総務のトピックス

【労務トピックス】:

新しい休暇制度について

2017-10-31 09:00

 昨今、国が主導的に働き方改革を進めている中、フレックスタイム制やテレワーク等労働者のワーク・ライフ・バランスを考慮した多様な働き方が提案されており、新たな制度導入を進めている企業も多いのではないでしょうか。また、働き方改革とあわせて、労働者の心身の疲労回復、充実を目的とした休み方改革も推進されています。本稿では、休み方改革に関連して、法令で定められた休暇(年次有給休暇、育児・介護休業等)以外の新しい休暇制度の具体例を紹介します。

【リフレッシュ休暇】

 労働者の心身のリフレッシュのために取得することができる休暇制度です。旅行等の趣味、自己啓発、ボランティア等、取得目的は労働者本人に委ねられています。取得できる労働者が限定的でなく、取得目的も幅広いため、制度の恩恵にあずかることができる労働者が多いところが特長です。リフレッシュ休暇の取得後、休暇の内容を労働者同士が共有することで、社内コミュニケーションの向上に繋がったという事例もあります。

【学校行事参加休暇】

 授業参観や保護者面談など、平日に行われる子の学校行事に参加するために取得することができる休暇制度です。育児・介護休業法に定められている子の看護休暇のように、子1人につき○日と、子の人数に応じて付与日数を定めると良いかもしれません。また、休暇取得対象期間を義務教育就学中にする等、対象期間を長めに設定すると、取得対象者も増え、制度が根付きやすいのではないでしょうか。

【積立休暇】

 労働基準法に定められている年次有給休暇は、原則2年で失効してしまいますが、この失効してしまう年次有給休暇を企業独自の制度として積み立て、利用する制度を導入している企業が見受けられます。積立休暇の取得目的は長期休暇を要する場合としているケースが多く、私傷病の治療・療養、家族の介護等、企業によって様々に設定されています。業務の都合上、年次有給休暇を取得できないまま失効させてしまっても、万が一の時に使うことができれば、労働者も安心して働くことができます。


 適度な休暇は、労働者のリフレッシュや業務に対するモチベーションアップにつながり、業務効率の向上も期待できます。業務に支障が出ると考え、新設の休暇制度、とりわけ長期休暇制度に対しては及び腰の企業もあるかと思いますが、業務内容の共有・合理化、労働者間の連携、事前の調整等、体制整備により業務支障は回避できるものです。

 単に休暇制度を導入して終わり、というものではなく、労働者が制度を利用しやすい環境をつくることが休暇制度導入の本来の目的です。社内アンケートを実施し労働者のニーズを把握したり、厚生労働省が運営している「働き方・休み方改善ポータルサイト」(http://work-holiday.mhlw.go.jp/index.html)を活用して、それぞれの企業に適合した休暇制度の導入を是非検討してみてください。


連載協力:税理士法人AKJパートナーズ
    ( http://www.akj-partners.com/

 

【労務トピックス】:

パートタイム労働者の年次有給休暇について

2017-08-24 04:30

 正社員と比べて労働時間の短い、または労働日数が少ないパートタイム労働者に対しては、年次有給休暇(以下、「有休」とする)を与えなくてよいと認識されている方が多いようであり、実務上、よくお問い合わせを頂きます。本稿では、パートタイム労働者への有休の付与について解説します。

付与される有休の日数
 
 パートタイム労働者への有休の付与方法を一般に、「比例付与」といいます。比例付与の対象となる労働者は、下記(1)、(2)いずれの要件も満たす労働者です。

(1) 週の所定労働時間数が30時間未満
(2) 週の所定労働日数が4日以下(*)

(* 週以外の期間で所定労働日数が定められている場合は、年間所定労働日数が216日以下)

 これらの要件を満たす労働者に対しては、以下の表に則り、有休を付与します。

20170824topics01.png

 この(1)、(2)の要件を満たさない労働者(週の所定労働時間が30時間以上、または、週の所定労働日数が5日以上の労働者)は、パートタイム労働者であったとしても、正社員同様に有休を付与しなければならない点に留意する必要があります。例えば、1日7時間、週4日勤務(週28時間労働)の労働者には比例付与、1日4時間、週5日勤務(週20時間労働)の労働者には、正社員同様に有休を与えなければなりません。


