総務のトピックス

イベントレポート:

第2回「人を大切にする『良い会社』ベンチマーク」リポート【アクロクエストテクノロジー】

2016-03-15 18:10

acro01.jpg

創業時から人事に携わり、夫である社長の流さんとともに「社員が気持ちよく仕事し、成長できる」環境づくりに尽力してきた新免玲子さんに、今までの取り組みやポイント、成果についての講話をしていただいた。

●納得するまで話し合い 決めたことはすぐ行動

acro02.jpg

 働きやすい会社を作りたい、と社員たちと試行錯誤を行ってきた弊社が、昨年は「働きがいのある会社」国内ランキング1位(*)に選ばれました(編集部注:ベンチマーク開催後、2016年も連続で1位を受賞されました)。さらに第5回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞では審査委員会特別賞もいただきました。「技術」の会社ですが、社風の取り組みでも評価していただき、光栄に思っております。

 私たちは「何でもみんなでオープンに話し合う」のが基本。各自の考えをしっかりと述べ、納得するまで時間をかけて議論します。給与や賞与についても、社員がお互いを査定して話し合いで報酬を決める「ハッピー査定360」という仕組みを実施しています。
 社内ルールについても同様です。たとえば15年前には社内での喫煙が議題にあがり、討論の結果、全社禁煙が決定。ヘビースモーカーだった社長も、きっぱりたばこをやめました。その際、喫煙者は採用の対象としないことも決めました。当時は画期的なことで、社外から「応募者が減るのでは」とのご心配をいただきました。しかし「ポリシーをしっかり出しているところがいい」と、より優秀な人材を採用できるようになったのです。以後、全社禁煙は続いており、これが評価されて昨年は第4回「健康寿命をのばそう!アワード」厚生労働省健康局長優良賞もいただきました。

 このように全社員での話し合いは、私たちの重要な文化。ただ話すのが苦手な社員もいます。そこで「どうすれば話しやすくなるだろう」についても、考え、多様な施策を展開しています。

●社員がしっかり学び、大いに楽しめる場を用意
acro03.jpg

 小さな会社は人材教育が大切と考え、私たちは年間100以上の「EDU(社内講習会)」を開催しています。講師は社内の技術者です。内容は録画してサーバーにアップし、出席できない人は自宅や空き時間に学べるようにしています。一方、社外でのセミナーに参加する際には補助金を支給。受講後は、社内のフィードバック会で知識や情報を共有しています。

 また、人を育てるには、学びの機会と同時にコミュニケーションの場も重要です。当社では常に相談や情報交換などができる仕組みのほか、同期でのランチ会、退社後の懇親会、社長宅のパーティーなど、さまざまなコミュニケーションの機会を設けています。
 働きやすい環境は上司側が作らなければなりません。しかし管理者側だけでなく各自が声を出し、会社全体で構築していくことが重要と考えています。

*世界49か国での調査結果を基に発表される「Great Place to Work」の従業員25-99人部門で受賞


acro04.jpg

acro06.jpg


● アクロクエストテクノロジーがこれまで取り組んできた「会社を元気にするための」
   仕組みやノウハウをもとに「組織いきいき実践勉強会」を開催します



「働きがいのある会社」ランキング(GPTW)で、2015年、2016年と2年連続で1位を獲得
し、『月刊総務』主催の「人を大切にする『良い会社』ベンチマーク」にも登場したアクロクエストテクノロジー株式会社が、指導本や組織論の座学などでは得ることのできない、実践を通した勉強会を4月に開講します。

勉強会のプランや日程など詳細はこちらから。




(『月刊総務』2016年4月号P44-45より抜粋して掲載)

 

イベントレポート:

Web社内報、どう使う?

2016-01-13 13:39

topics20160113_03.jpg「読まれる社内報セミナー」二回目が開講

冊子タイプの「紙の社内報」から、イントラなどを使った「Web社内報」へ。そんな動きが高まっている。一方で、「Web社内報を再び紙の社内報に戻した」という企業も。はたして、Web社内報は社内コミュニケーションの活性化に本当に役立つのか?
神戸商工会議所の社内報研究小グループ(神戸市)が12月17日に行った定例会では、社内報のアウトソーシング事業を行うウィズワークス株式会社の豊田健一・社内報事業部長が「Web社内報の使い方」について講演した。セミナーは10月に引き続き二回目。

Web社内報と紙の社内報はどう違う?

