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業績に効果が出る新しい組織風土改革の進め方
第30回:働き方改革と業務の効率化(テレワークのコミュニケーション)
2020年05月27日
4月上旬より続いていた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による緊急事態宣言が、ようやく全面解除となりましたが、引き続き、みなさんの会社でも在宅勤務が継続されているところもあるかと思います。
今回は、前回の後編となる予定でしたが、『月刊総務』最新号(2020年6月号)におけるテレワーク特集にも絡めて、Web会議やオンラインミーティングのコミュニケーションについて一緒に考えてみましょう。
■Web会議・オンラインミーティングで困ったこと
・こちらのいいたいことがきちんと伝わっているかわからない(相手の反応)
・場の主導者がはっきりせず、決まったのか決まらないのかが曖昧(ファシリテーション)
・意見をいう人が決まっていない、それ以外の人の意見が出にくい・発言しない
・同様に、これから発言しようとする人の予兆や素振りがわかりにくく、発言を阻害してしまうことがある(結局いわないまま終わる)
・個々人のネットやPC環境がさまざまなことにより、音声や映像の途絶え・乱れ、聞き取りにくさがある
・音声での参加はするが、映像での参加はしない(顔は見せたくない人がいる)
――など、みなさんはこのような経験がありませんか?
図1 テレワーク(イメージ)
社内における対面でのコミュニケーションは慣れていても、ネットによるやり取りは苦手......と感じている人は少なくないようです。テレワークは働き方改革の取り組みの一環としてはもちろんのこと、昨今の新型コロナウイルス感染症対策としての在宅勤務は、今後、減っていくことはありません。
今回はテレワークにおいて円滑なコミュニケーションをはかり、効率的に会議やミーティングを進めるためのちょっとした工夫や勘所をお伝えします。まずは、オンライン上のコミュニケーション(バーチャル・コミュニケーション)とリアル・コミュニケーションとの違いを知りましょう。
■バーチャル・コミュニケーションの限界
図2をご覧ください。4つ(文字・音声・映像・リアル)のコミュニケーション手段を、情報量の高低に対比させて示しています。
図2 バーチャル・コミュニケーションとリアル・コミュニケーション
たとえば、チャットなど文字情報だけのやり取りにおいて、伝達者が相手に対して同意を求めた場面をイメージしてみましょう。参加者はあなたを含めて4人ですが、なかなか結論が出ずに時間ばかりかかっているので、参加者も疲れているようです。ほかの3人からは以下のメッセージが返信されました。
Aさん:「それでいいと思います」
Bさん:「いいですね! 自分はその意見に賛成です」
Cさん:「了解!」
表現やいい回しは異なるものの、とりあえずあなたは「全員賛成なんだな」と解釈し、次の議題に進むかもしれません。しかし、Aさんの返信に対して「ん?」と思う人も中にはいることでしょう。「それでいい」とは肯定的にいったのだろうか? それとも、時間がかかっていることにいら立ちがあり、「もういいや!」という妥協的な返信ではないだろうか? だとしたら、あとでややこしいことにならないだろうか......と、気にし出したらキリがありません。
こうなる原因は2つあります。1つは"文字という情報量の少なさによる微妙なニュアンスの欠如"。そしてもう1つは"相手の表情がわからない"ことです。音声によるボイスチャットは、1つ目の微妙なニュアンスが伝わりやすくなります。文字がメールだとすれば、ボイスは電話を考えてもらえばわかりやすいでしょう。みなさんも、メールでなかなか相手に伝わらないから、結局、電話をかけて解決したということもあるはずです。
2つ目の相手の表情については、映像によるビデオチャット(TV/Web会議、オンラインミーティング等)により伝わります。しかし、冒頭述べたように自分の映像は出したくない人もいるので限界があります。
