• TOP
  • コラム
  • 組織・風土醸成
  • 業績に効果が出る新しい組織風土改革の進め方
    第28回:企業変革の現場よりー(5)組織風土改革に成功する企業

コラム

総務 / 組織・風土醸成 / 組織・風土醸成

業績に効果が出る新しい組織風土改革の進め方
第28回:企業変革の現場よりー(5)組織風土改革に成功する企業

2020年02月12日

 第26回第27回と、2回続けて「組織風土改革に失敗する企業」の話をしてきました。今回は「成功する企業」は実際にどのような取り組みを行ってきたのかをみなさんにお伝えします。

■前提条件は「企業に余力があること」

 当たり前ですが、業績悪化などにより経営がにっちもさっちも立ち行かなくなった企業が組織風土改革に取り組んでも意味がありません。なぜなら先に"キャッシュアウト(現金流出)を止める"など、抜本的な経営改革や構造改革に大ナタを振るわないといけないからです。

 ただし、その大ナタの経営施策の中に、人員削減や関連会社への出向、転籍など、「人にかかわる施策」が骨子となっている場合は、社員のモチベーションダウンと不満を同時に生むため、ますます組織風土は悪くなるという悪循環にはまります。また、組織風土改革はそれなりに時間を必要とするため、悠長なこともいっていられません。組織風土改革は、業績がある程度順調に推移し、企業として余力があるときに取り組むべきです。

■成功理由1:強力な変革人材の存在

 組織には「2・6・2の法則」があります。初めの2割が優秀、次の6割は普通、最後の2割は出来が悪い......というのが一般的ですが、風土改革の側面で見てもほぼ同じことがいえます。初めの2割が一生懸命でリーダー的な動きをする、次の6割はどっちつかずでようす様子をうかがうなどフォロワー的な動きをし、最後の2割は箸にも棒にも掛からないルーザーに陥る。

 ここで気を付けたいことは、最初の2割の中にはまがい物が含まれていることもある、ということです。特に管理職は要注意です。仕事面では優秀なため最初の2割に入るが、風土改革に関心がない(元々人間に関心がないタイプに多い)。それにもかかわらず、「課長だからやる」といった"立場・役職で動く人"には要注意です。

 組織風土改革は相当のエネルギーを必要とします。特に初期段階ではさまざまな人からたたかれる、矢面に立たされる場面も少なくありません。強力なぶれない確固たる信念を持っている人でないと務まりません。立場や役職、年齢問わず、前向きのエネルギーを持っている人は、企業においては2割よりもはるかに少なく、1%以下でしょう。このホンモノの変革人材をいかに見出すかという目利きが重要です。

 そしてまれに、ホンモノの変革人材が、最後の2割の中に紛れ込んでいることも少なくありません。「いちいち文句をいう」「反発してくる」等の行動をする人は、若く、かつ仕事ができて優秀であればさほど煙たがられません。しかし、組織の中で年齢を重ね、「あいつはうるさい奴だ」いうレッテルを貼られてしまうと、人間誰しも腐ってしまうものです。みなさんの周りにもそのような人はいるのではないでしょうか? ですが、腐ったように見えていても「文句や不満をいい続ける人は相当のエネルギーを持っている」のです。最後の2割の中に「化けるタイプ」が潜んでいることを忘れずに、そのような目で見ていきましょう。

■成功理由2:戦略的に風土改革の青写真を描く

 何のために風土改革に取り組みたいのか? その目的を明確にすることは風土改革に限らず大事なことです。さらに、「風土改革の先にあるもの」――すなわち、風土改革を行うことで何が実現できるのか?を具体的に描く必要もあります。

 これらは言葉やイメージで、ほかの人が見ても「確かにそうだよなぁ......」とわかるものでなければなりません。「組織の風通しを良くする」などという言葉を掲げる企業も少なくありませんが、「風通しが良くなることはどういう効果をもたらすのか?」ということを戦略的に考えないと答えは出てきませんし、「どうやって風通しを良くするのか?」という戦術についても真剣に考えなければなりません。「風土改革は組織戦略そのものである」という認識の下、具体的な青写真(ゴールイメージ、グランドデザインなど)をしっかり作り上げることがポイントです。

