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組織を活性化する「場」作り【最終回】「コミュニケーション」の本質を考える

2019年05月17日

 あらためて「コミュニケーションとは」について、整理しておきましょう。

■バーチャルコミュニケーションの功罪

 ドラッカーは、著書『プロフェッショナルの条件』でコミュニケーションに関し、次のように述べています。

「情報が多くなっても、その質がよくなっても、コミュニケーションに関わる問題は解決されないし、コミュニケーションギャップも解消されない。逆に情報が多くなるほど、機能的かつ効果的なコミュニケーションが必要になる。つまり、情報が多くなれば、コミュニケーションギャップは、縮小するどころか、むしろ拡大しやすくなる」

 現代は、ICT技術が進み、さまざまな便利ツールが提供されています。職場におけるコミュニケーションツールも、電話やメールはもとよりチャットツール、ブログ、社内SNSなどが当たり前になり、流通拡散する情報量は格段に増加しています。

 バーチャルコミュニケーションの功罪として、便利になったけど使いこなせず、「メール送ったから読んでおいて!」が日常会話になっていたり、さらには「仕事をした」とばかりにメールを一方的に送り付けてくるようなケースもあります。みなさんも経験されたことがあるのではないでしょうか。

■コミュニケーションの4原則

 ドラッカーはコミュニケーションの4原則として「知覚であり、期待であり、要求であり、情報ではない」と定義し、リアルな1 on 1の対話の重要性に触れています。

(1)コミュニケーションは情報ではない
 ドラッカーは「コミュニケーションは情報ではない。情報に人間はいない」といっています。「思想、意見、情報を伝達しあい、心を通じ合わせるプロセスである」と定義し、人間の心理や思想を重視しています。無機質な情報のやり取りはコミュニケーションではありません。

(2) コミュニケーションは知覚である
 ドラッカーは「コミュニケーションを成立させるのは受け手である」と述べています。当たり前のことですが、相手に伝わって初めて、コミュニケーションが成立したといえるのです。

(3) コミュニケーションは期待である
 ドラッカーの『マネジメント』に、「我々は期待しているものだけを知覚する。期待していないものは反発を受ける」という記述があります。一方で、「反発はさして重要ではない。重要なのは期待していないものは受け付けられることさえないということである。見えもしなければ、聞こえもしない。無視される。あるいは間違って見られ、間違って聞かれる。期待していたものと同じと思われる」ともいっています。

(4) コミュニケーションは要求である
 仕事上のコミュニケーションは多くの場合、相手に「行動」や「思考」などを要求します。仕事の成果に直結する要求ではありますが、受け取る側の価値観、欲求、目的に合致していなければただの強制になってしまいます。
 コミュニケーションにおける「聴く」ことの大切さ、人の想いを理解することの大切さを教えてくれています。

 組織内のコミュニケーション環境を改善しようとする場合、こうした本質の理解なくして、単にツール頼りになったり、掛け声だけの精神論となれば、実効性は上がりません。コミュニケーションの「場」の活性化には、人間心理を理解し、行動パターンを予測し、人同士が交われる環境を演出してゆくことが重要なのです。

岡田 大士郎
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