ここでは文字から映像までのコミュニケーションを、バーチャル・コミュニケーションと呼びます。テレワークの多くで行われているコミュニケーションは、このビデオチャットに分類されるバーチャル・コミュニケーションです。離れた場所の相手と意志疎通ができるメリットがあり、相手の表情もそこそこ伝わりますが、対面(face to face)のリアル・コミュニケーションにはかないません。
■リアル・コミュニケーションに近付けるための非言語情報
コミュニケーションについて少し学んだことがある人は、非言語(ノンバーバル)コミュニケーションという言葉を聞いたことがあるでしょう。相手の表情だけでなく、身ぶり手ぶり(ジェスチャー)、話すペースや声の抑揚などです。図3に簡単にまとめます。
図3 コミュニケーションとは
バーチャル・コミュニケーションでは、伝える側(話し手)と受け取る側(聞き手)は、非言語情報を伝えたり、くみ取ることが難しくなります。モニター上の小さな画面でどこまで表情を確認できるかは限界があります。画面は基本、顔を中心に移されているので、足元は見えません。足を組んでいたり、投げ出していたり、貧乏ゆすりをしていたり......リアルな会議の場であれば、そのようすを見て注意する人もいるでしょうし、「あいつイライラしているな」とわかります。話の内容がわからない場合では、Webカメラ上で首をかしげたりするようすはわかるでしょうが、ちょっと前に身を乗り出す、眉間にしわを寄せるなど、「ちょっとわかんないぞ」という表情や仕草は画面上でくみ取ることは困難です。したがって、相手がちゃんと理解しているのだろうかという不安にもつながります。
言語情報に加え、聴覚や視覚情報までも含めたより広義なコミュニケーションとして「メラビアンの法則」が知られています。気になる人は調べてみてください。
■Web会議・オンラインミーティングを円滑に進めるための工夫と勘所
(1)役割を決める
進行役としてファシリテーターの役割を担う人と、参加者を分けます。同時発言の制止や意見の促しなどを行いながら、曖昧なところは必ず確認のプロセスを入れてから先に進めます。
(2)アジェンダとゴール、時間を決めておく
対面のリアル・コミュニケーションの会議において1時間で決まることが、オンラインでは3倍以上の時間を要するというデータもあります。オンラインであっても会議と何ら変わらないように、事前資料があれば配布し、参加者は目を通しておくことはもちろんのこと、アジェンダ・ゴール・終了時間を決めておくことが重要です。
(3)わかりやすい言葉を使う
リアル・コミュニケーション以上に気を付けたいことは、「わかりやすい言葉を使う」ことです。たとえとして用いた言葉がマニアックすぎてわからない、より複雑になってしまわないように気をつけましょう。
(4)反応をする
非言語情報として、特に聞き手はきちんと反応をすることです。うなずく、相づちを打つなどもオーバーリアクション気味に行わないと、小さな画面ではわかりません。ちょっと大げさかなと思うくらいでちょうどいいのです。無反応であればファシリテーターが注意をしましょう。
(5)効果的な画面共有の活用
参加者が傍観者にならないために、一つのものをターゲットとして意見を募ることは大事です。オンラインであっても、あたかもリアルな場のような一体感を持たせるために、システムの画面共有を積極的に活用しましょう。
(6)気遣いと心のゆとり
「相手が目の前にいないからこそいえること」もあるので、これを逆手にとって、「いうべきことはきちんという、主張する」ことですが大事です。その一方で、発言・意見が少ないのは、自分の考えを持っていないからだと決めつけるものでもありません。もしかしたら、やり取りが聞き取りにくく疎外感を感じていたのかもしれないな......と、自分以外の周りの人を気遣う優しさや心のゆとりも持てるといいですね。
さて、時流に合わせてテレワークで見られるコミュニケーションについて述べましたが、いかがでしたか? 何かと企業も家庭も大変な時期ですが、この難局を乗り切っていきたいものです。次回をお楽しみに。
※当社(株式会社カレンコンサルティング)では、定期的に「無料相談会」も実施しています。ぜひ、Webをご覧ください。

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