅出し、キャリアアップを目的とした、域内他拠点への駐在など。

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Sojitz Asia Pte.Ltd. HR & General Affairs Dept.
General Manager 池本 健一さん

【統括拠点が軸となって域内人材管理をシステム化】

一口に「アジア」といっても、国毎の事情は多種多様であり、人材施策は各拠点の個別ニーズと向き合って進めていかざるを得ない。そのような状況下、地域を面で捉えた施策の一環として、同社では「各拠点の業務効率化」「人材情報の一元管理」を目的とした人材データベースの構築に着手。システムを使って各拠点からリアルタイムな人材情報を吸い上げるとともに、拠点が自身の人材管理インフラとして活用できるデータベースを作ろうと、2013年10月からプロジェクトを始動した。

ただ、開始当初はデータベース構築の大まかなイメージはあっても、詳細な運用プランは未定の状況。そこでまずはシステムの機能を絞ってスタートし、徐々に機能を拡張しようと考えた。データベース構築のツールは、多種多様な機能がパッケージ化され、ユーザーのニーズに応じてシステムを追加開発できることが決め手となり、「COMPANY®」を選択した。

現在は、データベースを構築し、内容を参照して活用できる状況にまで到達。統括拠点と各拠点間でのリアルタイムな情報収集が可能となった。また、本社側での地域人材情報の随時把握、各種依頼事項へのスピーディな対応、といったメリットも生まれたという。

人材データベースをここまで形にしてきた池本さんは、運用に関して「統括拠点が『主導』するだけでは、域内各拠点はフォローしてくれない。まず統括拠点が成功モデルとなり、取り組みのメリットや意義を明確にしたうえで、各拠点に理解してもらう必要がある」と話す。そして今後はこのシステムをグローバルな人材管理ツールとして活用範囲を広げ、会社の収益に貢献できるように育てていこうと考えている。


事例3 住友電工管理(上海)有限公司
「現場主導でのシステム革新! 業務効率化と現地化推進を目指して」

【グローバルに活躍できる人材育成のニーズ】

住友電工グループはアジア・アメリカ・欧州など、世界30数カ国に約350社の連結会社を持つ企業集団。住友電工管理(上海)有限公司は2015年で10周年を迎え、香港・台湾を合わせた中華圏のグループ会社78社のサポートを行っている。中華圏は、売上比率を伸ばし、年々重要性を増すエリアだ。

同グループは、2011年よりグローバルHRMポリシーを掲げ、グローバルに活躍できる人材を登用・育成する方針を打ち立て、幹部人材の把握、グローバルリーダーの選出などを世界共通のDBで管理する取り組みを行っている。
しかし、始動すると様々な課題が出てくる。講演を行った人事総務部、島谷さんは「中国は国土が広く、会社数はグループの約20%に達するくらいの大きな規模。地域ごとに特有の文化や慣習もあり、グローバルな枠組みに収まらないことが出てきます」と話す。

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住友電工管理(上海)有限公司  人事総務部
経理 島谷 祐介さん

人件費の高騰や労務派遣利用の規制、中国短期滞在者の査証に関する新規定、時間管理の適正化といった政府や当局に関する変化が大きいなど課題は多々あり、難易度の高い労務マネジメントが求められている。グループ内でも、人員や拠点数の拡大や現地の経営を任せられる人材の育成ニーズは重要な課題で、人材DBの必要性は高まるばかりだ。

そこで同社は、人材管理システムのブラッシュアップを開始。グループ共通の人事管理システムであり、高い拡張性やインターネット経由で利用可能なWEBシステムなどの機能を持ち、中国全土で利用可能といった理由で「COMPANY®」の導入を決めた。

【まず成功事例とノウハウの蓄積をし、中国の拠点に展開】

導入は最初に同社が全モジュールを先駆けて検討、導入。続いて「法律により絶対にやるべきこと」「労務管理上やったほうがいいこと」を整理し、枠組みを構築して使い方のルールを作っていく。そのうえでノウハウを蓄積し、各社にフィードバッグして効率的に使えるようにサポートしようと考えた。

導入は3段階に分けて考えている。
●計画フェーズ
・プロジェクト立ち上げ[成功(稼働)基準、実行ロードマップ、組織整理など]
・実行の準備[実務要件の可視化、マスタ・パラメータ整理、周辺用件整理など]
●実行フェーズ
・計画の実行(設定・検証作業、インフラ整備・調整、教育・展開実施、オペレーション整理)
●評価フェーズ
プロジェクトの集結(結果分析、計画をもとに振り返り、次フェーズ計画作成)

プロジェクトは2014年11月に始動。年明けから中国の各拠点でスタートし、現在は「実行フェーズ」の過程。進捗状態は順調で、すでに人事情報の把握と共有化、就労システム等による業務効率化、決算フローの管理強化などの効果が上がっている。たとえば勤怠集計については、データベースの活用により集計業務の簡素化を実現。労働時間の統計表といった周辺資料の作成もすぐにできるという手ごたえを感じている。

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住友電工管理(上海)有限公司  人事総務部
左 冰さん


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3社の講演に続き、株式会社ワークスアプリケーションズより、「COMPANY®」が全世界37か国での導入実績、グローバル人事に求められる「競争力の向上」「コスト削減」の強いサポート力が期待できること、国内と同じ仕組みで海外拠点も管理できるなどのメリットについて話があった。その後のデモンストレーションでは、実際に様々な機能を紹介し、利便性の高さについてわかりやすく伝えられた。

株式会社ワークスアプリケーションズ ホームページ

 

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