社内報と紙の社内報の違いは、ペーパーレスかどうか。これが極めて当たり前の答えだが、豊田は、そもそもWeb社内報と紙の社内報は「機能」が違うと強調。「Webには情報をスピーディーに伝達する機能がある一方、紙にはじっくり読ませる機能がある」と話した。
費用削減の観点から、印刷コストがかからないWeb社内報へと移行する企業は多い。しかし現状を見ると、Web社内報だけで社内広報活動が成功している企業はまれで、ほとんどがWebと紙の両方を活用しているという。豊田は「Webも紙も、社員に何らかの行動を起こしてもらうのがゴール、という点に変わりはない。両方のメリットをうまく活用し、行動に結び付くメディアにすることが大切」と述べた。


Web社内報の「強み」と「弱み」

ところで、Web社内報の機能的なメリット、デメリットとは何だろうか。以下、豊田の話をもとに一覧にまとめた。

     <Web社内報の特徴>
topics20160113.png


「読んでもらえない」と嘆く前に

プッシュ型メディアである紙の社内報と違い、プル型のWeb社内報は「アクセスしてもらう」というひと手間が必要なため、読ませるのが難しいとされている。しかし豊田は「読んでもらえないと言う前に、Webの強みを生かし、その機能を使い倒すことが大事」とし、以下のような手法を挙げた。

「読む」より「見る」ほうを重視する
・・・ Webは短時間で情報を伝えるメディア。写真をうまく使い、まず「見せる」ことが重要。そこから文章へと誘導する。

計測機能を活用
・・・アクセス数、スクロール率、滞留時間などから、どの記事に関心か高いか測定できるのがWebの良さ。見出しのつけ方でこれらの数値がどう変わるかなど、さまざまな "実験"が可能。


こんなWeb社内報が効果を上げている

ある企業によると、Web社内報は「始業の5分前、昼休みの5分間が、最も読まれる時間帯」だという。短い時間でぱっと読める工夫が必要なほか、「部署や氏名を入れたり、呼びかけ型の文章にすると効果的」と豊田。また、成果を上げている具体的な事例も紹介した。

(事例1)メディアをミックスさせる...取り上げているテーマはまったく同じだが、Webには事実を、紙には背景や思いを掲載することで、Webと紙とを連動させている。別の企業では、紙では取り上げきれなかった情報をWebに掲載し、情報の補完に活用している。

(事例2)サイネージとの連携...ネットワークとつながったディスプレイでWeb社内報のコンテンツを常時発信し続け、関心を引く。動画だとなお効果的。

(事例3)端末を持たない社員への対応...PCがなくWeb社内報を閲覧できない社員に、一ヶ月ごとに情報を集約したものをプリントアウトして配布している。壁新聞化して貼り出す企業も。


Web社内報を行動につなげるには

いずれにせよ、社員に「仕事に役に立つ」「見てワクワクする」という思いを抱いてもらうことが、読んでもらうための第一歩。そのためのポイントとして、豊田は以下を挙げた。

・ 写真が多い...人物写真にポインタを置くと、その人の「大事にしている物」がポップアップで見られるといった工夫も有効。

・ 「自分に役立つ」と思わせるタイトル...例えば「知っておきたい」「今すぐチェック!」など、必要性や緊急性を感じてもらえるタイトルが伝わりやすい。数字が入っているタイトルも目に止まりやすい。

・ 掲載されてうれしいメディア...写真の撮り方や文章のクオリティを高め、載ることがうれしくなるメディアへと育てていく。投稿型サイトでは、投稿へのリアクションを周囲に依頼するのも一つの方法。


ワークスタイルを変えていく

豊田は、セミナーのまとめとして「Webの場合も紙の場合も、読まれるコンテンツづくりのポイントは同じ。ただし、機能の住み分けは必要だ」とアドバイス。また、社内報などのメディアを使って、問題の自覚→行動の変化→習慣化といったプロセスを生み出し、ワークスタイルの変革を促すことも重要だと語った。

topics20160113_02.jpg

次回のセミナーは2月26日に開催予定。「グローバル社内報」をテーマに、社内報の世界展開について語られる。

 

イベントレポート:

障がい者×コラボレーションが生み出す新しい価値
「京都ショコラボ」オープニングイベントレポート(後編)

2015-12-24 10:37

前編に引き続き、2015年9月9日に行われた「京都ショコラボ」オープニングイベントレポートの様子をお届けします!