比例付与における留意点

 時給制のパートタイム労働者が有休を取得した場合、取得した有休に応じて時給を支払う必要がありますが、日によって労働時間が異なるケースがあります。その場合、取得した有休に対して何時間分の時給を支払えばよいのかわからない、というご質問を受けることがあります。

 時給制の労働者に対しては、有休取得日の所定労働時間数分の時給を支払う必要があります。例えば、あらかじめ下記のようなシフトが組まれており、9月1日に有休を取得したとします。9月1日の所定労働時間は3.5時間であるため、3.5時間分の時給を支払う必要があります。また、9月6日に有休を取得した場合は、5.5時間分の時給を支払うことになります。

20170824topics02.png

 また、有休取得日の賃金を平均賃金(直近3ヶ月間における1日あたりの賃金)とする方法もあります。この場合、平均賃金額には最低保障があり、下記(1)、(2)の計算式で算出した金額のいずれか高い方を平均賃金として支払います。

(1) 直近3ヶ月の賃金総額÷直近3ヶ月の歴日数
(2) 直近3ヶ月の賃金総額÷直近3ヶ月の労働日数×0.6

 いずれの方法を取る場合であっても、労使間のトラブルを避けるため、社内で運用ルールを明確にし、労働者に対して事前にルールを説明しておくことが大切です。

連載協力:税理士法人AKJパートナーズ
    ( http://www.akj-partners.com/

 

【労務トピックス】:

活用しやすい助成金「キャリアアップ助成金」について

2017-06-02 13:00

 近年、助成金の活用を行う企業が増えてきましたが、その中身については具体的に知らない方も多いのではないでしょうか。今回は、数ある雇用関係の助成金の中から、活用しやすい助成金として「キャリアアップ助成金」について解説します。


キャリアアップ助成金

 有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった非正規雇用労働者や短時間労働者の雇用の安定や企業内でのキャリア形成等を促進するため、正社員化・人材育成・処遇改善の取り組みを実施した事業主に助成されるものです。労働者のモチベーションや能力の向上を図り、優秀な人材を確保できるという点、助成の対象となる取り組みを広く設けている点で活用しやすく、生産性アップにも期待できます。

 平成29年4月1日からは「生産性」の視点が加わり、「生産性要件」を満たした場合、助成金が加算支給されます。また、助成金対象のコース内容が増え、下記の8コースとなりました。

(1)正社員化コース(有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換又は直接雇用した場合)

(2)人材育成コース(有期契約労働者等に一般職業訓練、有期実習型訓練のいずれかの訓練
を実施)

(3)賃金規定等改訂コース(全て又は一部の有期契約労働者等の基本給の賃金規定等を、増額改定した場合)

(4)健康診断制度コース(有期契約労働者等を対象に「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、4人以上に実施した場合)

(5)賃金規定等共通化コース(有期契約労働者等と正社員との共通の賃金規定等を新たに規定・適用した場合)

(6)諸手当制度共通化コース(有期契約労働者等と正社員との共通の諸手当制度を新たに規定・適用した場合)

(7)選択的適用拡大導入時処遇改善コース(選択的適用拡大の導入に伴い、社会保険適用となる有期契約労働者等の賃金の引上げを実施した場合)

(8)短時間労働者労働時間延長コース(有期契約労働者等の週所定労働時間を5時間以上延長し、社会保険を適用した場合)

 助成内容と助成額の詳細については厚生労働省ホームページ「キャリアアップ助成金リーフレット」とご参照ください;
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000161151.pdf

「生産性」の要件

 助成金の支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」がその3年前に比べて6%以上伸びていることとなっています。また、「生産性」は次の式によって計算します。

20170602topics_01.png


支給対象となる事業主の要件

・雇用保険適用事業所の事業主であること
・キャリアアップ管理者を置いていること
・キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の確認を受けること
・各コースの対象労働者に対する賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備していること
・キャリアアップ計画期間内にキャリアップに取り組むこと