■成功理由3:トップが風土改革を経営課題として取り組む

 よく風土改革はボトムアップの活動と勘違いをする人がいますが、風土改革はトップダウンです。第26回の「失敗理由1」でも述べましたが、「新しい形のトップダウン改革」が組織風土改革です。経営課題として取り組む施策としては、たとえば以下のようなものが挙げられます。

・中期経営計画に組織風土改革を組み込む ⇒ 重点施策に落し込む
・人事評価制度の目標設定などに入れる

 これらは通常、現場の社員や管理職だけでは実現できません。経営層や本社部門(人事部など)の戦略ミッションとして定める必要があります。前記の成功理由2でも述べましたが、戦略的な青写真がないと中計(中期経営計画)に組み込むことはできません。

 たとえば、ある部門でボトムアップ的に風土改革を小さくスタートしたとしても、どこかの段階で水平展開の局面にぶつかるはずです。そのときに、ここで示したような経営課題として組み込まれていれば、ボトムアップの活動に対して追い風になります。要は経営層や本社部門がコミットしたという"お墨付き"があることが大事で、風土改革には全社員で取り組むという流れにもつながります。

■成功理由4:「ハード」を組み合わせ業績へプラス成果を出す

 前記の成功理由3のように、風土改革を経営課題にいきなり組み込むことは難しいかもしれません。その場合は、「現場レベル」で着手できるハード的改革と並走させるとやりやすくなります。

 過去のコラムで何度か述べたように、経営層は業績にプラス効果をもたらすことを期待して、組織風土改革の取り組みへゴーサインを出しますし、経営課題にも組み込みます。もっとも効果が出やすいのは「ハード改革との連携」です。図1をご覧ください。

図1 ハード改革とソフト改革の連動

sosiki28_01.png

 「ハード」の中で現場の社員大勢が取り組みやすいものとして、「業務系改革(業務改善・業務標準化」などが挙げられます。効果も出やすいことと、昨今は「働き方改革」が追い風になるので、これらをテーマにして組織風土改革の青写真を描く取り組みも良いでしょう。

■成功理由5:主体的に動く事務局の存在

 風土改革に取り組む企業の多くは、事務局のようなものを設置することが多いです。専属で部門を立ち上げる場合もありますが、部門横断的な兼務のような構造の事務局もあります。

 ここで重要なことは、事務局には成功理由1で述べたような変革人材がいることはもちろん、主体的に動くことです。経営課題として取り組む場合でも同じです。経営層からいわれたからやる......では話になりません。「こう考えたのだけどどうでしょう?」と、どんどん経営層にも提案する、「2・6・2の法則」の最初の2割のホンモノの人材を見出す動きを取るなど、「人を動かす」ことが事務局の役割です。座って待っているだけの事務局はいりません。

■成功理由6:積極的な社内広報の活用

 社内広報は事務局の重要な役割です。組織風土改革の活動を全社員に知らせることが具体的な役割です。社内報、イントラネット、SNS、グループウエアなど何でもかまいません。
「2・6・2の法則」における6割のフォロワーを引っ張り上げる必要があります。

 多くの社員は、往々にして組織風土改革に対して、初期段階では懐疑的です。「経営層が何かいってるけど、実際どうなの?」「事務局か管理職がやってくれるんでしょ!」と他人事のように捉える社員が6割のフォロワーです。

 事務局が一生懸命でも、周りが冷めていたら徐々に事務局のメンバーも疲弊し、がんばれなくなります。最終的に「事務局だけががんばる」という状態に陥るようすを見て、「ウチの会社で風土改革は無理だったんだ」という失敗にならないためにも、社員に組織風土について関心を持ってもらわなければなりません。そのため、事務局から積極的に活動の状況や経過報告など、しつこく開示することが重要です。

 以上が、「組織風土改革に成功する企業」が実際に取り組んだ活動の一例ですが、特に重要なものを6つ挙げました。もう少し詳しく知りたいという人は、当社の『組織風土』のページをご覧ください。定期的に『無料相談会』も実施しています。

世古 雅人
​​MENU