【パネルディスカッション1】
社会的責任を善意で果たす会社なら 社員のモチベーションもアップする

■ルールがないと障がい者を雇用しない日本

choco_03.jpg基調講演に続くパネルディスカッションでは、坂本教授、伊藤さん、黒岩さんの3名が登壇。障がい者雇用の社会的義務について意見が交わされた。

坂本教授は「善の事業は成功する」とし、岡山県総社市や静岡県掛川市で行われた市長選の例を紹介。
「どちらの街も『障がい者雇用率を全国で一番高い街にします』と表明した立候補者が当選しました。市民の民度の高さにも感心しました」とコメントした。

一方で、都道府県など自治体が、障がい者就労施設と優先的に取引を行うべきとした「優先調達推進法」の徹底が、地域によってバラツキがあることを指摘。

「中には、うちの町には障がい者を就労している施設がないから取引ができません、などと平気で言う町もある」と言及した。

さらに、北海道の山間部にある繊維会社の例も紹介。
「事故で両腕を失った障がい者が、自分と同じように働く場所がない障がい者のために作った会社です。障がい者が、障がい者の働く場所を作らざるを得ない社会。日本はこのままではおかしな国になってしまう」と顔を曇らせた。

choco_03_2.jpgそれを受けて伊藤さんは「障がい者を雇用するとき、義務だからと考えている企業もある。法定雇用率で決められているから、あるいは社会の風潮が厳しくなってきたからといった理由で、仕方なく雇用する」と指摘。

「外資系の企業と取引をすると『日本はルールがないと障がい者を雇用しないの?』と驚かれます」と話し、「欧米やヨーロッパのエクセレントカンパニーではごく当たり前のこと。『罰金を払っている企業なんて本当にあるの!?』と聞かれ、とても恥ずかしい気持ちでした」と語った。

一方、黒岩さんは「専門学校で料理人を目指す生徒たちに就職案内をする機会があるのですが、そこでショコラボの話をすると、興味を持って詳細を聞きに来た学生が数名いました」と発言。

「みんな家族に障がい者を持つ子ばかりでしたが、彼らにしてみたら、自分の好きな料理の道を目指しながら、家族のために福祉にも携われる。そういう働き方を求めている健常者もいるのだと気付きました」と話した。

■社員を動かすのは義務ではなく善の気持ち

伊藤さんは「障がい者を雇用するのはいいことだ」と人間が感覚的に感じている心理を前提に、「障がい者雇用に会社ぐるみで取り組んでいたら、社員は自分の会社を誇れると思う。そうなると内発的に、この会社に貢献したい、この会社を発展させたいとがんばってくれるようになるのでは?」と提言。

それを聞いた黒岩さんは、「毎年社内でバーベキューを行っているのですが、僕が『来年はショコラボのメンバーも誘いたいな』と言うと、『そういうことをする会社に勤められてすごくうれしいです』とスタッフがとても喜んでくれた」と発言。
会社の在り方、社会的義務の果たし方が、社員のモチベーションに影響する例を紹介した。


■誰もが持っている思いやりの気持ち

午前のパネルディスカッションのまとめとして、坂本教授から、障がい者も含め誰もが当たり前に働き、生活できる社会を築くためのヒントとして、神奈川県横浜市の学校法人池谷学園 冨士見幼稚園の事例が紹介された。

冨士見幼稚園では、「統合保育」として、障がい児と健常児が共に生活し、お互いに理解しながら共に生きることを学ぶ保育を1965年から実践している。
そんな環境で学んだ卒園生たちは、自然と多様性を認め、お互いを思いやり、助け合うことを身に付けている。

