「人材」を「人財」に変えるためのリーダー養成講座 京セラコミュニケーションシステム株式会社 人財育成支援事業部 事業部長 竹松 健治さん

Vol.10 銭形平次に見る部下の育て方

2017年2月14日 10:00更新

 私は研修の参加者に「部下を育てられていない時代劇のヒーローとは誰だと思いますか」と尋ねることがありますが、意外と「水戸黄門」と答える人が多くいらっしゃいます。それだけ時代劇=水戸黄門というイメージが強いからかもしれません。しかし、黄門さまには、助さん・格さんという優秀な右腕・左腕がついていますし、うっかり八兵衛も愛嬌(あいきょう)をもって周りを和ませてくれています。

 

 一方、銭形平次は部下の八五郎に「○○してくんねぇか」と指示をするのに対して、八五郎は「へい、がってんだ」と答えるばかりです。そして、「八、お前はどう思う?」「お前はどう考える?」「お前ならどうする?」と質問をしている場面が一切なく、それでは自ら答えを考える能力を養えず、成長できないことを物語っています。部下の八五郎にとっては、銭形平次からいわれたことをいわれた通りにやっていた方が楽でしょう。しかし、それで本当にいいのでしょうか。

 

責任感が人を成長させる

 人は、「ああしろ」「こうしろ」といわれた通りにする方が楽です。それは、自ら考えずに済むからです。また、いわれたことをいわれた通りにやって、うまくいかなかったとき、ついいった人の責任だと思い込み、自ら責任を感じなくなるものです。自らやったことに対して責任も感じずして、人は成長することなどできません。自ら責任を感じてこそ、周りにより良き影響力を発揮することもできるようになります。

 

 最近、学校で「連帯責任」という言葉を使わなくなってきているようです。しかし、どのような仕事も自己完結できるわけではなく、前後工程の人達との協力によって成し遂げられるものです。よって、自分の仕事の前後の人たちとのかかわりを意識し、良い関係を築いていくことが重要になってきます。そのために必要なのがコミュニケーションです。しかし、相手への思いやりの欠如によって一言足りない、あるいは一言多いことによって、お互いの関係を悪化させてしまい、連携がうまくいかなくなる例も少なくはないでしょう。

 

企業が求める「1+1」の答え

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 人は、つい自分の都合でものを考えてしまい、なぜ相手はそういっているのかということを考えずに、思い込みで受け止めがちです。そこで必要なのが「察する」ということです。しかし、相手の思いや考えは、意外と聞いてみないとわからないものです。

 

 中には、何にも考えていない人もいます。深く考えていない人もいます。熟慮の程度は人によって違うものです。そこでお互いが同じ意義、目的のために、共通目標を持って取り組むには、お互いの思いを確認し合うことが重要ではないでしょうか。

 

 その一環として、上司が部下に「君はどう思う」「どう考える」「どうする」と日頃から問い掛け、部下が自らの意見をいえるようにすることが大切です。たとえ、その答えは上司が求めていることでなく、上司から「そうは思わない」といわれても、「それはなぜですか?」と部下が質問し、自分の考えと違うところを知ることによって、物の考え方、捉え方の幅を広げることができるようになってきます。

 

 学校で学んだ「1+1=2」ですが、企業で求める「1+1=∞」。答えは一つではないということ。それを企業では上司が部下に場面を捉えて教えてあげることが必要なのではないかと思います。

 

 部下は、上司の道具ではありません。付加価値を創造する大切な人財です。しかし、それは上司の導きようによって決まるのではないでしょうか。

 



「人材」を「人財」に変えるポイント

  • 自ら責任を感じてこそ、周りに良い影響を与える
  • 共通目標を持って取り組むために、お互いの思いを確認し合う
  • 部下が自らの意見をいえるように、日頃から上司が問い掛ける