 ※「事業主」には、民間事業者の他、公益法人、NPO法人、医療法人、社会福祉法人なども含まれます。上記要件に加え、さらにコースに応じた一定の要件が求められます。


受給までの流れ

(1)キャリアアップ計画書の作成・提出
(2)訓練計画届の作成・提出(人材育成コースのみ)
(3)取り組みもしくは訓練の実施
(4)支給申請


 全コースすべてに共通するポイントは、まず、「キャリアアップ計画書」を作成・提出することです。この計画書を提出していない場合は各コースの取り組みを実施しても助成金の対象となりません。また、支給申請にあたっては期限が2か月(各コースに応じた起算日より2か月)と定められています。期限内に申請しない場合にも助成金は支給されませんので、申請期限には留意が必要です。

 厚生労働省のホームページでも詳しい助成金情報がありますので、ぜひご活用ください。

 助成金の内容によっては就業規則の改訂が必要となる場合もありますので、社会保険労務士などの専門家へのご相談もお勧めします。

連載協力:税理士法人AKJパートナーズ
    ( http://www.akj-partners.com/

 

【労務トピックス】:

労働保険年度更新手続きについて

2017-04-20 13:00

=== 雇用保険料率の改定(H29.4月から)、適用拡大(H29.1月から)を含めて ===


 労働保険(労災保険、雇用保険)の保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間(これを「保険年度」といいます)を単位として計算し、その額はすべての労働者(雇用保険については、被保険者)に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率を乗じて算定することになっています。
 平成29年は、1月より雇用保険の加入の際の年齢条件が廃止され、4月より雇用保険料率が引き下がります。法改正情報を含め、保険料計算の解説をいたします。

1.雇用保険料率の変更

 平成29年4月1日から平成30年3月31日までの雇用保険料率は労働者負担・事業主負担ともに1/1,000ずつ引き下げられました。(表1参照)

表1:平成29年度の雇用保険料率
topics20170420_01.png
 現下の雇用情勢、雇用保険の財政状況等を勘案し、3年間の時限措置です。


2.雇用保険の適用拡大

 平成29年1月1日以降、従来は適用除外であった65歳以上の労働者についても、(1)1週間の所定労働時間が20時間以上であり、(2)31日以上の雇用見込がある場合は「高年齢被保険者」として雇用保険の被保険者となります。

 平成29年1月1日以降は、雇用した時点から「高年齢被保険者」となります。雇用した日の属する月の翌月10日までに管轄のハローワークに資格取得の届出が必要となります。従来の「高年齢継続被保険者」は自動的に「高年齢被保険者」となります。「高年齢被保険者」の雇用保険料は免除され、免除措置は平成31年度まで継続されます。改正により新たに「高年齢被保険者」になった被保険者も要件を満たせば、次の各種給付金の対象者となります。離職した場合の「高年齢求職者給付金」「育児休業給付金」「介護休業給付金」「教育訓練給付金」があります。


3.労働保険の年度更新とは

 労働保険料は、保険年度ごとに概算金額を納付し、保険年度末に賃金総額が確定したあとに精算する方法をとります。確定保険料の精算と概算保険料の申告・納付手続きを「年度更新」と言います。年度更新は、毎年6月1日から7月10日までの間に行わなければならず、申告・納付が遅れた場合、追徴金(納付すべき保険料・拠出金の10%)が課せられることがあります。

(1)申告・納付先

 あらかじめ労働保険番号、事業の所在地・名称、保険料率等が印刷された「労働保険概算・確定保険料/石綿健康被害救済法一般拠出金申告書」(以下「申告書」)が、都道府県労働局から各事業主宛てに送付されます。その申告書にて計算を行い、保険料等を添えて、金融機関(注1)、所轄都道府県労働局及び労働基準監督署のいずれかに、6月1日から7月10日までの間(土日祝日を除く)に提出します。手続については、電子申請及び電子納付ができます。申告書を電子申請した場合にのみ電子納付をすることができます。

(注1)日本銀行の本店、支店、代理店及び歳入代理店(全国の銀行・信用金庫の本店又は支店、郵便局)。

(2)年度更新上の留意点

 年度更新において納付する労働保険料は、その事業で使用される全ての労働者に支払った賃金総額に、その事業に応じて定められた保険料率を乗じて算定し、一般拠出金の額については、賃金総額に一般拠出金率(1000分の0.02)を乗じて算定を行います。

「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業に使用される者で賃金を支払われる者をいいますが、そのうち雇用保険料の負担が免除される「高年齢労働者」(その保険年度の初日において満64歳以上の者)や雇用保険の被保険者とならない者(学生アルバイト等)に対して支払った賃金がある場合には、労災保険に係る保険料と雇用保険に係る保険料とを区別して、それぞれ算定したものの合計が労働保険料となります。