坂本教授は、冨士見幼稚園を視察した際に園長の玉川さんからうかがったエピソードを紹介した。

「卒園した子供たちが、小学校の入学式で偶然に前後に並んだようです。そこに、別の列にいた自閉症の子どもが列から離れ、二人の間に割り込んできて、慌てて元の列に戻そうとした先生に、『僕たちが入学式が終わるまで見ています』と答えたのだと」


【パネルディスカッション2】
食を通したコラボレーションが生み出す あらゆる問題の解決策

■プロのノウハウが商品価値を高める

choco_04.jpg午後のパネルディスカッションでは、京都ショコラボの隣に工房を構える、株式会社YOKOITOの中島佑太郎さんも登壇。
小規模のものづくり支援・プロデュースを行う中島さんと、岡村さん、黒岩さんが、コラボレーションが生み出す新しい価値について語り合った。

黒岩さんは、障がい者の就労施設にプロの技術やノウハウを投入すれば、商品に適正な価値が生まれると発言。
「たとえばチョコレートでも、作る工程で『ここはこうした方がいいんじゃない?』というちょっとしたアドバイスを与えるだけで、生産性も商品の価値もぐっと上がる。ちゃんとおいしいものが作れれば、適正価格で販売できるようになります」と、商品価値向上のためにプロの技術が生かせると力を込めた。

また、ショコラボの新たな展開として、オリジナリティも追求していきたいとコメント。
立地を生かし、京都ならではの野菜やフルーツを使用した商品の開発や、企業の周年イベントや記念日などに対応できるオンリーワンの抜き型も用意したいと話した。

それを受けて中島さんは「うちは、小規模でオリジナリティのあるものづくりをサポートする会社。オリジナルの調理器具製作などは、ぜひ協力させていただきたい」とコメント。
さらに「作り手を生かすお手伝いが私たちの仕事。たとえば調理器具でも、障がい者の方が効率よく作業できるように、要望や不便を聞きながら改良を重ね、1つでもオリジナル製品を作っていけたら」と新たな事業展開に意欲を見せた。

■異質に見えるコラボが生み出す問題解決

choco_04_2.jpg一方、岡村さんは「日本は、多様と言いつつも似通った人が集まる傾向がある。でも、その中では進まない問題もあるので、違う職種や立場の人を交差させたいと思っています」と発言。

「たとえばKYOCAは、京都市中央卸売市場のお膝元にもかかわらず、市場を通さない販売形態の八百屋がテナントで入っています。この八百屋は、耕作放棄地の活用で日本の農業を復活させようとがんばっているベンチャー企業なんです。形は違っても、農業を何とかしたいという想いが同じだからこそ入居が実現しました」と、KYOCAのコラボレーションの事例を紹介した。
「食という本質的な共通項を見つけて大きな問題を解決していくのが、このビルで行っていきたいコラボレーションです」と想いを語った。

黒岩さんは「KYOCAがきっかけでショコラボに興味を持ってくれる人も、その逆もあると思う。さまざまな人が集まるKYOCAはインプット・アウトプットをする場所としても最適です。どんなコラボレーションが生まれるか、いろいろと考えていきたいですね」とコメント。

岡村さんは、「障がい者も含めた多様な人たちがコラボレーションして、あらゆる問題を解決できる大きな化学反応が起これば、と思います」と力を込めた。

(『月刊総務』2015年11月号「特別企画」記事に加筆・修正)

 

イベントレポート:

障がい者×コラボレーションが生み出す新しい価値
「京都ショコラボ」オープニングイベントレポート(前編)

2015-12-21 10:29

障がい者の自立支援を目的としたチョコレート工房
「京都ショコラボ」がオープン

障がい者の就労支援を目的に、健常者と障がい者が協働してチョコレート菓子の製造・販売を行う「ショコラボ」(神奈川県横浜市)。その2号店となる「京都ショコラボ」が2015年9月9日、食×デザインをテーマにしたビル「KYOCA」(京都府京都市)にオープンした。前日にはオープニングイベントも開催。多くの来場者が詰めかけ、多様性・個性が認められる社会作りや、コラボレーションからイノベーションへという、これからの組織作りに欠かせないキーワードについて考えた。


