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コラム

総務 / 組織・風土醸成 / 組織・風土醸成

業績に効果が出る新しい組織風土改革の進め方
第25回:企業変革の現場よりー(2)困っていない現場の組織風土改革

2019年11月18日

 本コラムでは組織風土改革について、「ソフト(組織風土改革、コミュニケーション活性化等)」改革のみの限界(業績へのプラス効果が見えにくい、時間がかかり過ぎる等)を知り、業績にプラス効果をもたらすために、「ハード(プロセス、仕組み等)」を組み合わせることで、業績も組織風土も良くしていくということをみなさんへお伝えしています。前回から時間が経ってしまいましたが、軽く以下におさらいします。

■業績が良い企業が組織風土改革に取り組む

 従来、企業が組織風土改革に取り組むきっかけとしては、何かしら自社の業績にかかわることに起因するものが少なくありませんでした。たとえば、早期退職により社員数が減り、残った社員の業務負荷が増加する、その結果として社員のモチベーション低下を招く。経営への不信感が拭いきれない等です。風土改革が業績にどのようにプラスに働くかはわからない手探り状態であっても、まずは目の前の社内のコミュニケーションの悪さやギスギス感を何とかしたいという現れのようにも見えます。

 しかし、昨今は業績がさほど悪くない、むしろ業績は向上している企業が組織風土改革に取り組むというケースが増えてきています。これはむしろ望ましい姿かもしれませんが、アプローチを誤ると業績が良いにもかかわらず、社内の風通しは余計に悪くなったという組織風土としては悪い方向に進んでしまう危険が潜んでいます。

■誤った「働き方改革」による業務への弊害

 その理由の1つとして「働き方改革」が挙げられます。働き方改革の真意・本質をきちんと理解していれば良いのですが、働き方改革の言葉だけ先走ってしまい、企業が安易な施策を取ると、ろくな結果にはつながりません。下記、図1に概念図を示します。

図1:「働き方改革」と社員の業務・マインドへの影響

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 経営者の本音は「効果の追求」であり、その目的達成のために現場へは「効率を要求」します。当社では風土改革と同時に業務改善のご支援をすることが少なくありませんが、そこでよく見られることを述べます。

 たとえば生産性向上等で効率化を追求し過ぎると、従来の仕事のやり方のみではやがて頭打ちになります。そこで現場は知恵の見せどころでもありますが、創意工夫を凝らし、属人的な業務が増える傾向が強くなります。属人化は標準化の逆方向なので、業務の属人化が進めば進むほど定型業務であったものが、非定型業務に変化します。一時期、"神Excel"という言葉がありましたが、単純作業が複雑な業務オペレーションになってしまい、当事者しかわからないという状態になります。

 また、働き方改革をについて、社員が「仕事が楽になるための改革」や「休暇が増える改革」と勘違いをしている社員もいます。この場合は会社が十分な啓発活動をする必要があります。そうでないと、創意工夫すら生まれずに(属人的な業務にならないメリットはある)生産性だけが落ちる方向に動き本末転倒です。したがって、働き方改革の上手な進め方としては、現場の生産性や周囲業務への影響が熟考し進めることです。単に「勤務時間の短縮」「休暇取得の奨励」等だけではありません。

 2017年以降はRPA(Robotic Process Automation)が注目され始め、今では中小企業でもRPAを導入している企業も多くなりました。RPAで効率化が期待できる業務のほとんどは定型業務なので、カツカツで業務を回している現場や、既に十分改善ができている現場で、さらなる効率化が要求されると属人化が進み、RPAも本来のパフォーマンスを発揮しにくくなるというジレンマに陥ります。働き方改革とRPA導入によるメリット・デメリット・留意点については別の機会にお話しましょう。

■「変革の中心と推進」のエネルギー

 このように、業績はさほど悪くない企業が、働き方改革の誤った認識の下で組織風土改革に取り組む場合、業績が悪い企業が取り組む組織風土改革とは異なるアプローチが必要となります。その理由は主に以下の2つです。

【理由1】 社員が現状困っていない
【理由2】 業績が好調なゆえに成功体験が変革を阻害する

 組織風土改革では、「(1)取り組む理由」 「(2)取り組む企業の状況」 「(3)変革の中心と推進」が成否の要因となります。ほかには経営者の本気度や社員の特性(主体的か受動的か)も重要ですが、ここではこの3つに絞ります。

 3つの理由のうち、(1)と(2)はお互いに関係性があります。「取り組む企業の状況」としては、業績の良否が挙げられます。「取り組む理由」として、今回は働き方改革を挙げましたが、おおよそどの企業も何かしら業績にかかわること((2)の理由に通じる)や組織活性化、部門間連携強化が多く見られます。職種や部門で見た場合、研究開発職では「前例にとらわれない○×の創発」等、テーマとして掲げられることもあります。

 結論からいってしまえば、業績が悪くなく、社員は困っていない――このような企業で組織風土改革を行う場合に、成否へもっとも影響が大きいものは「(3)変革の中心と推進」になります。誰が変革の中心者なのか、推進者の変革へのエネルギーは大きいのか、小さいのか等です。

 次回は当社がこれまでお手伝いをしてきた企業から、「組織風土改革に失敗する企業」を事例としてお伝えします。もちろん、失敗する企業の次には成功する企業のお話もしますのでお楽しみに......。

世古 雅人
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