(3)雇用保険法改正との留意点

 確定保険料と概算保険料のいずれにもご留意ください。

・平成28年度確定保険料は、雇用保険料にかかる賃金について、従来の高年齢労働者の他に、平成29年1月から拡大適用された「高年齢労働者」の賃金を平成29年1月から3月分について、雇用保険料にかかる賃金に含めます。なお、雇用保険料率は改正前の保険料率(一般の事業では、11/1,000)を使用します。

・平成29年度概算保険料は、雇用保険料の負担が免除される「高年齢労働者」は昭和28年4月1日以前に生まれた方を対象とし、雇用保険料率は改正後の保険料率(一般の事業では、9/1,000)を使用します。

 その他詳細は、申告書と同封される「労働保険 年度更新 申告書の書き方」をご参照ください。


連載協力:税理士法人AKJパートナーズ
    ( http://www.akj-partners.com/

 

【労務トピックス】:

労働時間の基本

2017-03-15 11:00

 新年度を控え、4月から新たに人事労務を担当される方もいらっしゃることと思います。今回は、そうした初めて人事労務業務を担当される方にも分かりやすく、すぐに実務で活用いただけるよう、労働時間の原則、時間外・休日労働に関する協定、変形労働時間制やみなし労働時間制について解説いたします。

1.労働時間の原則

 労働基準法では労働時間について以下のように定められています。

(1) 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
(2) 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

 この1日8時間、1週40時間という労働基準法で定められた時間数を「法定労働時間」といいます。

 また、休憩時間については、1日の労働時間が6時間を超え8時間以下の場合は45分、8時間を超える場合は1時間、労働時間の途中に与えなければなりません。


2.時間外・休日労働

 1.の定めがあるため、法定労働時間を超えて働かせることは禁止されています。ただし、時間外労働・休日労働に関する協定により、使用者は労働者に対して時間外・休日労働を適法に行わせることができます。この協定については、労働基準法第36条に定められているため、一般に「36(サブロク)協定」と呼ばれています。

 36協定は、まず時間外労働をさせる必要がある理由や延長させることができる時間数などを決め、過半数労働組合もしくは過半数労働者代表と協定を締結します。その後、労使が署名又は記名押印した協定を、事業所の管轄である労働基準監督署長へ届け出ることにより、36協定の効力が発生します。36協定は、企業単位ではなく事業所単位で提出しなければならない点に留意する必要があります。


3.変形労働時間制

 1.の労働時間の例外として、変形労働時間制があります。変形労働時間制を適用する期間(適用期間)を平均して1週間あたりの労働時間が法定労働時間以内であれば、1日8時間、1週40時間を超えて労働させても、その超えた時間は時間外労働として取り扱わないことができます。労働基準法には、適用期間の長さ等によって4種類の異なる変形労働時間制が定められています。

(1) 1か月単位の変形労働時間制
(2) フレックスタイム制
(3) 1年単位の変形労働時間制
(4) 1週間単位の非定型的変形労働時間制


4.みなし労働時間制

 労働者が事業場外で業務に従事する場合において、労働時間を算定し難いときは、みなし労働時間制の適用が認められています。例えば、1日の所定労働時間が8時間と決められている事業場において、午前中は事業場内で働き、午後、事業場外で業務に従事した場合、事業場外での労働時間を算定し難いときは、所定労働時間(8時間)労働したものとみなすことができます。

 ただし、スマートフォン等で随時使用者の指示を受けながら労働している場合や、事業場において具体的指示を受け、事業場外で指示どおりに業務に従事した後、事業場に戻る場合等は、「労働時間を算定し難い」とはみなされません。事業場外での業務を主とする営業職の方等であっても、みなし労働時間制を適用できるケースは限定されるため、注意が必要です。


 以上、労働時間について概要を解説いたしました。自社において、労働時間の原則が守られているか、正しく36協定が締結、届出されているか、どのような変形労働時間制が導入されているか、みなし労働時間制が適用されているか等確認してみましょう。これを機にさらなる労働環境の整備が期待されます。

連載協力:税理士法人AKJパートナーズ
    ( http://www.akj-partners.com/

 

1  2  3