【基調講演】
企業としての在り方が問われる 社会的責任の果たし方

choco_01.jpg

イベントは、門川大作京都市長の挨拶からスタート。
門川市長は「食べて体にやさしいチョコレート、買って心にやさしいチョコレート、職場見学してワクワクするチョコレート、作って地球にやさしいチョコレート」というショコラボのコンセプトを、「すばらしい」と賞賛。「京都にショコラボを作るという話を耳にしたときからワクワクしていました」と声を弾ませた。

さらに「ビジネスの手法を使って、あらゆる社会的課題を解決しようと行動するみなさまに、改めてお礼を申しあげる。障がいのあるなしに関係なく共にイキイキと暮らせる社会作りを、いっしょに考えていきたい」とコメントした。

choco_01_2.jpg続いての基調講演では、「人を大切にする経営学会」会長であり、『日本でいちばん大切にしたい会社』の著者である、法政大学大学院教授の坂本光司さんが登壇。坂本教授はまず、自身と自身の研究室に所属する社会人学生とともに執筆した障がい者雇用に積極的な企業を集めた著書に届けられた、障がい者の母親の声を紹介した。
「子供の行く末を考え、眠れない夜がたびたびあった。しかし、こうした企業があることを知り、夢と希望が持てた。これからもこんな企業をたくさん紹介してください」。

坂本教授は、こうした声が障がい者の就労支援を行う人の背中を押してくれると語った上で、「障がい者として生まれることを望んだ人も、障がいのある子供がほしいと願う親も世の中にはいません。しかし現実として、日本には、およそ800万人の障がい者がいます。割合にすると15人から16人に1人。つまり、今は家族に障がい者がいなくても、孫やひ孫で障がいのある子供が生まれてくる可能性は十分にあるのです」と強調。

さらに、「現在、日本の障がい者雇用率は2%。法律では、常用雇用50名以上の企業は、障がい者を2%雇用するよう定められているにもかかわらず、約55%の企業はその法律を守っていない。罰金を払うことで社会的責任を果たしたと言っているのです」と、企業の在り方に問題を投げかけた。


【施設見学】京都ショコラボができるまで

■月給3000円では、息子は生きていけない

横浜ショコラボ会長の伊藤紀幸さんが、障がい者の就労支援を考えるようになったきっかけは、障がいのある長男が入学した養護学校での教諭との会話だという。
初めての参観日で進路について尋ねたところ、返ってきたのは「基本的に就職はできません。もし就職できても月給は3000円です」という答えだった。

銀行や格付け会社など金融ビジネスの最前線で活躍していた伊藤さんだが「自分が死んだら、息子は生きていけないではないか」と考え、思い切って脱サラ。不動産鑑定会社を立ち上げ、そこで生計を立てながら、障がい者の就労支援施設設立へと動き始めた。

そして10年後の2012年、障がい者と健常者が共に働くチョコレート工房「ショコラボ」をオープン。そこに見学に訪れたのが、大阪を中心に、京都、パリなどに5店舗を展開する、フレンチレストラン「ル・クロ」のオーナーシェフ、黒岩功さんだ。

■プロの参入がブランディングになる

黒岩さんとショコラボをつないだのは坂本教授。
人の可能性を信じる黒岩さんの人材育成術を本で知った坂本教授が「ぜひ、一度会いたい」と、大阪の黒岩さんのレストランまで足を運んだことがきっかけだった。
坂本教授は「プロとしての確かな技術があり、人の個性を大切にするあなたのような人が福祉の世界に来てくれたら、福祉は大きく変わる」と黒岩さんに助言。黒岩さんは、そこから順に各地の福祉事業所を訪問した。
その一つがショコラボだった。

そんな中、ショコラボの技術監修者が突然退職。
その跡を引き継ぐ形で、黒岩さんが技術監修の任に就く。ショコラボとかかわるうちに黒岩さんは「プロによるブランディングと営業力があれば、ショコラボはもっと大きく展開できる」と確信。

また、伊藤さんの「障がい者が一生懸命作ったから買ってくださいというスタイルは望んでいない。ちゃんとおいしいものを作って、商品価値のあるものを販売していきたい」という理念にも共感し、全国展開を目指す第一歩として、関西出店を考え始めた。
そして知人を介し、KYOCAプロデューサーの岡村充泰さんと出会う。

■食を通じたコラボレーションで化学反応を起こせれば

choco_02.jpgKYOCAは「京都市中央卸売市場」の運営を請け負う京都青果合同株式会社(京果)のビル。耐震構造への不安から、取り壊しが決まりかけていた。そこを岡村さんが「京果らしさを生かし、食とデザインをテーマにしたビルとして展開してみては?」と提案。
食を通じてあらゆるテナントが集まるビルへと生まれ変わらせた。

岡村さんの考えるKYOCAのコンセプトは、ソーシャルビジネスの発信の手助け、また、食を通じて人と人が出会い、コラボレーションの可能性が広がる場所。
そのコンセプトと黒岩さんの方向性が合致したことから話は進み、KYOCAの2階に「京都ショコラボ」がオープン。工房は、車いすが往来しやすいように動線が確保され、天井の電球は、すべて形が違うものを黒岩さんが用意した。

そこには「形が違っても輝きは同じ」という、多様性を認める社会へのメッセージが込められている。


後編に続く

 

イベントレポート:

社会課題をチャンスに。感度を高めて協働をリードする総務部門へ
:CSV時代の総務のあり方を学ぶイベント(1)

2015-11-30 14:32

第25回総務サロン「共有価値創造(CSV)時代の総務部門の役割とチャンス」開催

2015年10月15日、第25回総務サロンがウィズワークス株式会社にて開催された。今回は「共有価値創造(CSV)時代の総務部門の役割とチャンス」をテーマに、ミニセミナーと公開ダイアログを実施。あらためてCSVという経営戦略について、またそこに深く関わってくる地方創生、日本創生という課題について、総務部門の担当者が理解を深め、自社の事業に活かすためのヒントが得られる貴重な機会となった。
(取材・文:石田ゆう子)


発信型三方よしによる協創力が稼ぐ時代

2015113001.JPG基調講演は、『月刊総務』連載「経営感度を磨く社会の読み方」でお馴染み、株式会社伊藤園 常務執行役員 笹谷秀光さんを講師にお迎えしてのミニセミナー「発信型三方よしによる協創力が稼ぐ時代」。笹谷さんは、CSVのいっそうの理解促進と、ビジネスに直接役立ててもらうことを狙いに、新著『協創力が稼ぐ時代 -- ビジネス思考の日本創生・地方創生』を上梓したばかり。その内容にも触れながら、「CSV」とは、「協創力」とは何であるか。それがいかにビジネスにつながっていくのか。そして、そのリード役を総務部門が務める意義などを説明された。

今や企業も自治体も、全ての関係者の力を結集しなければ、明日の日本は語れない時代。元官僚、現企業人の笹谷さんだからこそ、両方の目線があり、橋渡し的な機能が果たせると、『協創力が稼ぐ時代』を設計したという。協創力とは、連携・協働で新たな価値を創造する力のこと。自分だけで何とかしようではなく、自分さえよければいいでもない。協働のプラットフォームによって、共有価値を、新たなイノベーションを生みだす。それを学びながら発信もしていく。そうしたことが稼ぐことにつながる時代になったのだ、と、笹谷さんは、「協働と発信で革新を呼び、利益を生み出す共有価値創造の日本型戦略」を示された。


新グローバル時代の到来。勝負はあと5年

キーワードは、「新グローバル時代のインバウンド・クールジャパン・情報通信技術活用・国際都市東京・地方創生」。ここに新たなビジネスチャンスがあるという。グローバル時代に「新」をつけたのは、ここ数年の変化を受けてのこと。立て続けに認められたユネスコ文化遺産や東京五輪・パラリンピック招致の成功。日本は、世界に通用する価値観「持続可能性」に訴えて認められた。この持続可能性への理解を深めること、また、急増するインバウンド、進化する情報通信技術に対応することが必須となった今、もはやかつてのグローバル化では追いつかない。「新グローバル時代」に入ったと、待ったなしだと、笹谷さんはいう。2020年までが勝負。ちょうど地方創生の5か年計画(総合戦略)ともリンクしている。5年間で何ができるかを考える。地方を元気にして、国際都市東京を作って、両方を合わせて日本を創生するというのが、今の日本人にとっての課題設定だ。ターゲットが決まった時の日本人は強いと、笹谷さんは言葉を強くした。


「産官学金労言」で複雑化する社会課題の解決を

では、企業はどうすればいいのか。ここまで社会課題が複雑化すると、企業一社で解決できる時代ではない。世間と一緒にWIN-WINの関係を築くことが重要だ。ここで笹谷さんは、CSRを「企業の社会的責任」と訳すのは、どこか受身的な、狭義の捉え方になるので、本来の意味の「企業の社会的対応力」と捉え直したと説明した。その社会的対応を誰と行うか。「産官学金労言」で行う。みんなで知恵を出し合って協創力を創る。協創力とは、英語でいえばコラボレーション。そこにはプラットフォーム(活動の共通基盤)が必要となるが、すでにいくつもの成功事例が出てきている。『協創力が稼ぐ時代』では、そうした多くの事例をストーリーを交えて、わかりやすく伝えていると笹谷さんは説明。その中から一つ、福井県鯖江市の「学生による地域活性化プランコンテスト」が紹介された。これには、鯖江市、地元商工会議所、信用金庫、企業、福井新聞、学生など、まさに「産官学金労言」が参加している。活性化された鯖江市からはすでに新しいことが生まれている。眼鏡のまちとして知られる同市だが、最先端のウエアラブル端末や医療用眼鏡に進出し、世界を目指している。IT企業もどんどん誘致している。ビジネスのチャンスがそこにはある。


キーワードは「環境にやさしい、人にやさしい、社会にやさしい」

こうしたプラットフォームに参加する企業は、慈善活動ではなく、本業を活用して、利益と社会価値を同時に実現することが重要となってくる。それを提唱したのが、マイケル・E・ポーター教授の競争戦略「共有価値の創造」(CSV)。日本にも同じような考え方、近江商人の経営理念「三方よし」(自分よし、相手よし、世間よし)がある。ここに足りなかった学び、と、発信、を加えた「発信型三方よし」を、笹谷さんは、協創力が稼ぐ時代の新たな経営戦略として提唱している。とはいえ、「三方よしをやるぞ!」と身構える必要はないという。身近なところにビジネスチャンスはある。それを見つけること、気づくことが大切なのだ、と。例えば、「淡路島の具−1グランプリ」。これは、地元食材しばりのおむすびの具材コンテストで、コンビニが協賛している。受賞作はご当地キャラも絡めて、実際にコンビニで発売される。自分(コンビニ)はイメージアップ&商品が売れる。相手(お客様)は楽しい&美味しい。世間においては、地産地消、地域活性化につながっている。まさしく、三方よしだ。この活動を知った伊藤園も「おむすびといえばお茶」と協賛に加わった。このように身近な活動に気づけるかどうか。すでに地方では、さまざまな形で、持てる資源を活用しての地方創生に取り組んでいる。企業も本業活用で参加すれば、三方よしによって地域に、社会に貢献できる。同時に自社の利益を生みだすことができる。取り組む上でのポイントを、笹谷さんがアドバイスしてくれた。

・三つのキーワード「環境にやさしい、人にやさしい、社会にやさしい」でやるべきことを見つけよう。
・それを得意分野で、本業でやろう。
・そういうことがわかる人材を育成しよう。

具体的な事例も多数紹介されたが、そちらはぜひ『協創力が稼ぐ時代』を参照いただきたい。

総務は企業の参謀。トップに対して、または経営会議などの場において、「こういうことを学ばないと置いて行かれますよ」「協創力で稼ぐ時代ですよ。うちは、どこかとコラボしていますか?」と提言できるのは総務部門だと、笹谷さんはエールをおくった。


基調講演のあとに続けて、なぜ総務部門が「CSV」「協創力」について理解しておく必要があるのか。実際に企業が「協創力で稼ぐ」ために総務部門が果たすべき役割などの論点について掘り下げていく、公開ダイアログが開催されました。
そのようすは次回のレポートをご参照ください。

 

前の5件 1  2  3